独立開業支援は起業前に必ず受けるべき?個人事業主が申請できる制度とは

新しく起業したり飲食店などを開業する際には、多額の資金が掛かります。そこで着目したいのが国や自治体、民間企業などから援助を受けられる制度の独立開業支援です。でも「具体的にどんな支援を受けられるのか?」「手続きなどは面倒ではないのか?」といった疑問も生まれてくるもの。そこで今回は独立開業支援の概要や申請手続き、個人事業主におすすめの制度などについてご紹介してきます。

独立開業支援とは

独立開業支援とは

独立開業支援は、長年会社で働いてきた経験やノウハウを活かして独立する人や新しく事業を立ち上げる人をサポートする制度になります。

特に独立開業や起業をする人にとって最初の壁となるのが、店舗を立ち上げる際の建造費や集客を図る際の広告費、従業員の雇用・教育に掛かる資金などです。例えば自分がオーナーとなって飲食店を始める、ファッションや雑貨などの小売店をオープンするなど様々なものがあり、業種や形態によって掛かる費用も全然違います。

それらの資金を全て事前に自分で用意するのは簡単なことではありません。全てまかなえるほどのお金を貯めようと思うと、年単位で時間が掛かる場合もあるでしょう。

そんな時に、セミナーや融資などで開業の手助けとなる制度が独立開業支援なのです。そして中には、返済不要の給付金である補助金や助成金などのほとんどリスクがないものもあります。

事業内容によって受けられるものは異なりますので、うまく活用するためにも事前にしっかり確認しておきましょう。では具体的にどんな支援制度があるのかご紹介していきます。

国などの公的機関による独立開業支援

事業を初めて立ち上げる場合、そもそも何から手をつけていいのかわからない人も多いでしょう。自分のスキルをどう活かしてどんな形で展開するのかが頭の中にはあっても、実際に行動するとなると「どんな手続きを行わなければならないのか」「どこに許可や申請を出せばいいのか」などの正しい順序を踏む必要があるからです。

また業種によっても経営する上で必要な情報やノウハウ、マーケティング戦略などは変わります。それらの細かい問題や課題を自分1人で抱えてしまうと、対処しきれなかったり解決するのが困難な場面も訪れるはずです。

国などの公的機関による独立開業支援では、こうした準備段階での悩みや問題を解消するためのセミナーや、業種によって異なる経営課題などに対応したセミナーなどを開催していることが多いです。

具体的には以下のようなものがあります。

独立行政法人中小企業基盤整備機構

独立起業前の人や創業したばかりの人を対象とした独立行政法人です。開業前後に起こりうる様々な問題に対して役立つ情報を提供したり、起業の専門家に相談することが可能です。

URL:https://www.smrj.go.jp/index.html

都道府県等中小企業支援センター

各都道府県などの地方毎に、中小企業を支援する施設です。独立開業だけでなく経営上の課題に取り組む事業者を対象に、その課題を解決に導く情報提供や専門家への相談受付を行なっています。

URL:https://www.chusho.meti.go.jp/soudan/todou_sien.html

経営革新等支援機関

中小企業支援の担い手の多様化や活性化を図るために、中小企業庁に認定された機関です。中小企業などを対象に、経営状況の分析や事業計画の策定など専門性の高い支援事業を行います。

URL:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/

その他にもいくつかの法人や機関などがあり、独立の準備や手続き、開業した後に起こる課題に取り組む際など現在抱えている問題に合ったものを選ぶことが重要です。

市区町村が行う支援

市区町村では地域ごとに事業者をサポートする公益団体として、商工会や商工会議所などが挙げられます。資金調達や事業計画の立て方などの独立開業に関するセミナーの開催から、経理や法律、福利厚生などの経営に関わる様々な相談に乗ってもらうことが可能です。

商工会と商工会議所の違いについては、以下の通りになります。

  • 商工会
    地域の事業者などが会員となり、業種に関係なくお互い発展するために総合的な活動を行う町村部に設立された団体です。国や都道府県の実施機関でもあり、主に小規模企業を支援するために様々な事業を実施している側面があります。
  • 商工会議所
    地域や企業の発展を目的としていることについては商工会と変わりませんが、商工会議所は主に中小企業の支援や国際活動の支援を行う団体です。市に設立されているという点も、範囲が町村部の商工会とは異なります。

初めて独立する人にとっては「どういう状況の時にどこに相談すればいいのか」といった疑問もあるため、これらの団体の違いについて理解しておきましょう。

また市区町村が実施している支援では、国から認定を受けた創業支援の事業計画に基づいて実施される支援もあります。

この創業支援事業計画とは市区町村が商工会や商工会議所、金融機関やNPO法人などの創業支援事業者と連携して、独立や創業を希望する人や開業して間もない人に支援を行うものです。

具体的には国などの公的機関が行う支援と同様に、開業時などに起こりうる問題や悩みを解消するためのセミナーや相談窓口の設置など。中でも特定創業支援事業によるサポートでは、継続的に行われる支援で経営や財務、人材育成や販路開拓などの知識を身につけられます。

さらに市区町村から証明書を発行してもらうことで、新たな融資や保証限度額の拡大につながるため積極的に受けたい制度と言えるでしょう。

民間団体の支援

民間起業や団体の支援では創業に関するセミナーや相談受付の他に、融資や貸付なども行なっています。例えば銀行や信用金庫などの基本的に誰でも利用できる金融機関、JA(農業協同組合)などの特定の業種をサポートするものなど様々です。

銀行には都市銀行や第一地方銀行、第二地方銀行などがありますが、基本的には規模の大きさで分かれていると思っていて問題ありません。

特に法律で明確な定義がない都市銀行については、日本全国の主要都市に支店を持った最も規模の大きい普通銀行のことを指しているだけです。最近では「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「みずほフィナンシャルグループ」「三井住友フィナンシャルグループ」の大手銀行はメガバンクとも呼ばれています。

一方、第一や第二地方銀行は各都道府県に本店があり、その地域経済に密着している金融機関です。地域の名前がそのまま銀行名になっていることが多く、規模もその地域周辺に収まります。

そして信用金庫は、地方銀行よりもさらに地域へ根付いている金融機関です。規模も小さくなる分、その地域で活動する中小企業や個人が融資を受けやすくなります。これらの銀行や信用金庫などは、国の支援に比べると返済能力などが重視されるので資金調達が難しい場合もあるでしょう。

また特定の業種を支援するものでいえばJAの農業融資が挙げられ、農業者が低金利融資や機械等の導入、税制の優遇や経営相談などの支援が受けられます。

その他にも化粧品メーカーのちふれ(CHIFURE)が行なっている「女性起業家支援制度」では、起業や事業拡大にあたり最大1,000万円の資本金の出資や貸付を実施しているなど様々です。

起業・開業前に必ず申請するべき?

十分な資金があり起業後も一定の利益が見込めるというのであれば、独立開業支援に頼らないという人もいるでしょう。特に融資の場合だと、金利を上乗せした上でお金を返さなくてはなりません。

銀行などの融資を利用せずとも事業を軌道に乗せることができるのなら、それに越したことはないと思う方もいるはずです。しかし事業に使う資金が多ければ、それだけ設備や人材に投資することが可能なので事業の展開を早められます。

それに公的機関の支援では、補助金や助成金などの返済不要のものや金利が少ないものもあります。できるだけデメリットの少ない制度を利用することで、創業時などのリスクを軽減させられるのです。

まずは、起業してからどれくらいの期間利益が見込めなくても事業を維持し続けられるのか、毎月の支出はどの程度になるのかなど最悪のケースを想定した上で融資を受けるか判断しましょう。

たとえ起業する際に自己資金が十分なものであっても、より万全な状態で事業を開始したり万が一の事態に備えられるので、少しでも不安要素があるなら申請することをおすすめします

申請手続きに必要なもの

国の公的機関や市町村、民間団体など受ける独立開業支援によって、申請手続きに必要なものは違います。ですが基本的には身分証明となる運転免許証や通帳のコピー、法人の印鑑証明書などが必須となるでしょう。

そして実際に受けようと思っている融資や支援の申込書が必要になります。これらの書類は、申し込みすることになる管轄支店で受け取ったりWebサイトからダウンロードすることが可能です。

その他にも、

  • 創業計画書
  • 設備投資などの見積書
  • 不動産の賃貸借契約書
  • 資金繰り表
  • 関連会社の決算書

などを提出しなければならないところもあります。

また生活衛生関係の事業や500万円超の融資には、店舗などの所在地における都道府県知事の推薦書が必要となるでしょう。他にどんな書類などを提出すればいいのかわからない時は、申込書を直接支店に行って受け取る際に窓口などで聞いてみてください。

個人事業主におすすめの助成金・補助金・その他の支援

個人事業主におすすめの助成金・補助金・その他の支援

国から交付される助成金や補助金には様々なものがあります。もちろん受給の要件を満たしており公正な審査に通らなければならないですが、返済義務がないためとても心強いです。新たに始めた事業を軌道に乗せるためにも積極的に活用しましょう。では実際に個人事業主が受けられるおすすめの助成金や補助金についてご紹介していきます。

まず起業時や新規事業を行う予定の人におすすめの支援が以下の通りです。

  • 「創業促進補助金」
    新しく起業する人向けの支援です。金額は認められた全経費の2分の1以内で、50~200万円以内の範囲となります。
  • 「小規模事業活性化補助金」
    小規模事業者を対象とした支援です。原則として上限は50万円ですが、雇用増加などの特定の条件を満たせば上限100万円になります。
  • 「トライアル雇用助成金」
    新たな人材の雇用を望んでいる事業者向けの支援です。受給金額は1人の労働者につき月5万円までとなり、最長で3ヶ月分受給できます。
  • 「人材開発支援助成金」
    もともとはキャリア形成促進助成金という名称でしたが、平成29年4月より新たに労働生産性の概念が導入され人材開発支援助成金にリニューアルされました。細かいコースに分かれており、従業員の様々な育成に役立てられます。

個人事業主が利用できる支援には、事業の進捗に応じて受けられるものや時期によって期間が決まっているものなど様々です。創業した後に気づきその時にはもう受けられないということもあるので、事前にしっかりチェックしておいてください。

業種未経験でも独立開業しても大丈夫?

業種未経験でも独立開業しても大丈夫?

独立開業する人の中には、まったく経験のない業種でスタートしたいという方もいると思います。そしてその業界についての知識やノウハウがない状態で一から挑戦するのは、経験者よりも難易度が高いのは事実です。

しかし未経験だからといって、絶対にうまくいかないわけではありません。やり方次第で成功率を高めることも可能です。例えばコンビニ経営などでよく聞くフランチャイズ(FC)チェーンに加盟すると、契約を結んだ事業本部から経営ノウハウや商品の仕入れ、事前研修などの様々な知識や技術を得ることができます。

その分、ロイヤリティの支払いや事業本部の経営方針に従わなければならないなどのデメリットもありますが、未経験からスタートする人にとっては失敗するリスクを軽減でき心強いサポートとなるでしょう。

また、売主から商品などを仕入れて再販売したり、売主の商品やサービスを顧客に仲介・斡旋する販売代理店というビジネスも存在します。これまで築いてきた人脈などを使いBtoB向けに事業を展開するなど、未経験の業種でも自分の経験を活かすことが可能です。

そして最近では、個人でもインターネットビジネスを始めやすい環境になっており、フリーのWebライターやプログラマー、デザイナーなどといった自由な働き方(フリーランス)をしている人も増えています。

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フランチャイズ 経営 仕組み

未経験の分野で起業するときの注意点

多種多様な方法で新しい事業を始めることは可能ですが、いくつか注意しなければならないこともあります。

例えばフランチャイズチェーンに加盟して店舗を持つ場合、知識やノウハウを提供してもらえる対価としてロイヤリティと呼ばれる支払い料金が発生するのです。毎月の利益や売上から○%引かれたり、定額で支払う料金が決まっていることもあります。

また個人でインターネットビジネスを一から始める際には、そもそもどうすれば仕事を取れるのかといったところから自分で調べたりセミナーなどで勉強しなければなりません。そのため、正しい情報を取捨選択する判断能力が問われるでしょう。

その他にも、業種や形態によって様々な問題にぶち当たることがあります。特に未経験の分野での起業だとこれまでの経験を活かせない場面も多く、いかに発生した問題を解決できるかが重要なカギとなるでしょう。

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独立開業・起業は十分に計画を練りましょう

終身雇用の時代が終わりつつある今、一人ひとりが自身の将来設計についてきちんと考えなければなりません。そしてより充実した生活を実現するための選択肢のひとつとして、独立開業や起業などが挙げられます。

もちろん新たな事業に挑戦するのは、会社に所属して働くよりもリスクが高いと感じるものです。業界についての知識や経営ノウハウがないと、自信を持って挑むことも難しいですし独立開業支援をどこまで当てにできるかもわからないでしょう。

独立開業や起業しようとは思っているけど「事業がうまくいくか心配の種が尽きない」「未経験だとどんなビジネスをはじめられるかわからない」という悩みを抱える方は、手厚い支援を受けられるブランド品売買のフランチャイズを始めてみてはいかがでしょうか。

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