紫色をした神秘的な雰囲気をもつアメジストは、別名「紫水晶」との名ももちます。また、パワーストーンとしても有名な石で、今回は、このアメジストについて特徴や産地、価値について詳しく解説していきます。
アメジストはどんな宝石?
アメジストが持つパワーストーンとしての意味
アメジストは紫色をしたきれいな水晶です。そして紫のパワーストーンはたくさんありますが、その中で最も透明度が高いとされているのがアメジストです。
アメジストは調和と調整をもたらす愛の守護石で、心に平和をもたらし、感情を鎮める力があるため、心の安定をはかる効果があると言われています。アメジストの紫色は「情熱の赤」と「冷静な青」が混ざった色なので、冷静であり積極性を兼ね備えた色とされています。
恋愛中にはただ情熱的に突っ走るだけではなく、冷静に物事を判断できるので、正しく落ち着いた判断ができるとされます。また、恋愛成就の効果もあり、真実の愛を守る石としても知られています。厄除けや恋愛だけではなく、前向きに生きていたい人に人気のある石です。
アメジストの象徴である紫色は日本だけでなく、世界各国で身分が高い人が身につける色としても知られています。宗教的な儀式に使われるなど、高貴な色であった紫色は神秘的でスピリチュアルな色であるとされています。
そして、アメジストを持っていると隠れた才能を開花させることができるとのことで、クリエイティブな仕事をしている人に好まれています。
アメジストの語源はギリシャ語の「酒に酔わない」という意味を持つ言葉です。そのため、悪酔いしないような効果がある魔除けのお守りとして考えられてきました。
古くはキリスト教で司教の指にアメジストの指輪がはめられたり、ユダヤ教でもアメジストを胸に飾るなどしていました。日本でも聖徳太子が紫色を冠位十二階の最高位の色にするなど、歴史の中で高い価値を示していたのが紫色のアメジストでした。
現在でも、玄関にアメジストを置くと魔除けになると信じられ、泥棒が入らないとも言われています。このようにアメジストは、パワーストーンとして魔除けや恋愛成就、心の安定をもたらしてくれる石として人気がある石なのです。
アメジストの特徴
日本では「紫水晶」と呼ばれ、その名の通りネックレスや指輪のような装飾品として持つよりも原石のまま持っている人が多いです。なぜなら、アメジストは宝石としてよりもパワーストーンとしての認識が高いからです。
日本でもアメジストは産出されますが、世界一の産出国はブラジルで、市場に出回っているアメジストのほとんどがブラジル産のものです。光の差し加減によって輝きが変わるアメジストは「カラーチェンジアメジスト」とも呼ばれています。
紫色というのは発色しにくい特徴がある中で、アメジストのように美しい紫色をしている宝石は他にはありません。また、透明度の高い水晶ですので、宝石としての価値は高いです。
そんなアメジストですが、紫外線に弱く長時間当たると色が抜けて元に戻らなくなってしまいます。そして、熱を加えると色が変わる特徴があるため、その性質を利用して「シリトン」という宝石を作っています。
アメジストは硬度が低く傷つきやすい性質もあるので、保管には充分な注意が必要です。
アメジストの産地
ブラジル
アメジストの最大産出国であるブラジルで産出されるアメジストは、全体的に黒っぽい色をしています。黒っぽく見える原因は、内部に入り込むことがある黒い斑点です。
普通はこの黒い斑点は不純物とされ、価値が低くなる原因となるのですが、斑点の入り込み方によっては通常よりも価値が高くなる場合があります。ブラジル産のアメジストは全部が黒っぽいものというわけではなく、中には美しい紫のものも算出されます。
ザンビア
ザンビアはアフリカの中央南部に位置し、良質なアメジストが産出されることでも知られています。ザンビアの採掘は1980年代から本格化しましたが、ここで採れるアメジスストは濃い紫であることが特徴です。しかし、ザンビアのアメジストは内包物や色溜まりが多いので、色に偏りやムラが出やすい傾向があります。
ウルグアイ
ウルグアイでは濃い紫色のアメジストが産出されます。深く濃い紫色が特徴のウルグアイ産アメジストですが、結晶の粒が細かいので大きなものがあまり採れません。また、粒の細かさゆえに他のアメジストよりも硬度が少し下がることがあり、取り扱いには充分な注意が必要です。
また、ウルグアイ産のアメジストの特徴に、石の中に濃い紫色の塊が入っている状態のものがあり、これを「カラーバンド」と呼んでいます。
アメジストの価値と処理
アメジストの選び方
良質なアメジストを選ぶときに注意すべきポイントは以下の通りです。ちなみに紫の濃さで価値が変わることはほとんどありません。
- 鮮やかな色合いをしている
- 白濁や濁りがないもの
- 透明感が高いもの
- ひび割れがないか
- 割れや凹みが表面に現れていないか
アメジストの処理方法
アメジストの紫色は、深い色から淡い色まで幅広いです。また、加熱で色が変わる性質を生かして、内包物が多いものは加熱処理を行ってきれいな紫を引き出すことがあります。
また、アメジストの加工処理は加熱だけでなく、紫外線を照射させる方法もよく知られています。紫外線に当てて変色させ、照射処理したカラーチェンジアメジストはコレクターがいるほど人気があります。
アメジストの買取相場
指輪やジュエリーの買取相場
アメジストはダイヤモンドやエメラルド、ルビーに比べると評価が低い宝石です。大きなもので、透明度が高いものはそれなりに価格が上がりますが、ダイヤモンドなどと比べると高値にはなりにくいです。
しかし、ジュエリーの場合はアメジストだけでなく、ダイヤモンドがあしらわれていたりする場合があります。また、指輪の金具部分が金であったりプラチナである場合はその金属の価値が加わるため、価格が上がります。
他には、有名ブランドの商品であることでその価値が評価されて高値がつく場合があります。しかしここで注意しなければならないのは、デザインの新しさです。ジュエリー業界でも、そのときの流行りがあるのであまりにも古いデザインのものだと価値が上がらない場合があります。
原石に近いアメジストの買取相場
ジュエリー以外のアメジストの価値ですが、クラスター(アメジストの結晶が群生した群晶のこと)やアメジストドーム(中が空洞になっていて周りが母岩で覆われた形状のもの)などの買取相場はどうなのでしょうか。
この場合は大きさや重量、透明度、デザインによって異なります。鑑別書がついていて、品質が保証されている場合は1万円~数万円の査定価格がつくことがあります。
アメジストのお手入れと保管方法
宝石の中では水晶は傷つきやすい宝石ですが、汚れを落とすのはさほど難しくありません。他の宝石と同じように、使用したら乾いた柔らかい布で優しく拭いて汗や皮脂を落としましょう。汚れがひどいときは柔らかい筆に水をつけて撫でるように拭きましょう。そのあとは水分をしっかり拭いて、自然乾燥します。
アメジストの保管方法
傷つきやすいアメジストの保管方法は、他の宝石とは一緒にせず個別で保管することが大切です。衝撃に弱い特徴もあるため、取り扱いに注意しましょう。そして、アメジストの最大の弱点は日に当てると色が抜けてしまうことです。紫外線に当たり続けるとアメジストの色が抜けて無色になってしまうので、直射日光が当たらないところで保管しましょう。
アメジストを高値で買取してもらうためには
アメジストを買い取ってもらうときには、査定に持っていく前にクリーニングをしましょう。大切なことは日頃から手入れをしておくことで、価値を下げないために日に当てないようにすることも大切です。
購入したときに付いてきた鑑別書や保証書を一緒に持っていくことと、査定してもらう買取業者は1ヶ所だけでなく、複数の信頼できる業者に頼みましょう。