「正直」を貫き、信用を確立。越境ECライブコマースで、ビジネスを成長へ。

現在、地域に根ざした『銀座パリス王子店』を運営する、河村龍男さん。ブランド品やジュエリーなどの買取とともに、「越境ECライブコマース」を通して、中国マーケットに商品を販売するなど、独自のビジネスモデルで成功を収めておられます。今回は、成功の裏側や仕事における信念などを伺いました。

【お話をお伺いした方】
河村龍男さん
コロナ禍をきっかけに、靴職人から銀座パリス王子店オーナーに転身。「正直であること」をモットーに、地域から愛される店舗を運営し、好業績を重ねる。高価買取とともに、ネット配信「ライブコマース」を通じて、中国マーケットにハイブランド商品を販売するなど、独特のビジネスモデルで成長中。

コロナ禍で職を失うも、ピンチをチャンスに変えて一気に形勢逆転へ。

──中国出身とお伺いしていますが、来日のきっかけなどを教えてください。

生まれは中国の吉林省です。祖母が、第二次世界大戦終戦後の混乱期に中国に残されて育った中国残留孤児になります。私は3世として、1996年に6歳で祖母と父親と来日し、最初は高知県に住んでいました。一旦、中国に戻って語学を学んだりしたのち、最終的に日本の商業高校を卒業。その後、父親とともに靴の仕上げをする職人として働いていましたね。堅実経営をしていたのですが、2020年のコロナ禍で取引先が厳しい経営状態に陥るなどの影響を受け、一気に仕事がなくなるという事態になりました。

──そこで、『銀座パリス』のフランチャイズオーナーになろうと思われたのですか?

コロナ禍で靴職人の仕事がなくなり、店をたたむことになりました。そこで、次のビジネスを探していたのですが、真っ先に頭に思い浮かんだのが、中国に伝わる古いことわざで「世の中が乱れているときは黄金を購入し、平時は骨董品を仕入れる」という意味の「盛世買骨董 乱世買金」でした。もともと、子どものころに書籍やテレビゲームを売って換金した原体験もあったことから“買取と売却”というビジネスを身近に感じていましたね。

ちょうどその当時、中国人の私の妻が中国で空前の大ブームを巻き起こしている「越境ECライブコマース」に強い関心を持ち、熱心に配信を観ていました。これはブランド品などを、ネットのライブ配信を通して販売する仕組みで、ユーザーが配信者に対してチャットでリアルタイムに質問を送ったり、配信者がそれに答えたりできることが特徴です。妻が「ライブでの販売に挑戦してみたい!」と言ってくれたので、「私が買取、妻が販売」と役割分担をして、ビジネスをしようと考えました。

──フランチャイズオーナーを募集している企業は、ほかにも多いと思いますが『銀座パリス』を選ばれた理由は?

代理店を募集している会社の説明会に、色々と出向いて話を聞きにいったのですが、「買取のみ」というところがほとんどでしたね。私の考えていた「買取と売却」が可能だったのが『銀座パリス』で、自由度が高く希望通りでした。実際に錦糸町にある店舗に視察に行ったのですが、おしゃれで素敵な雰囲気のお店で「ここにしよう」と思いましたね。ほかにも、「初期費用が安い」「しっかりとした研修がある」「フランチャイズが乱立していないので、良い場所を選べる」「独自の流通ルートなどがあり、高く買取ができる」といった魅力的なメリットが多く、『銀座パリス』に決めました。

順調な滑り出しから、実直さを武器に安定経営へ。本部のサポートも万全。

──最初のころは、ご苦労があったのではないでしょうか?

それが、スムーズな滑り出しをすることができました。当初の計画通り、妻が販売を担当してくれたのですが、ネットを通して中国のマーケットにハイブランド商品100個を販売するなど、人気の配信者になったのです。妻がライブをすると、1万人ほどの閲覧者が来てくれるようになり、今では妻の妹も配信者になって活躍しています。送料は、一定以上の販売金額を超えれば本部が担ってくれるので、とても助かりますね。私が担当する「買取」も順調です。たとえば銀座パリスは「金の買取価格」は日本の中でトップクラスの高い価格を提示できることもあり、お客様から選んでもらいやすい環境ですね。これも『銀座パリス』を選んで良かったところです。

──ビジネスをされている上での「信念」を教えてください。

「正直であること」に尽きます。もともと職人でしたので、おしゃべりが得意というわけではありませんでした。しかし、本部で10日間、9時~17時までみっちり研修を受け、商品知識はもちろんのこと、お客様とのやりとりを想定したロープレなどで「正直であれば信用される。口八丁である必要はないですよ」ということを教わりました。実際、コツコツと真面目に仕事に取り組むことで地元のお客様から信頼をいただき、リピーターになってもらったり、ご紹介をいただいたりしています。口コミの力は大きいですね。

──みっちりと受けた、本部での研修のお話を伺いたいです。

「目利き力」が求められる仕事なので、ブランドの刻印の見分け方など具体的なところを学びましたね。研修で身に付けたことを基準に、真贋の見極めなどを日々精進しているところです。買取で扱うのは「金が混ざっているアクセサリー」「洋酒」「高級時計」など幅広く、ちょっと変わったところでは「プレミアの付いた切手」などもありますね。ちなみに、目利き力を上げて自分で判断することも大切ですが、本部の対応も非常に素早く、商品の写真を送るとすぐに鑑定の結果を知らせてくれます。

「信用商売」という仕事の重みと、面白さ。地元から愛される店舗運営の秘訣とは?

──地域から愛されるお店を運営する秘訣はなんでしょうか?

王子という土地柄として、ご年配の方が多い特徴があります。たとえば「昔、海外旅行したときに記念で買った洋酒なんだけど、売れるだろうか?」「子どもが大きくなったので、引っ越しのために家を整理していたらブランド品が出てきた」といったお客様が来てくださいますね。ご年配のお客様とお話をするとき、気を配っているのは「とにかく、じっくりとお話を伺う」ということ。そして、地元の方々のお手伝いをよくしています。そうすることで、信用が蓄積されますし、お店を好きになってくれてお友達にご紹介していただくことにもつながります。あとは、最大限の金額で買取する努力をすることですね。一方で難しい場合は素直に「すみません」と伝えることにしています。繰り返しになりますが、何よりも「正直であること」が商売繁盛の秘訣です。

──ライブは、どこで撮影や配信をされているのですか?

当店から配信することもありますが、本部に予約すれば自由に使えるスタジオがあるので、そこを利用することが多いですね。スタジオは、24時間いつでも使うことができるなど、本部が凄く協力的で助かっています。中国へ販売できるアプリ「BrandTV」も構築しておられるので、万全の体制が整っていると思います。これらは『銀座パリス』ならではのフォロー体制ではないでしょうか。

──将来の展望を教えてください。

買取専門のお店を、もう一店舗展開するなど、地に足をつけた拡大を目指したいですね。そして本部と協力しながら、すでに実績のあるライブ配信事業をさらに伸ばしていきたいと考えています。買取と販売は、実直かつ丁寧に仕事をすればするほど信用が蓄積されるという特色がある、やりがいと面白さのある仕事。また、年齢に関係なく80歳、90歳になっても腰を据えて続けられるのも「この商売を選んで良かった」と感じるところですね。