街中に点在する買取店の多くは、フランチャイズ形式をとって経営されています。フランチャイズとは、一定のロイヤリティを支払うことで本部業者からノウハウを学びつつ、共通の看板やシステムを借りて経営する方法です。
フランチャイズ形式の店舗経営は、多くの業界で取り入れられています。ここでは買取業のフランチャイズ経営について、失敗例に触れつつ成功させるためのコツを紹介します。
買取店のフランチャイズは儲かる!リユース市場は拡大傾向
買取店のフランチャイズ経営は、儲かるような仕組み作りが行われています。年間営業利益で見ても、1,000万円を超えるケースは珍しくありません。
一般的に買取店が儲けを得る方法は、買い取った商品を販売することです。個人で開業すると、業界に人脈がなければ自店やインターネット上で販売する方法のみとなります。
しかしフランチャイズ契約を行っていれば、本部業者に買い取ってもらったり、販売ルートを紹介してもらったりできます。買取店のフランチャイズが儲かる理由は、ニーズの高さに加えて、個人で開業するよりも販売ルートを多く確保できるためです。
近年、環境問題への注目やニーズの多様化から、とくにリユース市場は拡大傾向が見られています。これから参入するメリットは十分期待できます。
ただし、何事も安易にはじめて成功するケースは稀です。本当に自分に合っているか慎重に検討してから行動しなければ、儲かりやすい業界でも失敗に終わります。失敗する理由を把握したうえで、リスクを最小限に抑えられる経営戦略をとることが重要です。
買取店のフランチャイズで失敗する5つのケース
一般的に儲かるといわれている買取店のフランチャイズで失敗する理由はさまざまです。必ずしも出店した地域や、フランチャイズ本部のブランド力が原因とは限りません。
ここでは主な失敗例として5つのケースを紹介します。
買取業について勉強していなかった
買取業について十分に勉強していない場合、失敗しやすくなります。
開業するときは、どのような業界であっても専門的な勉強が欠かせません。買取業の場合、業界やニーズの動きに加えて真贋を判別するための知識も求められます。最低限の知識がなければ真贋を判別できず、偽物を誤って高額で購入するなど、損をするリスクがあるためです。
フランチャイズ契約を結んでいると本部から基礎知識や運営方法をレクチャーしてもらえますが、円滑な運営のためには十分とはいえません。教わるノウハウだけではなく、自力で勉強することが重要です。
本部へのロイヤリティが高かった
本部へのロイヤリティが高すぎると、安定した経営ができず、失敗に終わることがあります。ロイヤリティの特徴は、フランチャイズ契約を結ぶ本部業者ごとに条件や料率が異なっていることです。定額の場合もあれば、売上に対する数%と決められていることもあります。
サポートなどのリターンが少ないにもかかわらず、ロイヤリティが多い本部では、経営は厳しくなります。ただし、単純にロイヤリティが低ければ良いとも限りません。
ロイヤリティは、本部から得るリターンに対する対価です。看板や名称、システム、ノウハウ、サポートなどを利用する権利を得る代わりに、オーナーは本部へロイヤリティを支払います。ロイヤリティが低すぎると、得られるリターンも限られるおそれがあります。
フランチャイズ業者を選ぶときは、本部のロイヤリティの料率に加えて、どのようなリターンを得られるのかも細部まで確認しましょう。
資金が少なかった
買取店のフランチャイズ経営をはじめるとき、開業資金がかかります。また、開業後に商売を軌道に乗せるためには、当面の運転資金も必要です。
買取店のフランチャイズ経営における開業資金は、1,000万円以上かかるのが一般的です。用意している資金が少ないと、キャッシュフローがショートするおそれを抱えつつ経営しなくてはなりません。最悪の場合は早々に運転資金がつき、廃業する羽目となります。
開業資金には、フランチャイズ本部への加盟金なども含まれています。加盟金は各フランチャイズによっても異なるため、資金を集めるときは諸々の初期費用も含めた金額で考えることが重要です。
集客をしていなかった
フランチャイズゆえの落とし穴ともいえるのが、集客です。本部でテレビCMやインターネット広告などを打ち出してくれる分、知名度は高くなりますが、必ずしも自分の店舗の集客につながるとは限りません。
ブランドとしての認知度が上がっても、自店の存在に気付いてもらえなければ集客効果は低くなります。
特に重要なのは、ターゲットが「自分の街にも買取店がある」ことを認識してくれることです。全体に向けた本部の集客に頼りすぎず、経営する店舗のターゲットや近隣エリアに絞った集客を行う必要があります。
競合が多いエリアで開業してしまった
ブランド力の強いフランチャイズ本部を選んでも、競合が多いエリアでは思うように利益が出ないことがあります。とくにオープンしてから最初の数ヶ月は店舗の存在が認知されておらず、経営が厳しくなりかねません。
効率的に集客するためには、競合が少ないエリアでの開業がおすすめです。フランチャイズ本部が加盟エリアを紹介してくれる場合もありますが、最終的にはオーナー自らがエリアを吟味して決定しましょう。
買取店のフランチャイズで失敗しないための3つのコツ
買取店のフランチャイズ経営で失敗しないためには、前述の5つのケースを念頭に置きつつ対策することが重要です。個人経営と異なり、フランチャイズは本部との契約によって成り立っています。儲けが出ないからといって、安易に閉業できるものではありません。
しっかりと儲けを出せる店舗経営となるよう、ここからは失敗しないためのコツを3つ解説します。
サポートしてくれる本部を選ぶ
フランチャイズ本部を選ぶときは、ロイヤリティの料率やブランド力とともに、サポート内容も必ず確認すべきです。
本部の中にはレクチャーが雑であったり、加盟後はアドバイスがなかったりと、悪質なところもあります。加盟後の集客や経営に関するサポートをきちんと得られるよう、フランチャイズ本部選びは慎重に行いましょう。
公式サイトの情報を隅々まで読むのはもちろん、口コミなどでオーナーや関係者目線の評判も確認しておくと安心です。
小規模からはじめる
開業時は、小規模な店舗からはじめる方法がおすすめです。
買取店のメリットは、小規模からはじめやすいことです。買取用窓口の設置のみ(販売を別ルートで行う場合)であれば、広い店舗面積は必要ありません。駅前など立地の良い狭小物件も選択肢に加えられます。
また、出張買取を専門にすれば、店舗をもたなくても開業することが可能です。一人で運営ができるうえ、物件にかける費用を抑えられるので、少ない資金からでもはじめられます。なかには低資金で開業できるフランチャイズもあるため、最初は無理のない規模を選びましょう。
受け身にならず積極的に運営する
買取店を安定的に経営するためには、積極的な運営スタイルが欠かせません。受け身で顧客が来店してくれるのを待つだけではなく、勉強や集客を積極的に行うことが大切です。
ブランド品をメインに取り扱う買取店は、商品知識が豊富でなければなりません。商品を正しく鑑定するためにも、トレンドや過去のデザイン、現在のニーズなど常に新しい情報を仕入れるように動きましょう。
真贋の見分け方や最新情報、集客方法など、分からないところがあれば本部にアドバイスを求めるのもおすすめです。
まとめ
買取店のフランチャイズ経営は、基本を押さえて運営すれば失敗リスクが低く、儲けやすいのが魅力です。一方で「手軽にはじめられる」イメージが強い分、必要な準備を怠ってしまい、店舗の経営が危ぶまれるケースもあります。
まずは自力で業界知識を身につけ、リターンとロイヤリティのバランスが良い本部業者を見つけることからはじめましょう。積極的な経営ができれば、儲けの出る買取店に成長します。