プラチナは、結婚指輪や婚約指輪に使われる高級アクセサリーとして知られています。プラチナには金のように純度があるのでしょうか。今回はプラチナの純度や純度によって買取額が変動するかについて解説します。
プラチナとは
銀白色の美しい光沢がきれいなプラチナは、変質・変色しにくい特徴から高級アクセサリーの素材としてよく使用されています。和名では「白金」と呼ばれ、南アフリカが全産出量の70%を占めています。そのほかの主な生産国はカナダ、ロシアです。
プラチナが結婚指輪や婚約指輪に使われているのはよく知られていますが、指輪に使われるのはプラチナの「耐久性」が優れているからです。その耐久性からジュエリーのホアは工業用・産業用など幅広い分野で使われています。
プラチナは金のように丈夫で色が変わりにくい特徴があるうえ、柔らかいことからジュエリーに使うときにはほかの金属(割り金)を混ぜて硬度を高めます。その柔らかい特性のため、加工しやすいプラチナは購入した後のサイズ変更などがしやすいので、生涯身に着けるアクセサリーに使用されるのです。
日常生活の中で身につけていても傷がつきにくく、日本人の肌に馴染む銀白色のプラチナは多くの人に愛される金属です。
プラチナの純度
プラチナの純度を示す「Pt」の意味
プラチナの純度は、Ptで表されます。プラチナ100%のものはPt1000という意味ですが、実際は純度100%のプラチナは存在せず、99.95%までが限界です。プラチナは柔らかい特性があるので、ほかの金属を混ぜて硬度を高めます。混ぜる金属の割合によって、純度の表記が変わってきます。
Pt900はプラチナが90%のもの、Pt950はプラチナが95%ということになるのです。
国際的貴金属宝飾連盟では、プラチナの標準品位はPt850以上に決められています。
結婚指輪などはなぜPt900やPt950なのか
プラチナは傷がつきにくく、変色しにくいことと銀白色のきれいな色から結婚指輪や婚約指輪に使われることが多いのですが、なぜPt100ではないのでしょうか。
その理由として、純度100%(99.95%)のプラチナは、強度が弱いことと黒っぽい色であるからです。強度が弱い金属で結婚指輪を作ると、家事をするときに傷がつくことがあります。このような理由から純度100%のプラチナは、結婚指輪や婚約指輪には向かないのです。
アクセサリーとしてプラチナを使用するときは、ほかの金属を混ぜて強度を強くします。また、色を白くするためにパラジウムなどのような白い金属を混ぜます。
また、Pt900が結婚指輪や婚約指輪に使用されるとして、職人の作業のしやすさが挙げられます。現在の結婚指輪は細いものが主流です。
細い指輪は強度が弱く、柔らかいものだと変形しやすいため、強度を高める必要があります。その柔らかさを補うためには、ルテニウムを2%程混ぜるのです。そうすることで、プラチナが硬くなり、これを「ハードプラチナ」といいます。
結婚指輪は長期間使用することが多いことを前提に作られますので、サイズ直ししやすいことや傷つきにくいことなどが求められるのです。
結婚指輪として選ぶならPt950とPt900のどちらが良いのでしょうか。海外のブランドのものは、その規定によってPt950のものが多く、日本では加工のしやすさによってPt900のものが多く見受けられます。どちらを選ぶかは、デザインや価格のほかにそれらの特徴をよく理解したうえで選ぶと良いでしょう。
プラチナの純度における種類や特徴
ここではプラチナの純度ごとの特徴を紹介します。
Pt999
純度100%のものが存在しないプラチナは「純プラチナ」をPt999と表記します。純プラチナはほかの金属を混ぜていないため、柔らかく伸びやすい反面、傷つきやすいのが特徴です。純プラチナは私たちがよく目にする銀白色の色ではなく、黒っぽい色をしているのでジュエリーに使用されることはほとんどありません。
Pt950
プラチナの国際的な広報機関であるプラチナギルドインターナショナルでは、Pt950以上のものをプラチナジュエリーの国際基準としています。ハリー・ウィンストンやカルティエなどの海外の高級ブランドではPt950のものをよく使っています。
そして、プラチナは金属アレルギーになりにくい金属です。Pt950はほかの金属の含有率がPt900より少ないので、金属アレルギーになりにくいというメリットがあります。
ただ、混ぜられている金属によってアレルギーを起こしてしまうことがあるので、自分がどの金属アレルギーなのかを知っておくと、プラチナを選ぶときにアレルギーを引き起こしにくいものが選べるのではないでしょうか。
Pt900
割り金を10%混ぜたプラチナをPt900といいます。Pt999やPt950よりもほかの金属の割合が多いため、変形しにくく傷がつきにくいので日本では指輪によく使われています。購入後のサイズ直しにも対応してくれる店が多く、プラチナの割合が少ないため、価格を抑えられるのも特徴のひとつです。
価格を抑えるには、割り金がルテニウムや銅のものがおすすめです。プラチナの価格は純度によって価格の差が大きく、Pt950とPt900では10,000万円ほどの差が出ることもあります。
Pt850
プラチナが85%で、15%はイリジウム・パラジウム・ルテニウムなどです。Pt850は、Pt950やPt900よりも硬いため、ネックレスのチェーンの部分や指輪に使用されることが多い傾向です。プラチナ特有の銀白色がきれいなことと、ほかの純度のものよりも価格が手頃なため、人気があります。
その他
ここまで紹介したプラチナは比較的純度が高いものでしたが、プラチナにはPt650、Pt585、Pt505など純度の低いものもあります。
実は、Pt650はマイナーであるためジュエリーではあまり使われません。一方、Pt585やPt505で作られたアクセサリーは、安価で気軽に購入しやすいものとして人気があります。
特にPt585のものは非常に強固で耐久性に優れているので、普段使いのアクセサリーとして購入する人も多くいます。
「贈り物としても使えるのではないか」と考えられますが、純度の低いプラチナは、値段が安いので贈り物にはあまり向いていません。また、資産運用などにも使いにくいため、あくまで自分で使用して楽しむためのものと考えましょう。
プラチナの純度を選ぶときのポイント
記念のジュエリーや、高価なジュエリーは、間違いないものを選ぶ必要があります。プラチナのジュエリーを選ぶときの基準を知っておきましょう。
金属アレルギーがある場合は純度の高いプラチナを選ぶのが鉄則です。プラチナ自体はアレルギーを起こしにくい金属ですが、純度が下がると混合物が増え、アレルギーを起こす可能性があります。できればPt950以上のものを選ぶことをおすすめします。
結婚指輪や婚約指輪など長く使うものを選びたい場合も純度の高いものが良いでしょう。純度が高いプラチナの方が酸による劣化を防ぎやすいので、変色などのトラブルを招きにくくなります。長持ちするため、一生ものとして使うことができます。
できるだけ安く済ませたい場合は、Pt850を選ぶのがおすすめです。
プラチナの純度の調べ方は?
プラチナの純度はどのように調べれば良いのでしょうか。そもそも素人でも調べることができるのか疑問に思っている人も多いと思います。ここではプラチナの純度を調べる方法を紹介します。
刻印を確認する
アクセサリー自体の刻印を確認するのが、もっとも簡単な方法です。日本で購入したプラチナ製品のアクセサリーは刻印されていることが多くあります。大半はそのアクセサリーの裏側などを見れば見つかります。
しかし、中には偽物の刻印が混ざっていることもあるので注意が必要です。見分けにくいので、うっかり偽物を掴まされることもないとはいえません。
また、PtではなくPmと表記されている場合もあります。これは、古いものに多い刻印で、品質が安定していない可能性が高いので注意が必要です。
また、海外製のアクセサリーや、日本製でも古いものには刻印がないこともあります。その場合は、ほかの方法でプラチナの純度を調べる方が良いでしょう。
比重を測って見分ける
比重計を使って密度を測る方法なら刻印がないものでもある程度見分けることができます。計算式は「空気中の重量÷(空気中の重量-水中の重量)」です。これに当てはめて計算すると比重が分かります。
プラチナ買取専門店に行けば比重計があることが多いですが、家にある料理用の測りなどでも簡単に計算できるので、興味がある人は計算してみてください。
ただし、あくまで目安なので自宅で測った結果だけを信じるのはNGです。参考程度にとどめておきましょう。
プロに鑑定してもらう
プラチナの純度を見分ける方法は上記のふたつが主な方法ですが、実際には素人では見分けるのが難しい場合が多いです。刻印がなかったり、実は偽物の刻印であったり、比重がよくわからなかったりと正しく見分けるのは容易ではありません。
また、プラチナは見た目だけでは純度まで見分けがつかず、素人目線で見るとすべて同じアクセサリーに見えてしまいます。見分けるには、プラチナに関する専門的な知識が必要なので、素人では限界があるのです。
プラチナの純度を正しく見分け、その価値を知りたい場合は、専門知識や買取経験が豊富なプロに依頼しましょう。多数のプラチナ製品を見ているプロなら、目利き力もあり、正しくプラチナの純度を鑑定してくれます。
プラチナの純度をはじめ気になることがあるなら、銀座パリスにご相談ください。銀座パリスは、全国に店舗を構えるブランドや貴金属の買取・販売店です。査定経験も知識も豊富なスタッフが対応するため、適正価格で買取できます。
プラチナの純度で買取価格に違いはあるの?
プラチナの純度による買い取り額
プラチナの買取額は、純度が高いもののほうが高額で買い取りしてもらえます。
買取額は業者によって異なりますが、1グラムあたりいくらかで買取価格が決まります。まれにPt500やPt250などと刻印されているものがありますが、プラチナジュエリーの定義はPt850以上です。Pt500やPt250はプラチナの含有量が半分以下なので、ほとんど価値がないといって良いでしょう。
ジュエリーがついているプラチナの買取価格は?
プラチナに宝石がついている場合の買取価格はどのようになるのでしょうか。
ジュエリーでは純プラチナが使われていることは少なく、ほかの金属を混ぜて強度を高めていることが多いため、買取額はその金属によって異なる場合があります。
そのため、宝石がついているプラチナジュエリーを査定に出すと、「ジュエリー代」「プラチナ代」「宝石代」の3つが調べられて価格が計算されます。ジュエリー全体の重さを測り、刻印などで純度を調べ、それによってプラチナの金額を算出します。宝石についても重さによって単価を掛けて価格を算出します。
ほかの金属とのコンビの場合も同じように、プラチナ以外の金属の価格によって買取額が決まります。
純度を知って好きなプラチナを選ぼう
プラチナの純度について解説しました。現在、純プラチナはアクセサリーには使われることがあまりないので、普段身につけるものは、Pt950、Pt900、Pt850から選ぶことになります。修理のしやすさ、アレルギーを引き起こしにくいもの、ほかのプラチナに比べて価格が手頃なものなど、さまざまな特徴がありますので、ご自身に適したものを選ぶと良いですね。