イタリアの高級宝飾店から端を発したジュエリーブランド、ブルガリ。およそ40年前と比較的最近に製造を開始した時計ですが、すでにそのスマートで洗練された美しさがよく知られ、強い支持を集めています。近年ではデザイン面だけでなく自社生産ムーブメント(時計の運動部分)の高い性能も注目されており、中でも異彩を放っているのが「エルゴン」シリーズ。今回はそのエルゴンの魅力についてご紹介します。
ブルガリのエルゴンとは?その魅力に迫る!
ブルガリウォッチの中でエルゴンが異端児と言われる理由。それは、セルペンティやブルガリブルガリなどの他のラインナップは比較的フォーマルに合わせやすい優雅なデザインであるのに対し、エルゴンはカジュアルスタイルに合わせやすい流線型のデザインを持っている点にあります。
この設計は語源であるエルゴノミクス(人間工学)に基づいたもの。人間にとって最適なフィット感にこだわって追求した、硬質で重厚な外観から想像もつかない包み込むような装着感と、華美に寄らず飽きのこない上質なデザイン。それがエルゴンの魅力です。
「製造終了」でも諦めるにはまだ早い
このようにブルガリの中でも個性的なエルゴンですが、実は2018年に製造は終了しています。しかし他のブランド製品卸売店に卸したものがすべて販売終了しているわけではなく、(型を問わないのであればの話ですが)店頭在庫があるかぎりはまだ新品を入手する猶予は残されていると言って良いでしょう。
ユーズド品でも問題ないならその選択肢はさらに広がります。状態の良い店頭在庫がまだ存在し、発売当初より価格も下がっている今こそ、エルゴンの買い時と言っても過言ではありません。
オーバーホールやベルト交換はどこでしてもらえるの?
とはいえ、やはり生産終了した時計。購入したところでメンテナンスしてくれるところがなければ「宝の持ち腐れでは…」と心配になることもあるかもしれません。しかしそこはハイブランド。ブルガリのカスタマーケアに依頼すれば、現行モデルと変わりなく対応してもらうことができるでしょう。
(防水性に関しては復旧できない場合もあるそうです)
また、ブルガリとは無関係な時計修理業者でもオーバーホールをはじめとするメンテナンスは可能です。ブランドの手によるケアと比べてかかる費用が半額ほどになるため、こちらに依頼する方も少なくありません。
その場合は信頼できる業者であること、ブルガリウォッチを修理した実績があることをきちんと確認したうえで預けるようにしましょう。ブランドウォッチは繊細かつ緻密に作られた技術の結晶です。修理担当者の腕前によってはメンテナンス後に異常を起こすというのも、そう珍しい話ではありません。
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エルゴンの種類について
ブルガリの時計にはすべて英字と数字の組み合わせで型番がつけられています。もちろんエルゴンもこの例にもれず、人気のEG40S、金無垢のEG30C6GGD…などなど。
しかしこの型番、なんだか似たようなアルファベットばかりで混乱してしまいませんか?気に入ったものがあっても型番が覚えられない、というのはブルガリ時計のあるあるかもしれません。
ではこの型番、いったいどうやって形成されているのでしょうか。法則さえ理解すれば覚えやすくなるはずです。
EG40S?EGW30G?型番の仕組みを理解すれば種類もわかる!
ブルガリウォッチの種類は膨大なため、今回はエルゴンの型番に限定してご紹介します。メンズのクロノグラフ搭載デザイン、EG35BSSDCHを例にとってみましょう。
最初の二文字、「EG」。これは「エルゴン(ERGON)」の頭文字を取ったものです。次の数字、「35」。これはその時計のケース(文字盤を収める容器)の大きさを示し、この場合35mmを意味しています。
その後ろに続いていくアルファベットは、型番ごとに文字数も種類もバラバラです。これは文字盤の色(B)→ケースの素材(S)→ベルトの素材(S)→日付表示の有無(D)→クロノグラフの有無(CH)…と続くのですが、ひとつひとつ読み解いていきましょう。
文字盤の色は「黒(B)」と「白(W)」の二種が主ですが、C2やC6などといった特殊なデザインのものも存在します。また、文字盤に色のないモデルはこの項目は省かれます。ケースの素材は「ステンレス(S)」「ゴールド(G)」など。ベルトの素材も同様にステンレスのほか、「ラバー(V)」や「レザー(L)」などがあります。
文字盤に位置する小窓の日付表示機能があるものは「D」が表記され、そのあとにクロノグラフが搭載されているモデルは「CH」と続きますが、さらにその末尾に「12」と付けられる場合があります。これはインデックス(文字盤の数字にあたる部分)に12個分ダイヤが割り振られていることを表しているのです。
型番によっては例外も見受けられるのですが、基本的にはこのような配置になっています。仕組みが分かれば自分好みのモデルを見つける一助になることでしょう。
ブルガリのエルゴンを手に入れるためには
ここまでエルゴンについてさまざまなご紹介をしてきました。カジュアルにもフォーマルにも対応でき、手首にストレスのかかりにくい計算された装着感を持つ逸品。この個性的な魅力を持った時計を手に入れるとしたら、やはり問題として挙がってくるのが、どこで購入するべきかという点でしょう。
新品を入手するためのポイント
ハイブランドといえばやはり正規店からの購入がもっとも確実な手段ですが、なにしろ製造終了になったモデル。公式サイトにおいても取り扱いはありません。であれば頼れるのは他店の店頭在庫でしょう。大型家電量販店やブランドウォッチを取り扱う通販サイトなど、型番は限られますが新品を入手できるルートはまだ残されています。
並行輸入品とは?
近頃ハイブランド品においてよく見かける文言、並行輸入品。これはブランドが契約を結んだ代理店、または日本支社によって取引されている正規ルートとは別のルートにて並行に輸入された品のことを指します。
現地で該当ブランドから直接仕入れて日本に卸しているため、偽物であったり違法であったりといった心配は必要ありません。むしろブランドがイメージを守るために希望する価格よりも割安で購入できるという大きなメリットがあります。
ただしそれは信用の置ける企業に限っての話。並行輸入品と騙って実は偽物だった、というケースも。なるべく店舗数の多い有名店を選ぶことがトラブルを避けるためのポイントでしょう。
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中古を入手するためのポイント
欲しいと思ったモデルがどこを探しても製造終了。となれば、時に中古という選択肢がポップアップしてくることもあるでしょう。精密機器かつ傷つきやすい金属でできている時計を中古で買うべきか、というのは実に迷うポイントかもしれません。
しかし新品価格も下がってきた現在、エルゴンの中古はモデルによっては状態の良いものでも10万円前後、時にはそれ以下になっていることがあります。
心配なようなら購入後にブルガリのメンテナンスに出してしまえば、内部機構だけではなく細かい傷も研磨されて返ってきます。新品の三分の一以上の差をつけてブルガリウォッチが購入できるなんて、お手軽と言ってしまってもいいのかもしれません。
そのお店、そのエルゴン…本当に大丈夫ですか?
ハイブランド製品を購入するにあたり常に気をつけておきたい点があります。それは店に対する信頼。身元のしっかりとした企業なら問題ありませんが、実績の浅い店や通信販売に関しては真贋に対する姿勢を見極めておくべきでしょう。なぜなら、ブランド製品の影には必ずコピー品の存在があるからです。
頭の片隅に置いておきたいコピー品の罠
コピー品と言えば財布やバッグが主流ではありますが、精密機器である時計に関してもコピー品は存在します。外観だけを本物に見せかけるだけではなく、ムーブメントにわざわざ高品質なスイス製を使用しているものがあるほど。ここまでのスーパーコピー品となると、見極めにはケースを開いて中を見たりなどといった専門家の力が必要になります。
こういった偽造品に引っかからないためにできることは、信用の不確かな店の商品に安易に手を出さないことに尽きます。もちろん中には事業を始めたばかりで実績が少ないだけの誠実な店もありますが、その違いを見極められそうになければ、なるべく手を引いておくのが無難でしょう。
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エルゴンの買取価格を知っておこう
では購入とは反対に、現在のエルゴンの買取価格はいかほどのものなのでしょうか。本体希望価格71万2,800円のEG35BSSDCHモデルを例に挙げてみましょう。
買取価格はやはり使用状態がものを言います。新品未使用、または状態のすぐれて良いものが23万円ほど。ではほどほどに使用感があるものはというと13万円ほどになります。
型番によっても価値は大きく変動するため同じエルゴンといえど一概には言えないのですが、いずれも買取価格はどれほど状態が良くても発売当初における設定額の三分の一、幅があるもので四分の一ほど。悪ければ十分の一ほどになるものも。新品価格も希望価格の半額以下ですし、中古購入での価格を考えても妥当な価格でしょうか。
プレミア的な価値のあるコレクションアイテムというよりも、アクティブに日々使用するための愛用品。今現在、エルゴンはそういった稀有な位置付けにあるアイテムと言えるのでしょう。
ブルガリのエルゴンについてのまとめ
ブランドの中でも定着し続けるモデル、そうではないモデルがあります。エルゴンは前者にはならなかったものですが、新鮮な風に似て「ブルガリ」の新たな側面を見せてくれた革新的な個性派モデルであるのは確かでしょう。ブランドウォッチを敬遠している人にも、一度触れてみるとその性能美は新しい風を吹かせてくれる逸品となるはずです。