赤珊瑚は日本産が最も高級!ネックレスやピアスなど希少価値がある赤珊瑚について詳しく解説

海の中で育つ珊瑚ですが、珊瑚といえば水槽の中に入れて観賞用で楽しむイメージが強いでしょう。この観賞用の珊瑚とは異なる宝石として楽しむ珊瑚があるのです。それは真っ赤な珊瑚で「赤珊瑚」といいます。今回は赤珊瑚はどこで獲れるのか、その価値について解説していきます。

珊瑚とは

珊瑚とは、鉱物ではない有機質起源の宝石です。鉱物ではない宝石に真珠や琥珀がありますが、珊瑚は腔腸動物で炭酸カルシウムを主成分にして、骨軸をつくります。日本は宝石類の産出量がわずかですが、珊瑚と真珠に関しては世界的に日本が主な産地であることが認められています。

古くから珊瑚は魔除けや「産後」のお守りとして考えられていました。赤い色はおめでたい色として、結婚35周年を「珊瑚婚」といったり、還暦のお祝いにプレゼントとして赤珊瑚を贈ることもあります。

最高級と評される日本産の赤珊瑚

 最高級と評される日本産の赤珊瑚

日本産の赤珊瑚の生息地

赤珊瑚の最高級のものは、日本の高知県沖の海底約300mに生息しているものだといわれています。他には五島列島・小笠原列島・奄美・沖縄周辺にも生息していますが、質がいいのが土佐湾のものです。

日本産の赤珊瑚の原木は、手を広げるような形で潮の流れがくる方向に向いています。また、日本産の赤珊瑚は裏表があります。潮が流れてくる表面は珊瑚のポリプがついていて、穴の跡が多くなっており裏はなめらかできれいです。

原木は赤い扇のような美しい形をしているので、そのまま飾る置物としても人気があります。

とても美しい色合いと品質の良さから、昔は大量に海外へ輸出していました。しかし、現在は採取量が減っているため、希少価値が高くなり、日本産の赤珊瑚は世界的に最も価値がある珊瑚だと認められています。

大きさ

日本産の赤珊瑚の原木は、直径が根元付近で約3cmほどで高さは約30cmくらいです。そして赤珊瑚から丸玉を作るときは、根元付近ではなく枝のよい部分で作ります。枝から取れる丸玉は8mmくらいのものが平均的な大きさで、10mm以上の丸玉はほとんどないため希少価値が高く、高値で取引されます。

珊瑚のカラーグレードを決める要素

色味・カラー

赤珊瑚は色の幅は広く、黒っぽくくらい赤色から淡いピンク色までの色があります。最高級とされるものは、血のような赤黒い色をして「血赤珊瑚」と呼ばれていて、カラーグレードが4~5のものです。日本産の赤珊瑚は、深海に生息しているので密度が高いものができるのです。

色ムラ・日本産にしかない「フ」

日本産の赤珊瑚には「フ」と呼ばれる白い斑点や模様があります。この「フ」は人間でいう骨の部分だとされ、原木をカットして丸玉を作ろうとすると2ヶ所に白色の「フ」が出てくるのです。赤珊瑚は色ムラがないほうが価値が上がるため、ジュエリーに加工するときにフのところに穴を開けて表面にはフが見えないようにします。

この「フ」は地中海産の赤珊瑚にはなく、日本産だけに見られますので、日本産の赤珊瑚の証として目安にされます。

くぼみ・「ヒ」と呼ばれるヒビ

赤珊瑚は自然界で作られるため、表面にフジツボなどの貝類が付着することがあります。それを巻き込みながら成長すると、加工するときにそれが取れて傷や凹みがつくことがあります。

また、深海から珊瑚を引き上げるときに気圧の関係で珊瑚の原木は「ヒ」と呼ばれる縦方向のヒビができます。

また海の中で倒れてしまった珊瑚は、時間が経つと色があせて穴が開いて風化していってしまいます。これを「す」「枯れ」「虫食い」といいます。海の中で倒れずに生きていた珊瑚は「生木」といいますが、「虫食い珊瑚」は生木の珊瑚よりも価値が低いです。

原木が20センチほどの地中海産の赤珊瑚

原木が20センチほどの地中海産の赤珊瑚

生息地

日本以外で赤珊瑚が生息しているのは、地中海沿岸の各国です。ギリシャ・ユーゴ・イタリア・スペイン・フランス・チュニジア・スペインで採取され、業界では赤珊瑚のことをイタリア半島の西に浮かぶ島の名前「サルディニア」から「サルディ」と呼ぶことがあります。

地中海沿岸の珊瑚は、水深50~200mほどの比較的浅いところに棲息しています。日本産のように裏表がなく、全体にポリプがあり柔らかくて内部には内包物や傷がある場合が多く、薄く白濁していることも多いため、廃棄するものが多いのです。

大きさ

地中海産の珊瑚は比較的小さなものが多く、原木が20~30cmほどで枝の広がりは10~15cm程度です。重さは100~150g程度で、枝の直径は10~15mm程なので、丸玉は6mmくらいのものです。

日本産との違い

地中海産の珊瑚は日本産の血赤珊瑚のように白い「フ」がないため、色ムラが少ないのが特徴のひとつです。色が均一な為小さなサイズの玉も作れるので、小さなパーツと組み合わせたアクセサリーを作ることができます。

しかし、地中海産の赤珊瑚は、日本産のように透明度がなく希少性がありません。そのため日本産に比べると割安になるため、日本産の赤珊瑚よりも多く出回っています。

赤珊瑚の価格が高騰している理由

赤珊瑚の価格が高騰している理由

中国で大人気

赤珊瑚が高騰している理由のひとつは、中国をはじめとした世界各国で赤珊瑚が大変な人気があることが挙げられます。特に中国では赤は大変縁起がよい色とされているため、他の国に比べると赤珊瑚に対する価値観が他の国比べたら高いのでしょう。

日本で獲れる多くの最高級の赤珊瑚は高値で台湾へ輸出されてしまうため、日本産の質の良い赤珊瑚がますます手に入りにくくなっています。世界的に高い評価がある土佐沖で獲れる赤珊瑚はもともと獲れる量が少ない上に、獲れたものの8~9割が虫食い珊瑚で、宝石にできるのが1~2割しかないため、価格が高騰しているのです。

赤珊瑚が減少している

赤珊瑚が獲れなくなってきている原因のひとつは、珊瑚の白化現象です。これは、水温の変化や水質汚染によって珊瑚が死滅してしまう現象のことをいいます。

地球の温暖化などの理由が関わっている問題ですが、もうひとつの原因は人間による乱獲です。現在、多くの場所で珊瑚を守る活動が広がってきていますが、赤珊瑚は生息域がとても狭くて限られた場所でしか育ちません。

そして成長の速度がゆっくりなので傷がついてしまうと、元通りになるには数十年~数百年もかかってしまうのです。これらのことから、赤珊瑚が高騰することになっているのです。

天然の赤珊瑚と偽物の赤珊瑚の見分け方

天然の赤珊瑚と偽物の赤珊瑚の見分け方

残念ながら、流通している赤珊瑚の中には染色をしただけの偽物が出回っています。赤珊瑚が高価なものだからこそ、このような偽物が出回ってしまうのです。それを見分ける方法は、本来であれば鑑定士に依頼するのがいいのですが、素人でもある程度分かります。

天然の珊瑚は熱を伝えないので、火の近くに置いたり火であぶったりしても珊瑚はほとんど熱くなりません。しかし、プラスチックを加工して作った偽物は熱を加えると溶け出したり、熱く熱を持ちます。

このように、熱を加えることで本物か偽物か見分けることができます。しかし、実際に火を使わず白熱灯を使用して確かめることができます。

赤珊瑚のお手入れ方法を知って大事にしよう

赤珊瑚は希少価値が高い宝石ですが、変色してしまうと元に戻せないため普段からしっかりお手入れすることが大切です。赤珊瑚は炭酸カルシウムでできていますので、酸に溶けやすい性質があります。赤珊瑚を身につけたら、毎回外して柔らかい乾いた布で丁寧に拭きます。珊瑚は衝撃に弱いので、拭くときは優しく扱いましょう。

また、お風呂や温泉では必ず外しましょう。そして、お手入れが終わったらジュエリーボックスなどを使用して、他の宝石とぶつからないようにひとつずつ保管しましょう。