レザークリームで天然皮革のお手入れを楽しもう!クリームの種類と正しい使い方

はじめての天然皮革の場合、レザークリームの手入れは難しいのではと不安に感じる方も多いと思います。しかし、手入れの準備とやり方さえ分かれば特に難しいことは何もありません。基本的に塗ると磨きの繰り返し作業です。レザークリームで潤いを与え、こまめに手入れすることで、光沢のある飴色の艶が出てきます。使い込むほど特有の味わいを感じることができ、手間をかけるほど愛着も湧いてきます。この記事ではレザークリームの基本的な知識から手入れ方法をお伝えします。

レザークリームとは

レザークリームとは

天然皮革のレザークリームとは、大切な革製品をケアするために使われるクリームです。皮革の着色を目的にしたクリームや革そのものに潤いを与えて艶を出すクリームなど、さまざまなタイプのレザークリームが存在します。

レザークリームの種類

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レザークリームには細かく分けると5つ種類があります。ここでは主に大きく分けられる3つのレザークリームの種類と特徴についてご説明いたします。

乳化クリーム

乳化クリームとは、天然皮革の栄養を補給で使うクリームです。栄養の浸透性が高く、革製品を長く愛用するためのお手入れに欠かせないタイプのレザークリームになります。主な成分は油脂と蝋で構成されています。乳化クリームの使い方は、少量のクリームを指や布を使って皮革全体に薄く塗り伸ばして使います。

栄養分の高いクリームで塗り残しが多いと、カビの養分となるので注意が必要です。乳化クリームを薄く塗り、豚毛ブラシで全体をブラッシングすることで革本来の艶が出ます。

ワックスクリーム

ワックスクリームとは、天然皮革の艶出しに使うクリームです。光沢を出すのに優れており、外出直前に艶出しとして効果を発揮します。主な成分は蝋がメインで構成されています。皮革に潤いや栄養を与える効果はほとんどありません。

ワックスクリームの使い方は、乳化クリームで手入れした上から塗り重ねて使います。塗り重ねすぎると革そのものの通気性が少なくなるため注意が必要です。蝋の成分が多いため、少量であれば水分を弾いてくれる効果もあります。

デリケートクリーム

デリケートクリームとは、シミになりやすい天然皮革の栄養補給で使うクリームです。艶出しの効果はほとんどありません。主な成分は乳化クリームと変わりありませんが、水分を多く含んでいることからどの革製品にも使え凡用性の高いレザークリームです。

デリケートクリームの使い方は、指や布で薄く塗り伸ばして使います。柔らかく艶の少ない仔羊や仔山羊の皮革に向いています。天然皮革の風合いを大切にしたい場合にも多く使われます。薄く塗り伸ばした後は、柔らかな布で乾拭きすると良いでしょう。

海外製品のレザークリームは蓋が特殊な物もある

海外製品のレザークリームは蓋が特殊な物もある

海外製品のレザークリームの中には、小さな子どもの誤飲防止として、製品の蓋が開かない特殊なタイプが存在します。液状製品の容器によく見かけられ、固定されたものから空回りするタイプも存在します。ここでは海外製品のレザークリームの開け方についてご説明いたします。

海外製品のレザークリームの蓋の開け方

レザークリームの容器に簡単な開け方について図解されていますが、日本製品のように細かく図解されていないため、正直分かりづらいのが本音です。簡単に説明すると上から押し込み回すだけです。

  1. ボトルを平らな場所に置く
    レザークリームの容器を平らな場所に置きます。力を入れすぎて倒さないように注意しましょう。
  2. 片手で蓋を上から押す
    レザークリームの蓋を上から真下に押し込みます。しっかり押し込めるものもあれば、あまり違いの分からないタイプもあります。基本的には、手のひらを蓋の上に置いて押さえる程度の力で十分です。
  3. 容器を回す
    手のひらでレザークリームの容器を押さえたまま、容器そのものを回すと簡単に開きます。1度回れば後は普段通りに開けると外れます。

レザークリームの使い方と注意点

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基本的な使い方や注意点を知っておくことで、愛着のある革製品を長持ちさせることができます。ここでは、レザークリームについて使っている内に気になってくる情報を紹介いたします。

レザークリームでお手入れする頻度とは

レザークリームを使ったお手入れは、皮革の種類にもよりますが、基本的に月に1回程度がベストでしょう。手間をかけて更によい状態を保ちたい場合には、2週間に1回程度のお手入れをすると良いでしょう。

それ以上のお手入れは、革の品質を低下させる場合があるので、やりすぎには注意してお手入れしましょう。逆に、手間を極力かけたくない場合でも、年に4回、季節の変わり目にはレザークリームでお手入れするよう心がけましょう。

レザークリームが栄養となりカビが繁殖する

レザークリームは皮革に潤いを与えくれますが、しっかり浸透させたいからと過度に塗りすぎるとカビ繁殖の原因ともなります。

特に湿気の多い季節はカビが発生しやすくあります。1度カビが発生してしまうと取り除くことは困難です。湿気の多い季節にカビを繁殖させないで皮革を手入れするには、レザークリームをしっかり拭き取ることがとても重要です。

レザークリームの使用期限

レザークリームは、主に油脂と蝋の成分で構成されているので、使用期限というものはなく、古くても使うことはできます。しかし、水分も含まれているために、1度開けたレザークリームは次第に乾燥が進みます。

乾燥したレザークリームは固くなり、塗ることはできても潤いを与えることは難しくなります。元の状態に戻すことも可能ですが、手間とコストを考えると買い換えるのがベストと言えるでしょう。

レザークリームを使ったお手入れ方法

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天然皮革のお手入れは、手間がかかり大変なイメージがあるかもしれません。しかし、使うほどに深みが増し、手入れするほど艷やかに保つことができます。手入れ道具を揃えてしまえば、お手入れも比較的に簡単で、塗り磨くと言った単純なものです。作業時間も財布が15分程度、鞄が20分程度のお手入れ時間が目安となります。

レザークリームを使う前に道具を用意する

レザークリームを使ったお手入れは、革の色により豚毛ブラシを使い分けるとより作業がラクになります。

歯ブラシ

使い終えた歯ブラシは、革製品の細かな縫い目や隅の汚れを掻き出すのに役立ちます。毛質の硬い歯ブラシは皮革そのものを傷める場合があるので注意が必要です。

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レザーコートやレザージャケット、天然皮革のソファーといった手入れ範囲の広い製品におすすめです。

豚毛ブラシ

天然皮革の製品のお手入れでもっとも活躍する道具ともいえます。使用する用途は多岐にわたり、汚れを掻き出すブラッシングから着色や潤い与えるレザークリーム後の磨きに使用します。レザークリームの染料がもっとも付きやすいため、皮革の色に合わせて専用のブラシがあると手入れも楽です。

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クロス

汚れ落としクリーナーをクロスに付けて表面の汚れ落としや、雨のシミを馴染ませるのに役立ちます。

馬毛ブラシ

手入れ前のホコリ落としや磨きの仕上げに使います。更に手間をかけて手入れする場合には、山羊毛ブラシを使い仕上げます。

防水スプレー

すべての手入れが終わった後に防水スプレーでコーティングします。油脂の成分が主なレザークリームの上から、撥水性のある成分を薄くコーティングするため、摩擦に弱く磨き後に吹きかけるのが一般的です。コーティングすることで光沢や艶が濁ったようになる場合もあります。

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レザークリームでお手入れする

それでは実際の流れでお手入れの手順を説明いたします。

  1. 汚れをブラッシングで掻き出す
    まず始めに、馬毛ブラシで革製品の全体を丁寧にブラッシングします。ホコリ落としの他に、馬毛ブラシを使うことで静電気が抑えられ、後からホコリの付着も防いでくれます。
    馬毛ブラシが終われば、次は豚毛ブラシで汚れを掻き出します。特に革製品は縫い目もしっかりあるため、縫い穴に汚れが溜まります。細かな部分には使い終えた歯ブラシを使うと良いでしょう。
  2. レザークリームを薄く塗る
    レザークリームを指や布に薄く取り、全体に馴染ませて伸ばします。手間をかけて手入れしたい場合には、指や手のひらを使って馴染ませると良いでしょう。化粧のクレンジングオイルも手でするように、天然の革には手で馴染ませるのが最も適しています。
  3. 余分なレザークリームを拭き取る
    再び豚毛ブラシの登場です。革製品の縫い穴からコバや溝など、レザークリームが残らないように豚毛ブラシで掻き出します。その後、クロスで余分なレザークリームを拭き取りましょう。
  4. ブラッシングで自然な艶を出す
    乾いた豚毛ブラシで自然な艶が出るまで磨き仕上げます。更に手間をかけて仕上げる場合には、馬毛ブラシや山羊毛ブラシで仕上げの磨きをかけます。
  5. 防水スプレーで保護する
    防水スプレーは両手を大きく広げた距離から吹きかけます。近すぎると1点に集中し、シミになる場合があるため注意が必要です。距離が遠すぎるとコーティング成分が空気中に飛散するため、撥水効果が薄れます。
    防水スプレーは、天然皮革そのものの艶が失われます。天然の風合いを楽しみたい場合には、雨の日の使用は避けて、防水スプレーを使わないのもひとつの選択肢です。

天然皮革はお手入れするほど楽しくなる

浸透性の高いレザークリームで潤いをしっかり与え、こまめに手入れすることで、時間の経過と共に革の風合いに深みが出てきます。皮革の種類によって、光沢のある飴色の艶が出るなど、使い込むほど特有の味わいを感じることができます。手間をかけるほど、革はしっとりと手に馴染み愛着も湧いてきます。

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