ダイヤモンドは、実物資産として高い人気があります。ダイヤモンドを所有している方で、「いつ売却するのが得か」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ダイヤモンドを最適なタイミングで売却したい方へ、ここでは価格変動に関する今後の見通しを解説します。
ダイヤモンドの価格はどのようにして決まるのか
一般的に、ダイヤモンドは高価なものというイメージがあるでしょう。一方で、工業用の機械にダイヤモンドが使用されているケースもあります。希少品なのかどうか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
まずは、ダイヤモンドの価値がどのように決まるのか、3つの要因を解説します。
需要と供給の関係
第1にあげられるのが、需要と供給の関係です。基本的には需要と供給のバランスが影響しており、希少性によって価格が高くなりやすい傾向です。
現在、南アフリカのデビアス社が、ダイヤモンドにおける需給の大半をコントロールしています。一時期は、全世界のダイヤモンドのうち9割を同社が占めていました が、近年では割合が減少しつつあります。
デビアス社の影響力が弱まった要因は、ロシア、オーストラリア、カナダなどでもダイヤモンドが採掘されるようになったからです。各国からダイヤモンドが流通した影響により、デビアス社のシェア率がかつての半数近くに減少しました。
しかし、デビアス社が確立した需給バランスをコントロールする仕組みは、現在もなお業界で活用されています。
為替相場による影響
次に、為替相場による影響があげられます。
日本国内ではダイヤモンドが採掘できないため、流通しているのはすべて輸入されたものです。輸入品の価格は円安になると高くなり、円高になると安くなる仕組みです。現在は円安が進んでいるため、ダイヤモンドの価格もかなりの割高になっています。
流通経路
第3の要因は、流通経路にあります。輸入品のダイヤモンドの流通経路は、卸売会社、加工会社、販売会社を経て百貨店や宝石店などの店頭に並びます。
指輪やネックレスなどのジュエリーは、ダイヤモンド本体の価格に対して3倍程度の値がつけられます。 加工や在庫の保管といった販売までにかかるコストが、最終的に商品価格へ上乗せされるためです。
これまでのダイヤモンド価格の変化と世界情勢との関係
ダイヤモンド価格は、これまでも多くの要因によって変動を繰り返しています。世界情勢も大きな影響を与えており、ダイヤモンド価格を左右した例は少なくありません。
たとえば、近年ダイヤモンド価格に大きく影響した事例として、「リーマンショック」と「新型コロナウイルス」があげられます。
リーマンショック直後
世界的な経済危機をもたらしたリーマンショックは、株価の下落や信用収縮などの影響により、ダイヤモンドの価値を下げました。最高品質のダイヤモンド原石ですら、価格が14%も下落したほどです。
リーマンショックによって高級品を購入できる余裕のある層も減り、需要の減少がますますダイヤモンド価格の下落を招きました。
新型コロナウイルス感染拡大初期
近年、ダイヤモンド価格に大きな影響を与えつつあるのが、新型コロナウイルスによるパンデミックです。感染拡大初期は鉱山の閉山やサプライチェーンの混乱など、採掘から流通まですべての関係業者が影響を受けました。
世界的な失業、都市閉鎖、宝飾品に対する意識の激変により需要も減り、供給そのものも大きく減った時期です。
ダイヤモンドの価格は、品質によって両極端となりました。1カラットの高品質なダイヤモンドは2020年の8月には年初よりも12%上昇したのに対して、低品質な製品は下落を見せています。
ダイヤモンド価格が今後上がるという見解
今後のダイヤモンド価格は、上がるという見解もあれば、下がるという声もあります。ここからは、今後ダイヤモンド価格が上がると考えられる3つの理由を紹介します。
ロシアのウクライナ侵攻による影響
ダイヤモンド価格の上昇につながる理由として、ロシアによるウクライナ侵攻があげられます。前述のとおり南アフリカやオーストラリア、カナダに加えて、ロシアもダイヤモンド生産国のひとつです。
ロシアは、世界のダイヤモンドの30%を生産しています。しかし現在はウクライナ侵攻に対する各国からの経済制裁により、ロシアからの供給は途絶えた状態です。一方で有事の資産として、金と同様にダイヤモンドを購入する方もいます。
需要の増加が見込まれるのに対して、全体の30%におよぶ供給が不安定となれば、今後のダイヤモンド価格が上昇する可能性は高いといえます。
コロナ禍からの経済の回復
世界各国で、新型コロナウイルスとの付き合い方が確立し始めています。欧米など一部の国ではすでにアフターコロナの時代へ入っており、経済も回復傾向です。
コロナ以前と同様に消費活動が行われ、感染拡大初期のころよりもお金に余裕が生まれてダイヤモンドジュエリーを購入する方が増えています。
2022年に入ってからダイヤモンド価格は上昇しており、今後も同様の傾向が続くとの見方が強いです。
円安・物価上昇
アフターコロナによる経済回復を見せる一方で、世界的に深刻なインフレに見舞われています。インフレは物の値段が上がるため、ダイヤモンド価格も例外なく上がります。
また、日本の場合は為替相場による影響も多大です。現在は円安に傾いており、米国の経済政策の影響もあって、早期に円高へ転じる可能性は低いといえます。しばらくは円安が続くとの見方が強く、ダイヤモンド価格も高額を維持する可能性が高くなっています。
ダイヤモンド価格が今後下がるという見解
需給バランスのコントロールも影響し、高級なイメージのあるダイヤモンドですが、今後は価格が下がるという見解もあります。なぜダイヤモンド価格が下落すると推測されているのか、理由は次のふたつです。
安定供給が進む可能性
ダイヤモンドは従来、デビアス社による需給コントロールによって希少性が保たれてきました。しかし近年は南アフリカ以外の国での採掘量増加により、デビアス社の影響は弱まりつつあります。
南アフリカの独占に近い状態だったダイヤモンドのシェアが分散され、需給を制御するのは難しい状態です。ロシアのウクライナ侵攻にともなう一時的な需要の増加が収束すれば、有事の資産として購入する層は減少すると見込まれています。
本物そっくりな人工ダイヤモンド
近年製造されている人工ダイヤモンド(合成ダイヤモンド)は、物理的な特性のほとんどが天然のダイヤモンドと同じです。製造技術が進歩しており、経験に富んだプロでも専用の機器がなければ判別できない人工ダイヤモンドもあります。
人工ダイヤモンドの魅力は、本物とそっくりな外見でありつつ、価格が30%安いことです。製造技術の確立により、近いうちに本物の半額程度で購入できるようになるとの見方が強まっています。
人工ダイヤモンドを購入する方が増え、本物のダイヤモンドの需要が減少すれば、価格が下がる可能性は大いにあります。
まとめ
ダイヤモンドの価格は、需要と供給の関係で成り立っているだけではありません。すべてを輸入に頼っている日本の場合、加工や保管にかかる費用に加えて、為替相場の変動によっても価格が左右されます。
また、近年は人工ダイヤモンドの技術が進歩しつつあり、今後は本物のダイヤモンドの需要や価格が下がるのではと推測されます。手元のダイヤモンドやジュエリーを少しでも高く売りたいなら、今後の価格変動も考慮してタイミングをはかりましょう。
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