真珠にはいろいろな色や大きさがありますが、真珠にはどんな種類があるのでしょうか。今回は真珠の種類別について、産地と特徴、シーン別で身につける真珠はどのようなものがいいかを解説していきます。ぜひ参考になさってください。
天然真珠と養殖真珠の違い
天然真珠
人類が初めて出会った宝石だと言われる天然の真珠は、何万個に1個の確率でしかできない奇跡の宝石です。
天然の真珠は、貝の中に異物の侵入によってできた袋状の組織「真珠袋」から分泌液が結晶し、それが層になって少しずつ大きくなりできあがります。大きさや輝き、形が優れた真珠に出会うのはまさに奇跡である天然真珠は、古代においては一部の王族や貴族しか身につけることができない大変貴重なものでした。
養殖真珠
真珠の美しさに魅了された人びとは、真珠を人工で作れないか試行錯誤を繰り返します。中国やヨーロッパでも研究が進められて、1913年にドイツのアルバーデスが養殖真珠を作ることに成功しました。
しかし、それ以前に日本の御木本幸吉が1893年に真珠の養殖に成功していました。養殖真珠は、母貝と言われる貝に核を入れて海に戻して真珠を作ります。この技術が世界各地に広がり、いろいろな種類の真珠の養殖が行われています。色や大きさ、形にもさまざまな種類があるので、一般の人たちでも手軽に手に入れられるようになりました。
真珠の種類と産地・特徴
アコヤ真珠
産地
真珠の中で最も代表的なもので、日本では『日本書紀』や『古事記』にも出てきます。現在、日本で養殖されている真珠のほとんどがこのアコヤ真珠で、主な産地は長崎県・三重県・熊本県です。日本は四季に恵まれているため、他の産地では作り出せないような色や照りが作り出されるのです。
特徴
母貝は「アコヤ貝」で、アコヤ真珠のサイズは2mm~10mmほど、色はクリーム、ゴールド、ホワイトピンク、ホワイト・グリーンなどです。アコヤ貝はきめ細かい結晶を分泌する性質を持つため、丸くなる確率が高い真珠です。
また、第三者機関による審査に合格したもので、一定の基準を満たしたアコヤ本真珠を「花珠真珠」と言います。色・形・巻き・照り・傷の全てが最高品質のもので、採れることがめったにない希少価値がある真珠です。
美しい花珠真珠は成人のお祝いや結婚のお祝いとして贈り物にされることがあり、多くの宝石店では花珠真珠に「花珠鑑別書」を付けて販売しています。
南洋黒蝶真珠
産地
南洋黒蝶真珠は日本発で、1914年に沖縄の石垣島で養殖に成功しました。沖縄での生産量は大変少なかったのですが、1980年代に南洋のフレンチポリネシアのタヒチで養殖させるようになって、世界中に広がりました。タヒチが世界中に宣伝活動を展開しているため、黒蝶真珠といえばタヒチ産、というイメージが定着してきています。
特徴
大きさは8mm~16mm程で、黒蝶真珠の養殖の特徴は、大きな珠を作るために養殖に使う貝を2回同じものを使うことです。1回目の養殖で10mm以上の大きさの真珠を作り、2回目の養殖で10mm以上の核を入れて11mm以上の真珠を作ります。色は黒・赤・グレー・緑・青などがあり、神秘的な色合いが人気の真珠です。
南洋白蝶真珠
産地
白蝶真珠は、日本の養殖業者が大きな珠で真珠を作るために調査を始め、1927年にインドネシアで成功したものです。インドネシア以外では、オーストラリア産のものも有名です。
特徴
白蝶真珠は、他の真珠に比べてサイズが大きいことが特徴です。大きなものだと19mm程になるものもあります。オーストラリア産のものは、天然貝を使用して大きな白色系の珠のものが養殖されています。インドネシアのものは、オーストラリア産のものより珠は小さめで、ゴールドリップという母貝を使用するので、真珠の色は金色や黄色系のものが多くなります。
淡水真珠
産地
淡水真珠は日本では琵琶湖などで養殖されていますが、最近では中国産のものが多く出回っています。中国の養殖技術が向上してきて美しい養殖真珠が作られるようになってきたのです。
特徴
淡水真珠は、イケチョウ貝という大きな二枚貝を使って養殖される真珠です。楕円形の形の物が多く、他にもドロップクロス、ライス、スティック等のいろいろな形があります。そして、色は白の他にローズ、オレンジ、ピンクと豊富になっています。
マベ真珠
産地
マベ貝の産地は、日本で奄美大島よりも南の琉球列島、海外ではインドネシア、香港、台湾が産地です。
特徴
マベ真珠はマベ貝から採れる真珠のことで、半球形でシャンパンクリームのような美しい虹色の光沢があるのが特徴です。たくさんある真珠の中で最も美しいと言われるマベ真珠ですが、大きさは10~20cm程度です。
アワビ真珠
産地
アワビ真珠の養殖産地は、日本では宮城県女川町と長崎県小値賀町で、海外では韓国、メキシコ、アメリカのカリフォルニア湾、ニュージーランドなどで作られています。
特徴
アワビ貝の母貝は真珠を作るための母貝の中で唯一の巻き貝です。大きさは大きいもので15mm程で、色はピーコック・グリーンが主で、ブルーが強く出る珠もあります。日本のアワビ真珠は優しく控えめな色合いが特徴ですが、カリフォルニア湾のアワビ真珠は深い緑色の強い光沢を放っています。
冠婚葬祭の際に身につける真珠の種類は?
真珠は冠婚葬祭で身につけられることが多いのですが、結婚式やパーティーで身につけるものとお葬式で身につける真珠はどのようなものが適しているのでしょうか。
昼間の披露宴・パーティー
昼間の明るい時間帯に身につけるものは、光りすぎないものを選ぶのがおすすめです。控えめで上品なデザインのものを選ぶとよいとされているため、真珠はそれにふさわしいと言えます。パールネックレスやペンダントをさりげなく身につけることでアクセサリーを主張させずぎず、おしゃれな装いになります。
披露宴などの席では、黒やグレーは避けるようにして、白やピンク、ゴールドのような明るい色の真珠を選ぶといいでしょう。
夜の披露宴・パーティー
夜は昼間とは違って、少し派手なものを選んでもいいので、ロングの真珠とダイヤモンドのペンダントを重ねても素敵です。ライトに映えるものを選ぶのもおすすめなので、ゴージャスなダイヤモンドつきのパールのロングネックレスをつけるのも素敵です。
葬儀など喪服と合わせる時
一般的には、アコヤ真珠の一連ネックレスです。黒やグレーの色も着けられます。葬儀のときには、ネックレスを2連・3連やロングタイプのものは避けましょう。これは、「悲しみが重なる」という意味になるからです。黒蝶真珠・白蝶真珠は珠が大きいので、派手な雰囲気があるので避けたほうがいいでしょう。
真珠の種類で値段は違う?
ダイヤモンドや金のように、真珠は市場共通の基準がありません。
- 【真珠の価値を決める6つの要素】
■大きさ
■色
■照り(輝き)
■巻き
■形
■傷
それぞれが5段階で評価されることが多く、6つの要素のトータルで価格が決まります。
好みで真珠を選んでみては?
真珠は養殖の技術でさまざまなものが作られています。大きさや色、形などがいろいろありますので、自分の好みのものを探してみてはいかがでしょうか。真珠は冠婚葬祭だけではなく、普段おしゃれをしたいとき、子どもの入学式や卒業式などいろいろなシーンで活躍します。シーンに合わせていくつかの種類の真珠を持っていてもいいのではないでしょうか。