インターネットの発達により手軽さが増し、最近は特に活発で身近な輸入品。ネットショッピングをしていると、時々「並行輸入品」といった表記を見かけることはありませんか?もしかして海賊版みたいなもの?転売じゃないの?なんだか安いけど、違法?そう思った方もいるかもしれません。今回はその謎を解き、並行輸入品について知っておくべきこと、さらには上手な利用方法についてご紹介します。
並行輸入とは?
そもそも並行輸入とはどういうことなのでしょう。それには対となる「正規輸入」について知る必要があります。「正規輸入品」とは、海外メーカーの日本支社や輸入販売契約を結んだ正規の代理店によって日本に輸入される製品を指します。直営店や公式サイトなどに並ぶ製品はまぎれもなく正規輸入品です。
一方、無関係の小売業者が海外メーカーの直営店や取扱店、ネットショップなどで直接買い付けて輸入するものも存在します。つまり正規とは別ルート(並行)での輸入。これが「並行輸入品」にあたります。
高級ブランドが日本での販路を厳格に定めて販売したものを、正規輸入。そうでないものが並行輸入。このように定義づけられているため、複数業者と契約して卸している食品やサプリメント、または高級ブランドであっても日本では展開しておらず正規ルートが定められていないものは、並行輸入品とは言わないのです。
並行輸入は違法?合法?
メーカーとの契約を取り付けていない業者が販売する。そう聞くと違法のように聞こえますが、そうではありません。1970年に行われた海外ブランド品の並行輸入をめぐる裁判によって、日本国内においては適法であるとの判断がなされました。
ただし、それはあくまで「並行輸入」の話。並行輸入品と称されるもの全体が適法かというと、また少し事情が変わってきます。これについては後ほど。
並行輸入品とアウトレット品の違い
アウトレット品の定義とは、傷物などいわゆる難ありのために正規の製品として販売できる品質の基準を満たさず、メーカーが価格を下げて販売する商品のことを指します。並行輸入は正規の製品だけではなくアウトレット品にも行われており、大幅なディスカウント価格で販売されていることも少なくありません。
並行輸入品を買うメリット
ここまでネガティブな情報ばかりが目立つ並行輸入品。しかしデメリットだけのものであれば、話題になるどころかこれほど日常的に目にすることもなかったはずです。では並行輸入品のメリットとは何なのでしょうか。
何よりもまず最初に挙がるのが、価格です。正規輸入品が定価から値引きされることがまずないのは、ブランドイメージを守る手段のひとつであるためです。これは日本支社であろうと契約を締結した代理店であろうと義務付けられているものと思って良いでしょう。
対して並行輸入品はそういった縛りがまったくありません。為替の変動を見て安く仕入れ、円高の時に安く売るのはもちろんのこと、競合店に合わせて価格を下げることも可能です。
正規輸入では出会えない品も?
「日本未発売」という言葉を目にした、聞いたことはないでしょうか。海外ブランドであれば数量限定であったり、日本でのニーズにマッチしていないとみなされ販売を見送っていたり…。もし正規輸入での販売見通しが絶望的であるようなら、並行輸入品はそれら限定品を日本にいながらにして手に入れられる唯一の手段かもしれません。
並行輸入の落とし穴!購入時に注意しておきたいこと
ブランド製品が安く手に入る。また、国内では通常購入不可能な品を入手できる。この二点が並行輸入のおもなポイントであり、正規輸入では実現しがたい魅力であることは疑う余地がありません。
しかし、さっそく並行輸入業者の通販ページを開いて購入を検討する前に、少し待ってください。メーカーの日本支社はもちろん、契約という保証がされた正規代理店であれば何の不安もなく購入できるのは当然のことです。ですが並行輸入業者に関しては、いったい何が保証されていると言えるのでしょうか?
並行輸入品は偽物の可能性もある
並行輸入品は海外で買い付けられたものです。正規品の直営店で仕入れたものを日本へ卸す、という仕組みになっているはずです。そのはずなのですが、悪徳業者はどこにでも存在します。
正規品の中に偽物が紛れ込んでいる可能性はゼロと言い切れず、それどころか、正規品の並行輸入品と偽ってスーパーコピー品を販売しているなどといったケースもあるのです。偽造品はもちろん著作権違反。これが先ほど軽く触れた、並行輸入品と称されるものすべてが適法かどうかが疑わしい理由です。
ギャランティカードがない?
正規ルートでの購入で手に入るのは製品本体だけではありません。ブランドの紙袋や箱をはじめ、製品を保証するギャランティカード、購入後のメンテナンス、万が一の返品対応、そういったものもすべて含まれています。(ルイ・ヴィトンやエルメスなどのギャランティーカード自体を発行していないブランドは除きます)
並行輸入品においてはその一切が付属していません。もしギャランティカードが付属していたとしても、必要な情報が記載されていなかったり、そもそも偽造でないという保証もありません。ギャランティカードがあることで安心して、ある日買取査定に出したら偽物だった…ということも有り得るのです。
並行輸入品は正規の修理を断られる場合も
並行輸入で手に入れた品がれっきとした本物であっても、やはりメンテナンスの問題は無視できません。正規輸入で手に入れていないものはメーカーによる修理を受け付けてくれない場合が多く、もし並行輸入品を愛用する場合は腕の確かな修理店を探す必要があることでしょう。
並行輸入品の買取
そうして注意点を頭に入れ、長く経営していたり有名だったりなどと信頼の置けそうな並行輸入業者を探し、無事本物の並行輸入品を手に入れることができたとします。それからしばらく経ち、ふと買取をしてもらおうと思うことがあるかもしれません。しかし果たして、正規輸入品同様に買取に出しても大丈夫なのでしょうか?
並行輸入品を買い取ってもらうことはできる?
結論から言うとOK。ただしこれは「本物である」ことが大前提です。業者側でしかるべき鑑定をした結果が本物であるのなら、買い取って販売する側にとっては正規輸入品も並行輸入品も品物自体に違いはありません。もし買取不可となった場合、偽物だとは明言されずとも、なんらかの疑いの余地があったとみなしたほうがよさそうです。
正規品と買取価格は異なる?
先述した通り、本物であるのならそれ以上でも以下でもありません。正規輸入品との差がつくとしたらそれは箱や紙袋、ギャランティカードなどの付属品の有無ですが、買取でもっとも重要視されるのは流通経路ではなく状態です。買取に出す前に使用感や傷などを確認してみましょう。
並行輸入を賢く利用するためのまとめ
並行輸入の基本、購入、そして買取に出すまでをご紹介しました。業者も省き個人輸入をするなどの手段もありますが、普段接する機会の少ない外国語の通販ページを隅々まで読み解いて購入までたどり着くのはそれなりに骨が折れるものです。
並行輸入の利点や欠点、そして注意点を把握してうまく活かせば、憧れだったあのブランド品が手に入るのも夢ではありません。夏のちょっとした冒険に初めてみるのはいかがでしょうか?