ハミルトンの『カーキフィールド』とは?時計初心者こそ着けたい重厚な存在感と魅力に迫る

正確で精密で壊れにくく、ハイセンス。必要な性能をこそ求めてたどり着くのが高級腕時計ですが、同時に高価格や資産価値の代名詞にもなっているのは否めません。しかし、もし手の届く価格でそれらの条件を満たしている腕時計があったら?今回はその夢をかなえるウォッチメーカー「ハミルトン」の逸品、『カーキフィールド』についてご紹介します

知る人ぞ知る?名門ウォッチメーカー・ハミルトン

ハミルトン(Hamilton Watch Company)はアメリカ発祥の腕時計メーカーです。しかしその発端は個人が立ち上げた小さな工房からではありません。1874年頃にペンシルバニア州で設立された「アダムス&ペリー時計製造会社」が母体となり、さまざまな中小の時計企業が絡んだすえ、1892年に「ハミルトン」として誕生したのでした。

ところでそのアメリカでは、19世紀も半ばに差し掛かろうとした頃から本格的な鉄道開発が始まっていました。しかし当初の未成熟な鉄道網は運行時間の共有も満足に行なわれておらず、広い大陸の上でおのおのが好き勝手に運行基準時間を設けるありさま。

数分の時差を考慮しない精度の曖昧な時計と現場の鉄道員の判断力、それのみで運用される路線が多くの事故や混乱を呼ぶのは当然のことでした。鉄道には、これまで用いられていた輸送手段にはなかった、精密な運用が急務とされていたのです。

そこでタイムキーパーとして抜擢されたのがハミルトンでした。創設間もないハミルトンが製造した懐中時計『ブロードウェイリミテッド』は多くの時計メーカーを退けて鉄道員たちの圧倒的な支持を得、公式鉄道時計として採用されます。

「アメリカ鉄道のタイムキーパー」として名を馳せ、飛躍した、大きな転換期でした。

ちなみに鉄道に続いて1918年に着手した航空時計も、米国初の定期航空郵便に公式に採用されています。

アメリカから吹き渡った風は映画界の寵愛を受け続ける

ハミルトン最初の腕時計が開発されたのは1917年のこと。連合軍と中央同盟軍によって勃発した第一次世界大戦時、軍からの要請を受けて生まれた『カーキ』がそれにあたります。

腕時計のほかにも海軍が使用する船舶用特殊時計「マリン・クロノメーター」など、高い精度と技術力、耐久性、なによりもそれらを持ち合わせたうえでの大量生産性が重用の理由でしょう。

その20年後にあたる第二次世界大戦時には生産ラインのすべてを軍需品専用に切り替え、100万個以上の軍用時計を製造したという点から、米軍にとっていかに必需品であったかがうかがえます。戦後、体制を一般向けに切り替えたハミルトンは、戦争収束による平和と繁栄の気風に乗っていきます。

1957年には世界初の電池式腕時計『ベンチュラ』を発表。ひと目見たら忘れられない三角形のケースは、現代においても遜色のない革新性を誇っています。

マイクロ・ローター式自動巻の特許を持っていたスイスのビューレン社を買収し、拠点をスイスへと移行。4社共同で開発した腕時計用自動巻クロノグラフ機種『キャリバー11』、世界初の発光ダイオード(LED)式デジタルウォッチ『パルサー』…などなど、開拓精神に満ち溢れたアメリカらしい企業のありようは愛国心をくすぐるものがあったのでしょう。

スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」が特に有名ですが、さかのぼれば1932年の「上海特急」から始まり450本以上の映画や海外ドラマにハミルトンの時計が登場し、今なおその出演作は増え続けています。

メンズラインのみならずレディースラインもかつて特別な贈り物としてアメリカ女性の憧れを受けていたハミルトン。装着する俳優は男女を問いません。

高性能の腕時計=高価の固定観念を打ち破るハミルトンの腕時計

そんな「時計通なら常識」のハミルトンですが、一般的な知名度はというと「誰もが知る」…という地点までは至らないのではないでしょうか。その理由のひとつにあたるのはおそらく価格ではないかと考えます。

突然ですが、記事を読み進める手をここで少し止めてください。「長い歴史を持つメーカーの高品質で高性能な腕時計」と言われて思い浮かべる価格帯を想像してみてくださいね。

…大丈夫でしょうか?では、ハミルトンの腕時計の価格についてご案内しましょう。

たとえば2018年10月現在、公式サイトのトップに展示されている『アメリカンクラシック Intra-Matic Auto Chrono』。こちらの希望小売価格は280,800円となっています。最新式の『カーキフィールド オートクロノ』はというと、221,400円。さらに探せばレディースの最新作『ジャズマスター レディオート』が96,120円という驚異的な価格。

「高級腕時計」として挙げられにくく語りにくい理由は間違いなくここにあるでしょう。しかしハミルトンに向けられ続けた信頼を知っているのなら、ただ単に安時計と一蹴してしまうにははばかられる製品であることはご存知のはずです。

公式サイト:www.hamiltonwatch.com/ja-jp/

ハミルトンの時計 | レディース&メンズウォッチ |公式Webサイト

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ハミルトンの『カーキフィールド』の魅力に迫る!外観だけじゃないビンテージの風格

そのハミルトンの中で今回ご紹介する時計が『カーキフィールド』です。ハミルトンの人気を支え、さらに押し上げた腕時計を挙げるとすればやはり『カーキ』シリーズですが、その中でもプレーンな『カーキフィールド』はもっともよく知られているモデルでしょう。

最近ではケース径50mmという圧倒的な存在感を放つ型が誕生したことも話題になりました。

そもそもハミルトンの『カーキ』とは何か?

先の項目で先述した通り、『カーキ』とはもとは軍用に製造された時計の名です。これをルーツとし、現代に合わせた一般向けのモデルへとデザインやディテールを落とし込んだものが今の『カーキ』シリーズになっています。

『カーキ』シリーズというのも、『カーキフィールド(陸)』の他に『カーキネイビー(海)』『カーキアヴィエーション(空)』が存在するため。ミリタリーウォッチの流れを汲んでいることがここからもうかがえますね。

ルーツを知ることで見える機能性

軍人が装着する腕時計においてもっとも重要な機能は、寸分の狂いもない正確性と頑丈さであることは疑いようのない事実です。

実のところ、採用されている内部ムーブメントは自社製造のものではなく、ETAという世界最大のムーブメント製造メーカーが製造している汎用ムーブメントなのですが、これはなんとタグ・ホイヤーやオメガのムーブメントと同じ出自のもの。

いずれも時計業界最大手のグループ「スウォッチグループ」に属するがゆえの提供であり、つまりハミルトンの内部機能はそれらの高級腕時計となんら遜色がないということも意味しています。

内部ムーブメントへの信頼性は高く、さらにミリタリーウォッチこそ『カーキ』のルーツ。頑健性における歴史は言うまでもありません。時計の価値は価格ではなく性能にあると考えているのなら、ハミルトンの時計は有力な選択肢に数えておくべきではないでしょうか。

タフでラフ!カーキフィールドのキャンバス地ベルトなら交換も幅調整もカジュアルに

『カーキ』の特徴のひとつはベルトにあります。高い防水性が特徴の『ネイビー』、空軍時計の仕様を大事にした『アヴィエーション』はスチールやレザー(ネイビーにはラバーも)などの素材が主ですが、『フィールド』における主流のベルト素材はレザー、そしてキャンバス地

『カーキ』シリーズの中でも『フィールド』は視認性に重点が置かれたモデルです。どこかレトロな雰囲気も持ち合わせたシンプルでプレーンなデザインに対し、ラフなテイストのキャンバスベルトは驚くほどの好相性。

他の素材より幅調整の融通がきくのも大きな魅力ですが、純正ベルト単品の製造販売がされていることから分かるように、カスタマイズもカジュアルに楽しめるのが大きなポイントとなっています。公式に依頼するのはもちろん、自己責任のもと自分の手で交換してみるのも新鮮な楽しみを味わえるかもしれませんね。

『カーキフィールド』の人気ラインナップを紹介

それではここで、ハミルトン公式サイトにて販売している『カーキフィールド』のラインナップをご紹介しましょう。

カーキフィールドオート

希望小売価格は76,680円~89,640円。チタニウムオートは113,400円。

自動巻きムーブメントを搭載したカーキフィールドであるため『カーキフィールド オート』。名称こそ単純明快ながら、性能はタフの一言に尽きるモデルです。その理由はETAから製造されているハミルトン専用ムーブメントH-10。オートに搭載されているこの自動巻きムーブメント、標準持続時間(パワーリザーブ)はなんと80時間にも及んでいます。

簡単に言えば、ゼンマイを巻ききってさえいれば装着していなくても優に3日間は止まらず動き続ける機械式腕時計である、ということ。近年はロングパワーリザーブタイプの機械式時計も増えていますが、この価格帯で実現しているのは数えるほどもなく稀少です。

カーキフィールドメカニカル

希望小売価格は57,240円~149,040円。

非公式では『メカ』とも呼ばれています。ケース径は従来の38mmモデルに加え、今年発表された50mmモデルがサイズ同様に圧倒的なインパクトを与えて話題となりました。メカニカルの名が表す通りの機械式ムーブメントは、規則正しく毎日同じ時間に巻くことで愛着が増す手巻き式であることが特徴です。

現在生産されているモデルは1940年代のオリジナルモデルを忠実に復刻したデザインでもあり、蛍光塗料があしらわれたインデックス、明暗のはっきりとした文字盤構成など、視認性に徹底的な配慮を感じることができる逸品でしょう。

カーキフィールドクォーツ

希望小売価格は51,840円から。

クォーツ式とは電池で動くムーブメントのこと。上記2モデルに用いられている機械式とムーブメントの様式を二分している動力にあたります。

リューズを巻く必要がないのは非常に便利なその一方で、電池切れに対してはメンテナンスを依頼するほかないのがクォーツ式の難点。とは言うものの、1年程度であっさりと消耗するものでもありません。手の届く価格や想定する使用年数を考慮してみると、非常に魅力的なモデルと言えるのではないでしょうか。

カーキフィールドデイデイト

希望小売価格は104,760円。

日付のみを表示するモデルがデイト、日付に加えて曜日を表示するモデルがデイデイト。デイデイト表示機能を持つハミルトン専用ムーブメントH-30を搭載しているのが『カーキフィールド デイデイト』にあたります。

こちらも80時間のロングパワーリザーブ。デザイン的には『メカニカル』と近似したものですが、機能面では自動巻きの点で『オート』の比較対象となるでしょう。

カーキフィールドキング

希望小売価格 オートは74,520円、クォーツは52,920円から

Hamilton Khaki King カーキ フィールド キング オート
参考価格 税込 70,400円
出典:ハミルトン公式オンラインストア|楽天市場

つや消しのスチールケース、12時の位置へ王冠のように戴いたデイデイト表示。『キング』はカーキである以上装飾性こそ控えめですが、スチールまたはレザーのベルトで引き締められたスタイルにはエレガントな趣を充分に感じることができるはずです。自動巻き式とクォーツ式の2種が製造されています。

カーキフィールドオフィサー

希望小売価格 オートは111,240円、メカニカルは79,920円。

Hamilton Khaki Officer カーキ フィールド オフィサーオート
参考価格 税込 81,400円
出典:ハミルトン公式オンラインストア|楽天市場

視認性が高いカーキフィールドの中でも飛び抜けてその特性が強調されているものといえば、『オフィサー』で間違いないでしょう。

黒い文字盤に浮かび上がる明色で配置されているのは、他ではなかなか見ない大きさの数字と装飾性を廃した針。モデルによっては秒針が片隅のスモールセコンドへ退けられていたりデイト表示も存在しなかったりと、まさに無駄を省ききることを追求しているような雰囲気さえ感じられるモデルです。

こちらは自動巻き式と手巻き式の2種が製造されているようです。

カーキフィールドスケルトン

希望小売価格141,480円から

自動巻きムーブメントの精密な動きを眺めていたい。正直なところ視認性という点ではカーキフィールドの主旨から少し逸れるかもしれませんが、それにしても『スケルトン』が魅力的で贅沢な時間をいつでも惜しみなく与えてくれるモデルであることは疑いようがありません。

ダイヤル上で交差するプロペラの奥、正確に時を刻み続けるムーブメントを見つめていると、静かな心地さえ得られることでしょう。

カーキフィールドオートクロノ

希望小売価格 210,600円から

カーキフィールドのクロノグラフモデルといえばこの『オートクロノ』。文字盤の3-6-12を省くかわり縦に並べられた2つのクロノグラフは、知的で整然とした印象を放っています。デイデイト表示、10気圧(100m)防水などといった機能も揃え、あらゆるシーンとスタイルに対応できる万能性を発揮すること間違いありません。

手巻き?クォーツ?カーキフィールドの時計知識について知ってみよう

カーキフィールドの各種バリエーションについてご紹介いたしましたが、機械式やクォーツ、自動巻きなどの単語を散見し疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。時計好きの方には常識ではあるかと思いますが、この項目にて簡単にご紹介いたしましょう。

腕時計のムーブメントは「機械式」「クォーツ式」の2種類に大別されます。

まずは機械式について。こちらは「手巻き式」と「自動巻き式」の2種にも分けられています。電池を使用せず、部品が健康なうちはムーブメント(時計の運動部分)だけで時を刻み続けられるのが最大の特徴でしょう。しかし電池の代わりになる動力は必要です。

「手巻き式」はリューズを巻くことで動力となりますが、1,2日に一度のペースでこまめに巻かなければ止まってしまうのが不便なところ。

対して「自動巻き式」は時計を着用している腕の動きによって内蔵部品が動力を作る仕組みになっており、装着しているかぎりは動き続けます。裏を返せば、装着していないと止まってしまうのが欠点とも。

一方のクォーツ式は電池を動力にしているムーブメントです。電圧をかけると一定の周期で規則的に振動する水晶(クォーツ)を用いて作られているため、この名が付きました。
電池交換のタイミングは時計によってさまざまですが、クロノグラフを頻繁に作動させるなどの酷使をしなければ2~3年は持つのが一般的です。

大雑把な管理でも動き続けてくれるのが魅力であり、交換のたびに費用と手間がかかるのが難点なのは言うまでもないでしょう。

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手の届く高級品ハミルトンの『カーキフィールド』は物の本質を教えてくれる

時にタイムピースとも呼ばれる高精度の腕時計は、上限を見ることも難しい高級品の代名詞でもあります。しかし名高いブランドにまつわる資産や身分証明としての付加価値を度外視し、ただ純粋にその性能や存在を味わいたいのであれば、ハミルトンのカーキフィールドは何の不足もないアイテムでしょう。

腕時計という機械の本質を深く知ることができるはずです。

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