毛皮のコートは時代遅れ?ハイブランドが使用しなくなった背景

毛皮のコートと言えば、高級感があって温かいイメージがありますよね。そのような毛皮のコートは高級志向の層から人気が高いですが、最近ではハイブランドはコートに毛皮を使用することが減ってきました。毛皮のコートは流行遅れで着られなくなったのか、それとも別の理由があるのかその背景を追ってみましょう。

毛皮のコート(リアルファー)は今の時代に合ってない?

毛皮のコート(リアルファー)は今の時代に合ってない?

毛皮のコート(リアルファー)は今の時代には合っていないもので、それは流行だけの問題ではありません。

今の時代は一般人でも昔より気軽に贅沢なファッションを楽しめるようになった一方で、海外の動物愛護団体が抗議デモを行って毛皮の商品の売買をしないように働きかけています。したがって、ブランドイメージが大切なハイブランドはこぞって動物の皮を使わない方針に変わってきています。

ハイブランドの商品は世界中で販売されていますし、その生産数が多ければ多いほど批判も増えます。また、流行としても”オールドファッション”に分類される毛皮のコートは古いと思われるのが一般的です。

ただし、一度廃れた流行が再流行することもあります。毛皮のコートについても同様で、リアルファーの流行が再来する”リアルファーブーム”が起こる年も未だにあります。だからこそ、”完全に終わった流行”とも言い切れない訳です。

しかし、また流行したとしても批判の多い今の時代は率先してリアルファーが使われた商品を購入するのは賢い選択とは言えません。

2017年グッチがFFAに加盟

グッチはFFAに加盟をしているハイブランドのひとつです。グッチでは2017年10月11日にFFAに加盟されたことが発表され、2018年春夏コレクション以降の製品で動物の毛皮を使った商品を作らないという試みが行われています。

毛皮を使わなくなったのはごく最近のことですが、これはブランド価値が高くどんな商品でも売って利益を生み出さなければいけない企業とグッチの違いでもあると言えます。これを受けてこれからのファッションのトレンドが変化していくのは間違いないですよね。

もちろん、リアルファーではなくエコファーと呼ばれているフェイクファーも秋冬を中心としたファッションの主流だと言えます。リアルファーは流行遅れだとしても、エコファーがその代わりとして流行を引っ張っていってくれるでしょう。

最近のエコファーは上質な素材のものが増えているというのも、世代を問わずに選ばれている魅力のひとつです。特に、秋冬には見た目が可愛くて暖かいエコファーの商品が活躍すること間違いなしです。

FFA(Fur Free Alliance)とは

そもそもグッチが2017年に加盟したFFAとはどんなものなのでしょうか。

FFAは”Fur Free Alliance”の略で、毛皮を使った商品作りをすることに反対する国際連盟のプログラムです。その事務局はオランダのアムステルダムにあり、消費者への毛皮を使わない商品の提案や毛皮を使わないブランドの支援などを主な活動としています。

したがって、FFAに加盟しているグッチは、毛皮を扱わないブランドにあたります。

FFAに加盟するにはいくつかの条件がありますが、その規約をクリアする宣誓書をJAVAに提出します。ただし、その中でも対象外となる毛皮があり、それは羊皮と牛皮、馬皮です。

FFAに加盟するブランド側のメリットとしては”Fur Freeブランド”として承認される他、JAVAやFFAのサポートが受けられてブランドの認知度を高めることができたり、”Fur Free Fox”のロゴマークが自由に使えたりすることが挙げられます。

エコファー製造技術の進歩

エコファーというのは本物の毛皮は使用せず、獣毛の代替品となる非常に環境に優しいフェイクファーのことです。最近ではこのエコファーの製造技術が飛躍的に進歩し、質が良い素材を使ったエコファーをファッションに取り入れておしゃれを楽しむ人が増えています。

エコファーは主にアクリル繊維で作られ、その技術力が高いのは何と日本だと言われています。生地にはハイパイル・ボアが用いられ、加工や染色、抜染によって本物の毛皮っぽく仕上げていきます。

エコファーのすごいところは、本物ではないのにミンクやラビットなどそれぞれの毛皮の特徴に合わせた商品を作ることができる点です。また、エコファーだからこそカラーバリエーションも豊富な商品作りができ、より消費者の需要に近付けていくことが可能です。

また、アクリル繊維ではなくポリエステル繊維が使われることもあります。ファーが好きだという方は、これからはエコファーで自分好みのものをファッションに取り入れてみてはいかがでしょうか。

着る機会を失った毛皮のコートはどうする?

着る機会を失った毛皮のコートはどうする?

流行遅れとなって動物愛護団体から批判を受けている毛皮のコートを今着ることに抵抗がある人も少なくありません。しかし、毛皮のコートは元々の金額が高額なものが多いですし、そのまま捨てたりタンスの肥やしにしてしまったりするのはもったいなさすぎます。

着る機会を失った毛皮のコートは毛皮をリフォームして他の形で再利用するか、買い取り店に販売するのが良いでしょう。どちらの方法も環境に優しいですし、タンスの中がスッキリするというメリットもあります。

まずはリフォームして何とか自分で使えないかを考え、難しいようならリサイクルに回すのが正解です。着る機会がなくなった毛皮のコートをどうするか、迷った場合には次の2つの方法を検討してみてください。
 

毛皮をリフォーム

毛皮のリフォームとは、簡単に言えばオールドファッションになってしまった自分の持っている毛皮のコートの生地を使い、他のアイテムに作り変えてしまうことです。

例えば、ロングコートを使って今着てもモダンで素敵なジャケットを作ることができます。また、ボレロや袖の部分だけを他のコートに縫い付けてファーを活かした毛皮を主張しすぎずに目を惹くコートに作り替えたり、ストールやバッグ、ポーチなど洋服以外の小物のようなアイテムに変身させたりすることも可能です。

毛皮のコートをリフォームする時のメリットは使わなくなった毛皮のコートをタンスの肥やしとして無駄にすることがないだけではありません。そのアイディアのひとつとしては、毛皮をジャケットなどに作り替えた後も余った生地で小物を作ることができるなど、無駄なく複数点のアイテムにリフォームできるのが魅力です。

毛皮は長持ちしやすく再利用しやすい生地でもあるので、捨てずに新しいアイテムへと替えるのにも適しています。新しいアイテムへと変わると流行遅れに見えた毛皮も、とてもおしゃれなアイテムになるのが嬉しいですよね。

もちろん、古い毛皮を活用して新しいアイテムへと変身させるのはそれなりに費用がかかりますが、それでも多少の料金をかける価値ある製品に仕上がります。

毛皮のコートのリサイクル(買取)

毛皮のコートを今後一切着る可能性がなく、リフォームもする気がないのであれば買取店に持って行ってリサイクルするのが良いでしょう。リサイクルをする場合は価値が下がらないうちに早めに売るのがポイントです。

買取価格には毛皮の種類や状態などによっても変わるので相場というものはありません。しかし、希少性の高い毛皮や需要の大きい毛皮は比較的高額で買い取ってもらえるというメリットがあります。

希少性の高い毛皮としてはチンチラやセーブルが挙げられ、これらの毛皮は高額で買い取ってもらえることが期待できるでしょう。

まだ着る!という場合の毛皮コートのお手入れ

まだ着る!という場合の毛皮コートのお手入れ

毛皮のコートをまだ着る場合には、お手入れをしながら長持ちさせることが重要です。毛皮はそのまま放置して良いものではなく、クリーニングや正しい保管方法で保管をするなどきちんとお手入れをしなければいけません。

毛皮だけに言えることではありませんが、きちんとお手入れをした洋服やアイテムは長持ちしますが、お手入れをしなければ劣化が早まってしまいます。そうなると長く着られなくなりますし、買取を希望する場合にも期待した値段が付かずに損をすることになりかねません。

どちらにしても、毛皮は高いものなので高級感をキープできるように自分でお手入れをする、場合によっては専門店を利用してみるのもおすすめです。

毛皮コートの洗濯・クリーニング

一言でクリーニングと言っても専門クリーニングや宅配クリーニング、一般のクリーニングがあります。

専門クリーニングでは専門家がクリーニングを担当してくれるというだけあり、臭いや毛並みの状態が改善されます。料金も比較的高額で、コートの場合には3万円近いこともあります。

宅配クリーニングは忙しい人におすすめで、専門クリーニングよりも少し安めの価格設定になっています。

一般的なクリーニングでは毛皮の専門家ではないので、汚れは落ちるかもしれないですが毛並みなどについては保証できないでしょう。そういった意味でもお金をかけても良い状態にしたい場合は、やはり専門クリーニングを活用するべきです。

毛皮コートの保管方法

毛皮のコートの保管方法は、着用したらお手入れをしてから保管をすることです。毛皮は軽く叩いて振ったり逆さにしたりすることで毛皮の間に挟まった埃などの汚れもしっかりと払い落としてから保管をしなければいけません。

また、毛皮にはお手入れ専用のブラシがあります。保管をする前には必ずそのブラシを使い、毛並みの方向に沿ってブラッシングをすることを忘れないでください。

さらに、保管をする時に使う防虫剤は一種類のみにしたうえで、クローゼットの中でコートが引きずらないように太めのハンガーを使って高い位置に吊るすようにしましょう。

保管をする時には自宅でも良いですが専門の業者に依頼することもできるので、自信のない方は検討してみてください。

「毛皮コート」と言えばエコファーな時代

今は芸能人などの有名人が本物の毛皮のコートをSNSにアップするだけで批判をされてしまうような時代です。それだけ動物や環境を大切にする人が増えている中で、気軽にリアルファーのコートを着用しにくいですよね。

最近ではどちらかと言えば”毛皮コート”と言えばエコファーを思い浮かべる人が多いような時代です。エコファーも質が高くおしゃれの幅を広げてくれるものが増えていて、「偽物だからエコファーは買わない」という人よりもあえてエコファーを選ぶ人が増えています。

これからは時代に合わせてエコファーのコートで可愛いコーディネートに挑戦してみませんか。