世界にはさまざまな貴金属がありますが、その中の代表格といえば「金」ではないでしょうか。金を資産として保有する人がいますが、金でもインゴットという形で持っている人が増えています。なぜインゴットとして保有する人が多いのか、そしてインゴットとして保有するメリットはどんな理由があるのか解説します。
金のインゴットとは
インゴットとは
金のインゴットとは、金の塊でよく「延べ棒」と呼ばれているものです。ゴールドバーなどと言われることもある金地金のことです。昔から資産として保有してきたもので、世界中で多くのインゴットが作られてきました。現在は厳しい審査基準をクリアし、品質が保証されたものだけが世界で取引されています。
インゴットの純度と刻印
日本で純金と言われるものは、純度が99.9%以上のものです。純金は24金と呼ばれますが、インゴットに表記される場合は「99.99」または、1,000分率で「999.9」と刻印され、9が4つ並ぶことから「フォーナイン」との通称があります。
そして、インゴットには以下の刻印があります。
製造番号 | 品質管理するための番号 |
---|---|
商標 | 地金金(インゴット)販売元の商標マーク |
重量 | 金地金(インゴット)の重量 |
素材表示 | FINE GOLDすなわち純金のことと表記 |
精錬・分析者マーク | LBMA(ロンドン貴金属市場協会)公認の溶解・検定業者を保証するマーク |
品質 | 金の純度でほとんどが99.99%以上 |
インゴットのサイズ(重さ)は何種類?
インゴットのサイズは主に、5g・10g・20g・50g・100g・200g・300g・500g・1kgの9種類です。
一般的にはこのようなサイズの種類ですが、取扱の会社によって異なることがあります。売買するためには500g未満のインゴットには手数料がかかってしまうので、可能でしたら手数料がかからないように1kgか500gのインゴットを購入したほうがいいでしょう。
金の価値を保証する機関
金の価値は世界共通とはいえ、インゴットが投資対象として流通するためには、世界的にその品質が保証されていなければなりません。
その流通を保証するために、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)という機関が厳正な審査を行っています。そして、その厳しい審査をクリアした企業だけがインゴットにブランドと登録の刻印が許可されて、世界に流通が許されるのです。
この刻印があることで、インゴットの品質を保証する確かなものとし、誰もが投資の対象にすることができます。日本にもロンドン貴金属市場協会の厳正な審査基準をクリアしたインゴットがたくさんあります。
資産としてインゴットを持つメリット
まず、金がなぜ資産として認められているのかという点ですが、金は古くから価値がある金属として認められていて、富の象徴として扱われてきました。
金は腐敗せず、その見た目の美しさや輝きから価値が高いものとして宝飾品として世界中から認められてきた歴史があります。また、金は人の手で作り出せるものではありません。自然の産物であるため、金は掘り尽くしてしまえば無くなってしまうのです。
今まで世界で採掘されてきた金は約16万トンですが、まだ採掘されていない金は約4万5,000トンしかないと言われています。その限られた金のことを考えると、ますます金には価値がつくことが考えられます。
金インゴットは現物資産としての価値がある
資産としての話ですが、株式や現金などの有価証券を「金融財産」と言うのに対し、金のようなそのもの自体に価値があるものことを「現物資産」と言います。金融資産はそのもの自体には価値はないものの、国家や会社によってその価値が決まります。そのため、会社が倒産したり国家が破綻してしまうと、なんの価値もなくなってしまうのです。
しかし、金のようにそのもの自体に価値があるものは、何があっても価値がなくなることがありません。
また、金はアクセサリーに使われる場合、金に他の金属を混ぜる場合があり、18金や14金などのものが存在します。金の価値は純度で決まるため、他の金属が混ざっていてはその価値が下がってしまいます。その点、インゴットはほとんどが純金であるため、資産としての価値が高いのです。金を資産として保有するなら、インゴットが適していると言えます。
金は世界共通の価値がある
金の価値は世界共通です。金の価値は純度によって異なります。同じ重さの金でも他の金属が混ざっているものと純金では価値が違います。インゴットはほとんどのものが純金なので、資産として持つならインゴットがおすすめです。そして、その価値は店によって異なることはないので、安心して持っていられます。
有事に強い
現金などの有価証券は、何かあったときにその価値が失われてしまいます。経済危機などの有事の際には、有価証券だけでなく不動産は無価値になってしまいます。しかし、金はどのようなことがあっても資産価値がなくならない金を保有していると、有事が起こった時に強いのです。
インゴットの分割
インゴットの分割とは
インゴットの分割とは、インゴットを分けて加工することです。例えば、1kgのインゴットを100gのインゴット10本に分けることを分割と言います。正確には「精錬分割加工」と言うこの加工は、金や宝石を扱う専門店で行ってくれます。
なぜ分割するの?
それでは、なぜ金のインゴットを分割することがあるのでしょうか。
金は株や不動産と違って固定資産税がかからないため、資産として保有するのに最適なものです。しかし、それを売却したいときや相続したい時には税金がかかってきます。
親から相続されたインゴットを売りたいと思った時、売ると所得税の対象になります。そして、売却額が多い場合は最大45%の所得税が徴収される可能性があるのです。さらに、翌年の住民税が上がってしまいます。
また、自分が持っているインゴットを子どもに相続する場合、相続税がかかることが心配だという人もいます。インゴットを譲る時に最良の方法はないだろうか、というときにおすすめなのが分割です。
節税ができる
1kgのインゴットを分割して、100gを10本にした場合、売却するときに金の相場が5,000円弱なら、年間1本までなら売却額が基礎控除額内なので税金がかかりません。そして、贈与の場合は年間の基礎控除額が110万円なので、100gのインゴット2本までなら贈与税がかからないのです。
そして、2016年1月から始まったマイナンバー制度で、個人の預貯金口座も国が把握できるようになっています。もし、現在の5,000円弱の金相場であれば、100gのインゴットの場合は3本までなら金地金業者に支払調書の提出義務はありません。
申し込みに必要なもの
インゴットの分割を依頼する場合、身分証の提示が必要です。本人確認ができたら、顔写真の付いた身分証と実印を持っていきます。受け取りのときにも同じものが必要で、ほとんどの店は代理人の受け取りはできません。
金にかかる税金について
金インゴットを売るときにかかる税金
インゴットを売る時には、税務署へ届け出を出さなければなりません。そして、金を買ってから5年以上経過してから売却する場合も、課税対象金が譲渡金の半分となって優遇されます。ということは、長期保有しているほうが控除額が少ないとうことになります。
金インゴット贈与にかかる税金
インゴットを子どもに贈与したい場合は贈与税を考えておかないといけません。もし1kgのインゴットを贈与する場合は、だいたい20%程度の贈与税がかかります。その場合は、上述したように、分割して一度に相続せず複数回に分けるといいでしょう。
金インゴットを買取してもらうために気を付けること
保管方法に気を付ける
純金は大変柔らかい性質があります。そのため保管方法には充分に気をつけないといけません。型崩れしてしまったら査定金額が低くなることがるので、保管場所には気をつけましょう。品質のこともそうですが、金のインゴットは1つで相当な金額がしますので、防犯上のことも気にしておかなければなりません。
保管場所としてまず考えられるのは、自宅の耐火金庫です。金のインゴットを自宅に保管しておきたい人にはおすすめです。もう一つは銀行の貸し金庫で保管する方法があります。自宅の金庫は、金庫ごと盗まれてしまうかもしれないリスクがありますが、貸し金庫にはそのリスクがありません。
他には購入業者の保管サービスを使用する方法です。業者によっては手数料を払うところと、無料のところがあります。
刻印が消えないようにする
金のインゴットには刻印があり、それがあることで品質が保証されるのです。そして、刻印があることによって高額買取につながります。もしも、刻印が消えたり擦れたりしてしまうとロンドン貴金属市場協会(LBMA)が証明した品質保証が無くなってしまいます。保管方法をしっかりして刻印が消えないように気をつけることが重要です。
複数の買取店で査定を出してもらう
金の価格は常に変動しています。その価値は世界共通ではありますが、買取業者によってはその店独自の査定のルールがあり、業者により査定の金額が異なる場合があります。
そのため、金を売りたいときは複数の買取業者をまわり、査定を出してもらうようにするといいでしょう。そうすることによって、価格の比較ができて、自分の納得がいく金額で買い取ってもらうことができます。
買取には税金がかかることを知っておこう
金のインゴットの売買をするときは、金の相場を確認することが大切です。買い取ってもらうときは、少しでも高い金額で買い取ってもらうように相場の変動を意識しておきましょう。また、金は売却益によって税金がかかるのでそのこともしっかり確認しておくことが大切です。