レッドベリルはダイヤモンドよりも価値がある?希少性の高い石の特徴や産地について

レッドベリルは、アメリカのごく一部でしか産出されていないことで知られている希少性がある石です。名前の如く、赤い美しい色はルビーとはまた違う色合いで、宝石コレクターからは大変人気がある石です。その希少価値からダイヤモンドよりも高値で取り引きされることでも知られています。

レッドベリルとは

レッドベリルとは

レッドベリルの名前の由来とその歴史

アメリカの一部でしか産出されないレッドベリルは、ベリリウムを含んだ六角柱状の珪酸塩鉱物です。ビクスバイトとも呼ばれる緑柱石の一種であるレッドベリル。この名前は最初にメイナード・ビクスビーがこの石を見つけたことから、発見者の名前にちなんで付けられました。

後に1912年、アメリカのワーワーマウンテンで宝石質の石が見つかりました。ワーワーマウンテンでの採掘権を買い取ったレックス・ハリスは、「ビクスバイト」の名前がすでに鉱物名として認められていた「ビクスビアイト」と名前が似ていて、混同されるのを避けるため、赤い色をした緑柱石ということから「レッドベリル」と名付けました。

それ以降、レッドベリルの名前が広まっていきました。

レックス・ハリスはレッドベリルを広めるため、1994年にレッドエメラルド社という会社とタッグを組んで売り出そうとします。これを機に、レッドベリルはアメリカでは「レッドエメラルド」と呼ばれるようになります。

しかし、この美しく赤いレッドベリルの採掘者権に、世界1、2位を争う鉱業・鉱山資本の多国籍企業であるリオ・ティント社が名乗りをあげました。リオ・ティント社は、ピンクダイヤモンドで有名なオーストラリアのアーガイル鉱山を率いている大企業です。

しかし、この会社の見込み違いによりレッドベリルは思ったよりも採れなかったため、リオ・ティント社はユタ州をさることになります。そして鉱山はレックス・ハリスの元に戻りました。

レッドベリルの特徴

レッドベリルはベリリウムをキー元素としますが、同じようにベリリウムをキー元素とするアルミニウム珪酸塩鉱物は鮮やかな緑色をしているエメラルドです。

ベリルは無色透明ですが、結晶内に異なった金属元素が混入することでさまざまなカラーバリエーションが生まれます。そして、クロムが入った場合はエメラルドグリーンに、マンガンが入った場合はレッドベリルができるのです。

淡いピンク色になるとモルガナイトとなりますが、発色原因は同じくマンガンです。同じ鉱物の宝石は、緑色のエメラルドや水色をしているアクアマリン、黄色のヘリオドールなどがあります。

レッドベリルの産地

レッドベリルは鉱物学者であるメイナード・ビクスビーが、1904年アメリカユタ州ジャブ郡トーマスレインジで見つけたのが最初です。ここで見つかった石は発見者の名前から「ビクスバイト」と名付けられました。そして、ユタ州南西部のビーバー郡ワーワーマウンテンで、レイマー・ホッジスが宝石質の結晶を掘り出しました。

ホッジスから採掘権を買ったレックス・ハリスがこの石をGIA(1931年設立の世界最大規模である宝石研究機関)に持ち込んで、美しい赤いベリルであることから、その石を「レッドベリル」と名付けて宝石界にデビューさせました。

レッドベリルの希少性

レッドベリルの希少性

レッドベリルが希少といわれるのは、産出される鉱山がアメリカユタ州だけだということが理由に挙げられます。そして、この鉱山は現在は閉山されているため、新たにレッドベリルが産出されることがないということになります。

また、レッドベリルはインクルージョンが多くカットが難しいため、大きなサイズのものがほとんどありません。アメリカでは希少性がある石として知られていますが、日本ではその希少性から存在を知らない人も多く、日本ではエメラルドと呼ぶことがありました。

発色によって異なる呼び名

発色によって異なる呼び名

赤い美しいレッドベリルの発色には、マンガン(元素記号Mn)が関わっています。レッドベリルのほか、ピンクベリルと呼ばれる「モルガナイト」や「ペツォッタイト/ラズベリル」があります。

赤が濃い色のものをレッドベリルといい、赤系で淡い色のものをモルガナイトといいます。このようにレッドベリルは、色の発色により呼び名が異なるのです。

レッドベリルの石言葉とパワーストーンとしての意味

レッドベリルの石言葉とパワーストーンとしての意味

レッドベリルの石言葉

レッドベリルの宝石言葉は、「永遠の若さ」「幸福」です。ここでいう幸せとは、身も心もともに若さを保ち続けられることをいいます。

パワーストーンとしてのレッドベリル

レッドベリルはパワーストーンとしても人気がある石です。その効果は、平等公平・聡明・機知・誠実・清廉な心・浄化・気品・洞察力・道徳心であります。

また、レッドベリルは「とっさに適切な対応ができ、理解力があり誠実な言動をすることで、周りの人たちと円満な関係を築くことができる」ためにサポートしてくれるといわれています。

レッドベリルはこんな人におすすめ

レッドベリルは持っているだけでも、その希少性から人に自慢できる石です。そして、鮮やかで情熱的な色をしているレッドベリルは、ポジティブな力を与えてくれるといわれています。

物事に取り組む時、レッドベリルは情熱的で有意義な時間を過ごさせてくれます。また、ルビーと同じ美しさを象徴するぽわーストーンなので、美しさを維持したいと願う人が身につけるとよい影響をくれるとされています。

そして、レッドベリルはヒーリングストーンとしても人気で、深い癒やしやストレス解消に期待できる石とされています。

レッドベリルの価値

akariさん(@akari.isp)がシェアした投稿

宝石質のレッドベリルは希少

レッドベリルは採石されることが稀です。その中でも宝石質の石は今はほとんど採掘されません。そのため、世界1、2位の大企業が採掘権を買い取ったものの、予想していたほど採石できず、採算が合わず撤退したほどです。今では採掘権を取り戻したハリス一家が採掘を行っていますが、すでに枯渇しているといわれています。

このようなことから、宝石質のレッドベリルは今後は採掘されることはないだろうと見られているため、現在市場に流通しているレッドベリルは過去に採掘されたものです。この希少性から上質なレッドベリルは、同じカラット数のダイヤモンドよりもはるかに高値で取り引きされます。

レッドベリル ネックレス
楽天参考価格 税込 190,000円
出典:京セラジュエリー楽天市場店|楽天市場

インクルージョンと傷

レッドベリルのほとんどはインクルージョンがあります。ベリルが同じであるエメラルドにインクルージョンが多いように、レッドベリルも傷を伴います。レッドベリルが成長する過程の中で不純物が混ざるのが原因です。レッドベリルは大きく成長するものがほとんどなく、原石は小さいものがほとんどです。

原石のインクルージョンが多ければルース(裸石)のカットが難しく、傷が多ければカットするときに原石が割れてしまう場合が多いので、0.5カラット以上のレッドベリルは貴重といえます。ほとんどのものが0.2カラット以下になってしまいます。

レッドベリルの取り扱い

レッドベリルは、強い力を加えたり引っ張ると石が欠けることがあります。また、太陽の光や熱、衝撃、水により変色や破損する場合があるので、取り扱いに十分注意することが大切です。硬度は8と硬い方ですが、他の石とぶつかると割れてしまうことがあるので、個別に保管するようにしましょう。

相性が良い石

レッドベリルは情熱的な石だといわれていますが、その石と相性が良いのは同じ情熱的な色をするルビーです。レッドベリルとルビーを組み合わせると、「常に情熱的でいられる」「究極の美」という意味があります。

ダイヤモンドよりも高値がつくほど希少価値があるレッドベリルですが、持っているとピジティブで情熱的なパワーを与えてくれます。なかなか手に入らない石ですが、手に入れることができたら素晴らしいですね。