蛇革の特徴や種類は?色落ち・鱗がめくれたときのお手入れ法について

独特な模様と個性的なデザインで人気を集めているのが蛇革です。一度は蛇革のアイテムを持ってみたいと思っている人も多いのではないでしょうか?蛇革はワニ革やトカゲ革など他のエキゾチックレザーに比べ、種類や加工法が豊富で、商品ごとにいろいろな雰囲気を併せ持っています。そこで今回は蛇革の特徴や種類、お手入れ方法など詳しく紹介します。

蛇革の特徴

蛇革の特徴

蛇やワニなどの爬虫類系の革はエキゾチックレザーと呼ばれ、人気のある素材です。なかでも有名なのが、蛇革、ワニ革、トカゲ革の3つで、特に蛇革は種類が豊富で人気の高い素材です。

蛇革は独特のウロコ模様が特徴

蛇革の最大の特徴がウロコ模様です。蛇の種類によって模様が異なりますが、どれも独特な雰囲気をもっています。蛇革はウロコの先端がペラペラしてしまいますが、それは本物であるという証拠です。日常生活で使用する分であればウロコが剥がれてしまったり、取れてしまうことはほとんどないので安心してください。

蛇革は時間と共に経年変化を楽しむことができる

蛇革は繊細な素材と思われがちですが、加工されることで繊維の構造が丈夫になり長い期間楽しむことができます。

蛇革の加工方法

蛇革の加工方法は大きく分けると2種類あります。加工方法によって模様の出方や雰囲気が変わります。

ベリーカット

蛇の背中の模様を生かしたい時に使用されるのがベリーカットで、まさに蛇革という雰囲気を楽しみたい人向けです。

バックカット

蛇のお腹側の模様を使いたい時に使用されるのがバックカットです。ベリーカットに比べると蛇革の独特な雰囲気が緩和されて落ち着いた印象になります。蛇革のアイテムは使いたいけど、ちょっと派手だと感じる人にはバックカットで加工されてアイテムを選ぶといいでしょう。

また、蛇革の染色方法も大きく2つに分けられます。蛇革の模様と色をそのまま生かして染色する方法と、模様と色を脱色した後に全く別の色で染色する2つの方法があります。このようにカットと染色方法の組み合わせで、いろいろな雰囲気を楽しむことができるのが蛇革です。

蛇革の種類

エキゾチックレザーの代表格の蛇革は、他のクロコダイルやトカゲの革のリザートに比べ、種類が豊富にあります。

蛇革は大きく分けると全長1m前後のスネークと、全長2m〜4m前後のパイソンの2種類に分けることができます。蛇の種類によって模様や雰囲気も変わってくるので、次は代表的な蛇革の種類を紹介します。

ダイヤモンドパイソン:アミメニシキヘビ

アミメニシキヘビ

蛇革と聞いてまず一番最初に思い浮かぶのがダイヤモンドパイソンです。主な生息地はタイ、ミャンマー、ベトナム、カンボジア、マレー半島、インドネシア、フィリピン、中国南部等、アジアの熱帯地方に広く分布し、生息地によって体色や体調が異なります。

日本国内でもっとも流通量の多い蛇革で、全身にあるダイヤモンド柄の模様が最大の特徴で、そこからダイヤモンドパイソンと呼ばれています。蛇革の中でも丈夫でサイズも大きいので、さまざまなアイテムに使用されています。

ダイヤモンドパイソン独特のダイヤ柄は、加工の段階において模様として生かす場合と模様を除去してウロコのみを生かす場合があります。またベリーカットとバックカットでも雰囲気がかなり変わるのも大きな特徴です。

モラレスパイソン:ビルマニシキヘビ

ビルマニシキヘビ

全身にある不規則な石垣調の図形模様が特徴の蛇革がモラレスパイソンです。アジア熱帯地方に多く生息しています。個性的な石垣のような斑紋模様が日本やヨーロッパで人気を集めています。

ダイヤモンドパイソンと同様に丈夫でサイズが大きいので、蛇皮の中でも代表的な革でハンドバックや財布、ベルトなど色々なアイテムの素材として使われています。ちなみに沖縄の代表的な楽器の三線の材料です。

ダイヤモンドパイソンと同じように模様を活かした加工と模様を除去した加工の両方が市場に出回っていますが、どちらかと言えばモラレスパイソンの場合は模様を活かした加工のものの方が人気が高く、市場に多く出回っています。

レッドパイソン:ヒイロニシキヘビ

レッドパイソン

レッドパイソンはショートテールパイソンと呼ばれ、胴の部分が太く短く、全長が1〜2mとパイソンの中でも短いのが特徴です。体全体が赤味を帯びているのでレッドパイソンと呼ばれています。水辺を好む傾向があるので、マレー半島、スマトラ、ボルネオ島などが主な生息地です。

斑紋模様を持っていますが、ダイヤモンドパイソンやモラレスパイソンのようにキレイではないので、市場に出回る時は模様を除去して使用されることがほとんどです。

またレッドパイソンの場合は、お腹部分の大きな蛇腹を生かすためにバックカットが主流で、主にカウボーイブーツや女性もののバックの素材として使われています。

アフリカパイソン:アフリカニシキヘビ

アフリカニシキヘビ

アフリカパイソンはアフリカ大陸に広く生息しているアフリカを代表する大型の蛇です。その体長は平均4mで、大きいものだと8mに達するものもいます。大きくて複雑な斑紋が左右対称にキレイに並んでいいるのが特徴で、色は茶褐色です。

アナコンダ

イエローアナコンダ

主に南米を中心に生息し、全長が平均4m〜6mで大きいものでは9mを超える大きな蛇です。5mを超えるものは体重100Kgを超えます。

主に南米を中心に生息していますが、最近は森林開発が進んだ影響で生息数が減少しているため、今後希少価値が上がると考えられます。頭部から尾部にかけて黒い円形や楕円形の斑紋が連続的にあります。

キングコブラ

キングコブラ

世界的にも有名で独特な風貌とウロコの模様が人気の蛇です。主にインド、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、マレー半島、中国南部など東南アジアのジャングルの川の流域近くのひらけた平地に生息しています。

全長は3mほどでさほど大きくはありませんが、トカゲなどの爬虫類や他の蛇を主食にすることから蛇の王様と言われています。特なウロコ模様は人気が高く、特に革は財布やベルト、バックなどのアイテムに使用されています。

ボア:ボアコンストリクター

Colombia Red Tail Boa

メキシコ湾沿岸から中米を経て、南米のパラグアイ、アルゼンチン北部を中心に生息しているボアコンストリクターという蛇からできている革がボアです。全長は平均2m〜3m前後で、大きなものでも5m前後と小柄です。

他の蛇に比べて幅広い地域に生息しているので、体色や形態は亜種、地域、個体による変異が大きく体の色が緑や赤、黄色、模様も楕円や菱形などさまざまな蛇がいます。

蛇革のお手入れ方法

蛇革のお手入れ方法

蛇革はブラッシングをしたり、普段使用することによって生じる摩擦によって、革の表面が美しく変化していき、経年変化を楽しむことができます。

そこで次は蛇革を長く愛用するためのお手入れの方法について紹介します。

蛇革のお手入れで準備するもの

馬毛ブラシ

革製品のお手入れに欠かせないのが馬毛ブラシです。馬毛ブラシは豚の毛や化繊のブラシに比べて、柔らかく毛先が細いのが特徴です。そのため、バックの縫い目などの細い部分にまで毛先が入り込んで、ホコリや細かいゴミを掻き出してくれます。日常的なお手入れの道具として持っておきたいアイテムです。

爬虫類用のクリーム

革用品のお手入れに栄養クリームは欠かせません。蛇革のお手入れに使うクリームは必ず爬虫類用のクリームで行うようにしてください。

爬虫類用の防水スプレー

防水スプレーも栄養クリームと同じように爬虫類用の防水スプレーを別途購入してお手入れするようにしてください。

柔かい布

革製品のお手入れのアイテムとして柔らかい布は欠かせません。特に購入しなくても着古したTシャツなど、綿素材の柔らかい布で代用することができます。

買ったばかりの時は

購入したばかりの時はお手入れする必要がないと思われがちですが、この時にきちんとお手入れするかによって長持ちするがどうかが決まるといっても過言ではありません。

使用前に爬虫類専用の防水スプレーを使うことで空気中の排気ガスや花粉などの汚れから蛇革を守るだけでなく、汚れにくい革にしてくれます。この時にツヤ感のある蛇革の場合は30㎝くらい離してからスプレーをして、蛇革にスプレーが浸透したら柔らかい布で拭きあげます。

マットな仕上げの革は、スプレーの量を少なめにして浸透するのを待てば大丈夫です。

蛇革の常的なお手入れの方法

日常的なお手入れは使用した後に馬毛ブラシでブラッシングしたり、柔らかい布で軽く吹いてホコリや汚れを落とすくらいで問題ありません。日常的に使用する場合は1ヶ月に1度、あまり使用しないアイテムはワンシーズンに1度くらい防水スプレーをしてください。

蛇革の鱗がめくれたときの対処法

本物の蛇革の場合は鱗がめくれてしまうことはほとんどありません。通常のグレージング仕上げの場合、糊付けをしているのでほとんどめくれたりすることはありませんが、もしめくれてしまった場合は乾いた布で軽く鱗の流れに剃って拭くだけで大丈夫です。

それでも直らない時は、専門の業者に依頼するのが安心です。

蛇革を長く愛用するための秘訣!色落ちや水気に注意

蛇革も他のエキゾチックレザーと同じように水気に弱いため、極力雨の時には使用しないようにするのが長持ちする秘訣です。

もし濡れてしまった場合は、すぐにティッシュや乾いた布で水気を除去し、風通しのいい日陰で乾燥させます。乾かす時に直射日光が当たってしまったり、早く乾かそうと思ってドライヤーで熱風を当ててしまうと、急激な温度変化によって革を痛めてしまう恐れがあります。

また長く使うためには毎日使うのではなく、時より休ませることも大切です。もし長期間使用しない場合は湿気が少なく、直射日光が当たらない場所で保管しましょう。

正しいお手入れで蛇革アイテムを長持ちさせよう

エキゾチックレザーの代表格である蛇革はお手入れが難しいと思われがちですが、正しいお手入れをすることで長く愛用することができます。もしお持ちの蛇革のアイテムがあれば、この機会にお手入れ方法を見直して長く愛用してください。