アクアマリンという宝石をご存知ですか?その名前の通り、海の色と同じような鮮やかな青色をした宝石です。今回はこのアクアマリンについて知っていきましょう。産地はどこなのか、価値を決めるのはどのようなポイントなのか解説していきます。
アクアマリンについて
アクアマリンとはどんな石?
海を思い出させるようなきれいな青色の宝石アクアマリンは、そのブルーが特徴です。中でもより濃い青い色をしたアクアマリンは、「マシーシェ」と呼ばれています。
アクアマリンが青くなるのは、内部に含まれる二価の鉄イオンによるもので、黄色っぽい色のものは三価の鉄イオンによるものだと考えられています。二価と三価の鉄イオンの両方が存在すると、マシーシェのような濃い青色になります。
アクアマリンの特徴
アクアマリンは、鉱物学的にいうとエメラルドの親類にあたり、ベリルの中で透明のスカイブルーのものをいいます。そして、エメラルドと比べると内包物が少なくて衝撃に強い特徴を持った石です。色の系統はさまざまなものがあって、青系・水色系・緑系・灰色系のものの4種類に分けたとき、評価が一番高いのは青系です。
昔のヨーロッパの船乗りたちは、海の色にそっくりなアクアマリンを「海の力を宿したお守り」として大切にしていました。アクアマリンの名前の由来は、ラテン語で海の水のことを意味する「aqua marina」です。
アクアマリンの産地
ブラジル
アクアマリンといえばブラジル、といわれるほどブラジルで採掘されるアクアマリン。中でも濃くて深い色の「サンタマリア」と呼ばれる石は、最高品質とされています。ブラジルのアクアマリンはグリーンが強く色が薄いので、多くのものは加熱処理されてブルーの色を濃くしますが、このサンタマリアは自然の色を生かす加工がされます。
ブラジルは他の産出国と比べると、産出量・品質ともに他の国を上回り、傷が少なく大きなサイズのものが獲れることで有名です。
1910年には110kgもの結晶が産出されたことで世界的に有名になりました。他にも1992年にはドイツの芸術家がデザインしてカットされた26kgものアクアマリンがあり、これはカットを施したものの中で世界最大のものです。
アクアマリンの価値を評価するポイントに産地がありますが、ブラジル産のアクアマリンは品質がよいため、高い価値がつけられることが多いのです。
ナイジェリア
ナイジェリアでアクアマリンの採掘が始まったのは、1893年で他の産出国に比べると比較的歴史が浅い国です。原石はブラジル産と比べると、1~2ctのものが多いため小さめではありますが、大きさが手頃で色が濃いので人気があります。
モザンビーク
モザンビークは、ナイジェリアよりもさらに歴史が浅い産出国です。しかし、モザンビークで産出されるアクアマリンは、ブラジルのサンタマリアに劣ることない、色の濃いアクアマリンが出ることがあります。その中でも最も品質が良いものを「サンタマリア・アフリカーナ」と呼び、サンタマリアとともに人気があります。
モザンビーク産のアクアマリンは、色が濃すぎるとグレー系の色になって価値が下がってしまうのですが、このサンタマリア・アフリカーナは透き通ったブルーが大変きれいで希少価値がとても高く、高額で取引されます。
アクアマリンの価値と買取相場
アクアマリンの価値は色とキャッツアイ効果の有無で決まる
透明度が高く青色が濃いほど価値があがる
アクアマリンの評価を大きく左右するのは、カラーです。アクアマリンの色は青系・水色系・緑系・灰色系となり、価値はこの順番で高くなります。ただ、濃いだけではなく、アクアマリンに必要なのは「透明度」です。海のように透明で澄んだ濃い青色のものが高評価を得るのです。
中でもブラジルのミナス・ジェイラス州のサンタマリア鉱山のアクアマリンは、濃い青色のものが出るため最高級のものだとされています。しかし、今では鉱脈が衰退して産出されることがなくなってきました。そのため、もし手元にサンタマリア鉱山で獲れたアクアマリンがあったら相当な価値があり、買取価格も高額になるでしょう。
猫の目のようなキャッツアイ効果があるものが希少価値が高い
キャッツアイ効果とは、宝石の表面に猫の目のような光の筋が現れるものをいいます。エメラルドやアレキサンドライトなどにも稀に現れるキャッツアイ効果は、この効果が現れる宝石自体がなかなか産出されないことから、価値が高くなります。
アクアマリンの買取相場
アクアマリンの買取は、買取業者によりますがだいたいルース(裸石)1ctで、評価が高いSクラスで5,000円、次いでAクラスで3,500円、Bクラスで2,500円ほどです。
このクラスはアクアマリンの石の状態によって異なりますが、「透明度が高く傷がない」「厚みがあって石にボリュームがある」「輝きが強く濃い青色」であることが高い評価を得られます。
アクアマリンの処理方法
アクアマリンは、産地によって緑がかった色のものが産出されることがあるため、青に近づけるために処理を行うことが多いです。その処理方法は、一般的に加熱処理や含浸処理です。この方法は他の宝石でも行われることが多く、天然石の風合いを損なわない程度の方法であれば価値を下げることはありません。
アクアマリンは熱を加えることできれいな色合いが出るので、人工的に加熱処理をしてきれいな青色を出します。
アクアマリンのお手入れ方法
宝石はそれぞれの特徴に合った方法でお手入れをしなければなりません。アクアマリンは傷に強く割れにくい特徴があります。しかし、汗や皮脂が表面に付くことで曇りの原因になりますので、使用したら柔らかい布で表面を優しく拭きましょう。
汚れがひどいときは、洗面器にぬるま湯を入れて中性洗剤を数滴入れ混ぜた中で先が柔らかい筆で洗いましょう。
傷がつきにくいとはいえ、硬い毛のもので強くこすることはやめましょう。汚れが取れたら、洗面器の洗剤入りのお湯を捨てて新しくぬるま湯を入れて、その中でよくすすいで石鹸成分を取り除きましょう。よくゆすいでから、乾いた布で丁寧に拭いて自然乾燥させます。
汗や皮脂のほかに、除光液、ヘアスプレイ、化粧品、塩素系漂白剤、温泉、紫外線には触れないようにしましょう。
宝石の保管方法は、直射日光やエアコンの風が当たらない場所で、ジュエリーボックスなどに個別にしまいましょう。宝石の中には表面に傷がつきやすいものがありますので、他の宝石と一緒に保管することは避けてください。
アクアマリンの価値を下げずに買取してもらうためには
宝石を買い取ってもらいたいときには、なるべく高値で買い取ってほしいものですね。少しでも高く買い取ってもらうためには、日頃のお手入れを欠かさず行うことが重要です。
アクアマリンは表面に傷がつきにくいとはいえ、汗や皮脂で表面がくすんでしまうことがあります。そうなるのを防ぐために、ジュエリーを身につけたら布で拭いてからしまうことを習慣づけましょう。
また、購入したときについてきた保証書や鑑別書、ケースは捨てずに保管し、査定に出すときには必ず一緒に持っていきましょう。
査定に出す前にクリーニングをしてきれいにしておくこと、自分が持っているアクアマリンのカットや大きさなどの情報をしっかり把握しておくことも重要です。そして、査定は複数の業者に依頼して納得できる価格で買い取ってもらうようにしてくださいね。