2017年より銀座パリス錦糸町店を運営するオーナー様は、元金融マン。リユース業は未経験ながら、買取と販売を巧みに組み合わせた多彩なサービスを提供することで、地域のお客様に親しまれる店づくりに成功しています。銀座パリスを選んだ理由から店舗運営へのこだわりまで、率直に語っていただきました。
【お話をお伺いした方】
銀座パリス 錦糸町店 オーナー
金融業界で長年にわたり活躍し、定年退職後の2017年、オーナーとして銀座パリス錦糸町店を新規オープン。前職で培った緻密な分析力を活かし、店舗の場所選びやデザイン、販売戦略まで自ら工夫を重ね、コロナ禍を乗り越えて堅実な営業を続けている。モットーは謙虚、感謝、誠実。
定年退職後に、金融業界からリユース業へ転身
──まずはオーナー着任前のご経歴についてお聞かせいただけますか?
リユース業を始めるまでは、金融業界一筋で働いてきました。最初に就職したのは大手銀行系のノンバンクで、融資を担当。バブル崩壊後は整理回収機構で不良債権の回収に従事しました。その後はメガバンクで住宅ローンの管理を行い、最後は外資系の債券回収会社(サービサー)にて債権の管理回収にあたりました。リーマンショック後には苦労した時期もありましたが、62歳まで勤めて定年退職し、リユース業界に転じたという次第です。
──すごいご経歴です。なぜ定年退職後にリユース業のフランチャイズ開業という道を選ばれたのですか?
退職時には金融系の企業から誘いも受けたのですが、お断りしました。年齢的に会社勤めが続けられるのはあと数年にすぎないと思いましたし、嘱託社員や契約社員では待遇も正社員時代と比べてかなり劣るからです。最初は金融業の経験を活かしたビジネスを始めようと考えましたが、金融ビジネスは個人で興すのが難しい。そこで考えたのが「これから伸びる産業で開業しよう」ということ。毎年市場が拡大し続けているリユース業界ならチャンスがあると思いました。
──数あるリユース事業のフランチャイズの中から、銀座パリスを選んだ理由はなんでしたか?
いろんなフランチャイズチェーンで話を聞いた中で、総合的に最も良いと判断しました。一番重視したのはコストです。銀座パリスは初期費用が低く、私が加盟した当時はほかの多くのフランチャイズの半分から3分の1程度でした。さらに、ランニングコストも他社と比べてかなり低い。業界の中にはオーナーに対して毎月の広告宣伝費を使うことを要求するフランチャイズ本部もあるそうですが、銀座パリスでは広告戦略はオーナーの自由です。初期費用・ランニングコストの両方を最小限に抑えられる点は大きなメリットでした。
──コスト以外で、銀座パリスに注目したポイントはありますか?
オーナーの自由度が大きいことも魅力でした。広告もそうですが、それ以外の点についても「これをしてはダメ」という縛りがあまりありません。たとえば買取品目や店の場所も自分で決められます。実際、この店舗も自分で空き物件を見つけて契約し、自分でレイアウトを設計して施工会社に注文しました。おかげで店舗開発の費用はずいぶん低く抑えることができましたよ。
買取・販売を組み合わせ、お客様に合わせた多彩なサービスを展開
──物件探しから店舗設計までご自分でされたとは驚きです。なぜ錦糸町を選ばれたのですか?
自宅から通いやすい場所をいくつか調査した結果です。曜日や時間帯ごとの人の流れを、自分でカウンターを使って計測したんです。その結果、錦糸町エリアは人の流れが良く、しかも近隣に住宅が多いことがわかりました。
──ここまで緻密に調査して店舗を立ち上げるオーナーは珍しいのではないでしょうか。
前職が金融業でしたし、債権回収の仕事では債務者の調査を徹底的に行っていたので、その経験が店舗経営にも活かされているのだと思います。もちろん銀座パリス本部からも充実したアドバイスを受けることができますので、オーナーにとってここまでの調査は必須ではありません。しかし個人的には、事前の調査を十分に行うことはビジネス成功に欠かせないと思います。
──店舗を運営してみて、銀座パリスに加盟して良かったと思うことはどんなところでしょうか。
リユース業界には買取専門の店もありますが、銀座パリスでは買取と販売の両方ができます。これが優れたシステムだと思います。なぜかというと、店舗で販売しているブランド品が、「どんな商品を高く買い取っているか」というお客様へのアピールになるからです。当店で販売している商品の半分以上は新品で、希少価値の高い限定品も多い。リユース品も状態の良いものをそろえています。お客様はそれらを見て「あ、これと同じバッグなら私も持っている。この店なら高く買ってくれるんじゃないかな」と思ってくださる可能性が高いでしょう。
──たしかに理にかなった戦略です。しかし、どのようにしてこれだけ良質な販売品を仕入れているのですか?
銀座パリスには、本部から貸し出された商品を加盟店が販売できるしくみがあるので、仕入れリスク・在庫リスクを気にする必要がないのです。そのほかにも「販売ができる強み」を活かせる場面は多いです。たとえばお手ごろな商品を集めてワゴンセールをすれば、興味を持ってご来店くださる方が増えますよね。また、お客様の品物を下取り価格で高く買い取り、店頭の商品を販売することもできます。さらに、お客様の品物をお預かりし、当店のネットショップで委託販売させていただくこともあります。
──お客様のニーズに合わせて、非常に多彩なサービスを手掛けられているのですね。
オーナーの裁量が大きい銀座パリスだからこそできる手法だと思います。アイディアを絞ってお客様一人ひとりに対してきめ細やかにサービスを提供して、喜んでいただく。その結果利益を得るというのが、私の目指すビジネスです。
誠実・感謝・謙虚をモットーに、地域に根付いた店を目指す
──開業されて6年、堅調な経営を続けていらっしゃるのも、緻密な事業戦略ときめ細やかなサービスの賜物ではないでしょうか。
そうだとすれば嬉しいですが、運が良かったのだと思っています。私のモットーはお客様に対して誠実であり、感謝を持ち、謙虚であること。信頼を裏切るような仕事をすれば、たとえ一時的に儲かったとしても、いずれお客様は離れていくものですから。私は浮き沈みの激しい金融業界に長く身を置き、成功の後には必ず試練が訪れるものだということを学びました。コロナ禍の初期には売上が減った時期もありますが、良いお客様に恵まれ何とかしのぐことができました。たとえうまくいっても天狗になることなく、感謝を忘れないことが大事だと思います。
──最後にこれまでを振り返り、あらためて開業して良かったと思うことを教えてください。
精神的な面でいうと、とても自由で気楽に働けていると感じます。銀座パリスはオーナーの裁量権が大きく、夫婦ふたりだけで運営できるのも気が楽ですね。大好きな犬と一緒に店で過ごせるのも嬉しいです。ブランド品が好きなお客様の中には犬好きの方が多いので、犬がきっかけでご来店いただくことも多いです。あとは、健康な限り経験と知識を増やして仕事を続け、自分で定年を決められることも開業して良かったことのひとつ。75歳までには引退しようかと考えているのですが、それまでしっかりお客様のために良い店をつくっていきたいです。