カルティエ『ベニュワール』は女性らしさを大事にしたい貴女のために!サイズやベルト・ケースのガイドライン

女性向けのドレスウォッチといえばやはりカルティエ。スクエアケースの「タンク」やラウンドケースの「バロン・ブルー」などが挙げられますが、なにより個性的なスタイルを求めるなら『ベニュワール』を忘れてはいけません。宝石のルースを思わせるエレガントなオーバルケースはフェミニンでアーティスティック。ブレスレットのように手首を柔らかく彩る『ベニュワール』について、ちょっと詳しく知ってみてはいかがでしょうか?

『ベニュワール』とは?

オーバル、つまり楕円形のケースを用いたデザインの高級腕時計。それ自体はさまざまなウォッチメーカーに見られる形状で、決して珍しいものではありませんが、重要なのは『ベニュワール』がカルティエの腕時計であるということでしょう。

カルティエウォッチについて知っておくべきこと

世界で初めての腕時計はカルティエが生み出した「サントス」であると言われています。実はこれについては諸説あり、「腕時計」の定義を何とするかによっても挙がる名が分かれる議論の種。それでもカルティエが世界有数の宝石商であること、そして腕時計メーカーであることは、誰もが認めるところではないでしょうか。

「王の宝石商、宝石商の王」。エドワード7世から与えられた称賛が示す通り、カルティエは卓越した技術力とそれに見合う華やかで優れたデザイン力を誇っています。それは現代においても確かに感じられる、カルティエというブランドの「芯」に他なりません。

時計の性能、精度をたえず研ぎ澄ませていくことは腕時計メーカーとしての大前提。それに加えてカルティエは、他の多くのウォッチメーカーが持たないジュエラーとしての側面も追求し続けています。

タイムピースであると同時に、ジュエリーである。カルティエウォッチとは実にシンプルな、そして魅力的な、この一言で表せられるのではないでしょうか。

アンティークな魅力?カルティエ『ベニュワール』の歴史

どこの国の言葉?と首を傾げたくなるその名前は、フランス語で「バスタブ」の意味を持っています。

1900年代初頭、当時カルティエはフランス皇室のみならず、英国王室、ポルトガル王室に次いでロシア皇室の御用達とまでなっていました。そのころのカルティエ経営者は三代目、創業者の孫にあたるルイ・カルティエ。

「サントス」の発表、技術力の点において30年ほど他社の追随を不可能とさせたプラチナの取り扱いなど、飛び抜けた技術力と発想力によってカルティエの地位を確固たるものにした人物です。

時代の先駆けとなった腕時計、1904年の「サントス」から8年後の1912年。ロシア大公妃マリア・パヴロヴナが着用していたダイヤモンドとオニキスの腰飾り(シャトレーン)から発想を得たルイ・カルティエは、楕円形の懐中時計を創り上げます。これを見たマリア・パヴロヴナから出たのがまさしく「西洋のバスタブのよう」という言葉。

当時はそこで終わったものだったのですが、時を経て1973年。腕時計として生まれ変わったそのバスタブ型は改めて『ベニュワール』の名を与えられ、2009年にはコレクションの刷新まで行なわれるカルティエの定番ウォッチとなったのでした。

沈黙の期間も含めるとその歴史、なんと110年以上!不思議とアンティークでクラシカルな魅力も秘めているように感じたなら、それは歴史が残した息吹なのでしょう。

カルティエの『ベニュワール』に迫る!

高い装飾性の理由と歴史についてご紹介したところで、肝心の『ベニュワール』そのものに触れなければ意味はありませんよね。この項目では、肩書とは無関係に「どのように魅力的なのか?」という素朴な疑問へお答えしていきましょう。

手首を飾るオーバルシェイプのサイズ感

オーバルケースの高級腕時計が他にもある、とは先述の通りですが、カルティエの有するデザイン力によって作られた『ベニュワール』が飛び抜けて美しいことは、検索にかけるなどしていくつか比較してみると見えてくることでしょう。

文字盤におけるローマ数字の大胆なバランス。ジュエラーの誇りがうかがえる厚みの薄いケース。いかにも「ネジ」といった無骨な形状のまま用いられやすいリューズはデザインを損ねがちな代表格ですが、『ベニュワール』においてはデザインの一片に取り入れられています。

中にはリューズにサファイア、またはブリリアントカットダイアモンドをあしらったものも。

腕時計の視認性を重視するのなら、ケース径を拡張するのが最適な手段であることは確か。しかし大きなケース径はしばしばデザイン性を犠牲にしがちです。『ベニュワール』は手首を横断する縦幅こそ余裕がある一方、横幅は最大サイズのLMでさえ34mm径の範囲を超えません。

縦長のスリムなオーバルシェイプとあわせ、このサイズ感が目立ちすぎずに女性の手首を上品に彩ってくれるのです。

ゴージャスはお墨付き!?ベニュワールはあの芸能人も愛用

多くの芸能人に愛されていることでも有名なカルティエ。中でも『ベニュワール』をアクセサリーと重ね付けしてもなんら遜色ないことを教えてくれるのが、ゴージャスでファビュラスなあのお方、叶恭子さんです。

ここまでのきらびやかさを実現するのは一般的には少々難しいところですが、『ベニュワール』が時計でありながらもいかに「アクセサリー」足り得るかの発展性を感じ取ることができるのではないでしょうか。

ダイヤとプラチナを知り尽くした宝石商

ソリテール1895などの婚約指輪でもよく知られているように、カルティエは三代目ルイ・カルティエの革新以降ダイヤとプラチナの扱いにおいて絶対的ともいえる信頼性を保持しています。

当然それはカルティエウォッチにも活かされ、中でもケースに小粒のダイヤを散りばめた『ベニュワール』のエレガントさ精緻さは、カルティエ内においてさえ稀有であると言ってよいでしょう。

カルティエ『ベニュワール』を選ぶためのガイドライン

『ベニュワール』について語るべき魅力はこれで終わりではありません。ラインナップが意外と多いこと、ケースサイズなどによって大幅にイメージが異なることは、しっかりと押さえておくべきポイント。

SM・LM・ミニ・アロンジェ?見比べて分かるベニュワールのサイズラインナップ

SM(スモールモデル)

長さ31.6mm x 幅24.25mm

『ベニュワール』スタンダードモデルです。シャープさと大人らしさ、エレガントさ…『ベニュワール』の個性や特色を存分に味わいたいならやはりSMモデルではないでしょうか。

LM(ラージモデル)

長さ44mm × 幅34.07mm

視認性と装飾性をバランスよく取っているのがラージモデル。完全な楕円ではあるのですが、卵型と表現するのがしっくりくるような柔らかいフォルムが魅力です。

ミニ

長さ25.3mm × 幅20.79mm
ミニはまさしくもっとも小さいサイズ。装着者を選ばずフェミニンでエレガントな魅力を引き出してくれる人気のモデルです。他のアクセサリーを圧倒しない存在感は、ジュエリーを存分に楽しみたい方にもおすすめ。

アロンジェ(フランス語で「細長い」の意)

長さ46mm × 幅22mm

名前通りに細長いアロンジェは、飛び抜けてスリムなフォルムがひと目見たら忘れられないほど。ただし残念ながらその生産は5年以上前に終了してしまっているため、公式サイト以外を探す必要があります。

※サイズ規格はモデルによって多少の差がつく場合があります。

腕時計かブレスレットか印象を左右するベニュワールのベルト

エレガントなオーバルケースの『ベニュワール』。ベルトによってその印象はさらにグラデーションのように分かれます。タイプはゴールド、レザー、ファブリックの三種類。ファブリックとは布素材の総称であり、『ベニュワール』では主に「トワル ブロッセ」という名の平織物が用いられています。

定番のゴールドはやはり緻密に計算された造形美が魅力。ほぼ100%がカルティエの技術力によって作られるため、他のベルトタイプと異なり、ケースと徹底的な統一性を持たせたデザインのモデルも多々見られます。金属という点で耐久性に関して他の2種よりも安心感を抱く方も多いのではないでしょうか。

しかしゴールド素材は傷に対して頑強とは言えないものです。やはり見た目通りフォーマル指向の強いベルトと言えるでしょう。他の2種と比べて跳ね上がる価格も判断基準になるかもしれません。

レザーベルトは硬質な印象を持つアリゲーターが主流。フェミニン、エレガントとは異なる視点、毅然とした大人の女性として『ベニュワール』を楽しみたい方におすすめするのはもちろんのこと、ラフスタイルとの相性も抜群のためデイリーユースにも向いています。カジュアルさを求めるならレザーで決まり!

ピンクトーンベージュとダークグレーの2種を揃えるファブリック。金属にも革にもない柔らかな色味はしっくりと肌や衣類に馴染み、知的で優美な印象を大幅にプラスします。あくまでさりげなくブランドアイテムを身に着けたい方、大人しめなコーデについて頭を悩ませがちな方はファブリックを選んでみてはいかがでしょうか。

スマートと絢爛、異なる2種のケースデザイン

『ベニュワール』のケースは18Kのピンクゴールド、またはホワイトゴールドが主軸。文字盤の周囲にダイヤが並んでいる否か、というのが大きな違いとなります。

ダイヤがふんだんに使われているからといって別次元の価格帯というわけではなく、その装飾性が選択を分ける最大のポイントではないでしょうか。特にLMサイズは配置が二列ととてもゴージャスなため、プレーンモデルと比較すると想定される着用シーンの差異を感じられることでしょう。

ちなみにリューズにも違いが反映されており、プレーンのゴールドフレームはサファイアが、ダイヤフレームはブリリアントカットダイヤが、それぞれ一粒ずつあしらわれています。

また、正確には完全に2種というわけではありません。
例えば現在公式サイトにて展示されている「ミニ パンテール スポッツ ウォッチ」モデル。ロジウム加工やイエローゴールドからなる圧倒的な存在感が目を惹きますが、あくまで特殊なケースです。購入を悩んでいるあいだに新品入手不可…なんて事態もあることにご注意ください。

カルティエは圧倒的なインスタ映えも魅力!

インスタグラムユーザーなら、「カルティエ」タグをつけて投稿してみたい!といった憧れを抱くことがあるのではないでしょうか。

世界五大ジュエラーに数えられるカルティエ。長い歴史の中で磨き上げられた高度なカット技術は、ダイヤの輝きを最大限に引き出す方法を知っています。写真映りにおいても見事にまばゆく、小細工不要の美しさ。

そのためかエンゲージメントやウェディングなどのリングがインスタグラムに上げられがちですが、ウォッチの存在感も負けてはいません。ネイルやハンドケアがイマイチの日でも、ゆったりと手首に嵌めてのワンショットが撮れるというのも嬉しいところ。素肌が白く目立つようコントラストを意識して撮るのがオススメです!

カルティエ『ベニュワール』のメンテナンスって?

どんなブランドアイテムにもメンテナンスは必要です。それは、破損したり使用不可となれば処分という選択肢も候補に入る大量生産品と異なり、大切に扱っているかぎり末長く愛用できる一生ものとして作られているため。

「大切に扱う」は日常的な使用と保管の面ももちろんのことですが、精密機器である時計の場合は、専門家でなければ触れられない内部機構についてのメンテナンスも含まれています。

時計にはオーバーホールが必要

時計のメンテナンスをオーバーホールと言います。時計の駆動をつかさどる機械部分=ムーブメントをミリ単位以下の手作業で部品単位まで分解、清掃し、まったくの元通りに組み立てて新品同様の性能状態に戻す作業のことを指しています。

生活防水時計で密閉されているし保存状態だってちゃんとしてるし、別に清掃なんて…と思っても、目に見えない細かい塵や埃はどこからか入り込むものです。さらに着用時に人の脂と汗に接するのは避けられません。これらが精密な部品に絡みつき、経年によってサビや精度低下へとつながっていくのです。

カルティエ公式ではこのオーバーホールにあたる「コンプリートサービス」(¥42,390~)を行っています。推奨頻度は5年に一度と比較的長いスパン

検索結果では時計修理業者などもポップアップしますが、完璧なオーバーホールを行えるかどうかは個人の腕にかかっています。一度外部の修理業者に出したあと、公式で対応してくれる保証もありません。正規の部品で確実な修理を望むなら公式へ依頼するべきでしょう。内部機構ではなく外部が気になった場合も、まずはカルティエへの相談を行うのがベストですね。

革ベルトは消耗品!ベルト交換で末長く付き合うコツ

『ベニュワール』に限らず、レザーやファブリック素材のベルトは時計本体に対して「消耗品」であることをお知りおきください。

日常的に汗や脂に触れ、他の素材とこすれることもあるとなると、金属と比較して柔軟性はともかく耐久性の点で劣るのは明らか。こまめに水気を拭く、日陰で保管する、などの日常的な対応で寿命が延びますが、やはり長くとも一年程度での交換を見越しておくべきでしょう。

カルティエ公式によると、現行のアリゲータースキンベルトの交換は3万円からと設定されています。

ベルトの種類によっても価格が変わるため、希少性に応じて多めに見積もったほうがよいでしょう。専門家の手によって直接持ち主に合わせた調整を行うため、オンラインでの依頼は受注しておらず、来店が前提とのこと。

公式ではなく一般的に流通している時計用のベルトと交換する、という手段もないわけではありません。業者に依頼しない場合は多少の技術と知識が必要な点、予想以上に印象が変わってしまう点を承知の上であれば、思い切ったカスタマイズも愛着が増す要素となるかもしれませんね。

もちろん、そのあと公式に依頼し直すというオチが待っている可能性もあります。

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カルティエ パシャ

時計であり装飾品。真のラグジュアリーはカルティエの『ベニュワール』が振る舞う

時間を管理するだけの用事なら端末でも可能で、さらにはスマートウォッチの存在も目立ち始めた現代。それでも高級腕時計の価値がいまだ衰えず色褪せないのは、時計本体が持つ魅力を人々が認めているためでしょう。表現するものはステータスシンボルであったり、質実剛健な誠実さであったり、優れた装飾性であったりとさまざま。

時計には持ち主の人格が反映され、コーディネートを含めれば持ち主のイメージも少なからず時計に沿うものです。もしカルティエの『ベニュワール』に惹かれたなら、それはきっとあなたが求め、表現したい美しさの形なのではないでしょうか。