フランチャイズを始める前に覚えておきたい法律問題

フランチャイズで独立開業や起業する際、確かな支援を受けられるからといって事業本部に任せっきりになってはいけません。なにも知らずに契約を結んでしまうと、後々取り返しのつかない事態に陥ることも考えられるからです。そこで真っ先に覚えておきたいのが、起業のリスクを管理し契約後のトラブルを避けるために欠かせない法律に関する様々な決まりごとです。今回はそのフランチャイズ契約をする際のポイントや法律、実際に起業する際のメリット・デメリットについてご紹介していきます。

フランチャイズ契約の際におさえておくべきポイント

フランチャイズ契約の際におさえておくべきポイント

フランチャイズで起業をする場合、パートナーとなる事業本部と様々な契約が取り交わされるものです。契約内容をきちんと理解していないと、いきなり高額な請求をされたり契約を一方的に打ち切られるなどのトラブルに発展することがあります。

具体的には、

  • 契約期間や更新内容を把握しておらず、いきなり契約を打ち切られる
  • 高額なロイヤリティを支払っており、なかなか利益が伸びない
  • 距離の近い場所に新規店舗が出店され、売上に大きな影響を及ぼした
  • 事業本部からの指導援助があまりなく、準備が不十分なまま開業した

などです。

自分で事業をしている以上、「知らないうちに契約違反をしていた」なんてことは一番避けたいものです。契約内容を作成している事業本部側はもちろん把握していることでしょうから、自身もしっかりと理解し足元をすくわれないようにしましょう。

フランチャイズ契約の際に気をつけるポイントは、少し古いですが中小企業庁でも紹介されています。こちらも参考にしてみてください。

参考 「フランチャイズ事業を始めるにあたって」中小企業庁

フランチャイズ本部と自身の加盟店はそれぞれ独立した事業者となるため、契約上は対等な関係です。きちんとした契約を結ぶ以上、ビジネスパートナーとしての自覚をもち相手に任せっきりになったり「なんとかなるだろう」と考えなしに行動しないよう注意してください。

義務違反

フランチャイズにおいて、事業本部は加盟店へ向けて様々な指導や援助を行うのが一般的です。その代表的なものとして、立地や商圏特性に合わせた売上予測の情報提供、本部による研修や個別指導などが挙げられます。

企業の中には研修や教育制度の内容が適当なことがあり、実際に事業を開始する際に研修などが行われず、開始後に派遣された人員が知識や経験を持ち合わせていないなんてこともあるのです。

ただしフランチャイズ契約では、指導援助に関しての項目は抽象的に記載されていることが多く、義務違反になるかは様々な事情を考慮した上で判断されます。そのため「研修制度があるのか」「どの程度の期間、研修を受けられるのか」といった具体的な事柄についてチェックしておいてください。

契約違反

フランチャイズ契約をする時には、事業本部と加盟店で様々な契約が交わされます。契約期間の更新やロイヤリティの支払い金額はどの程度なのかなど多々ありますが、これらの事項に違反した場合、損害賠償金や違約金を支払わなければなりません。

その金額や違反の範囲についてもきちんと定められているものなので、気を引き締めるためにも必ず目を通しておく必要があります。

それに一般的には自身の加盟店側だけでなく事業本部に違反があった場合にも、契約を一方的に解除できたり損害賠償を請求できることが定められているものです。もし規定がないのであれば、一度本部にお互いのリスク管理について確認した方が良いでしょう。

では具体的にどんな契約を重要視しておいた方が良いのか見ていきましょう。

契約期間

契約期間の算出方法についてはきちんと把握しておきましょう。契約締結日からなのか、店舗のオープン日からなのかで必要な資金が変わってきます。

契約の更新についてもしっかり目を通す必要があります。なぜならもし自動更新されるのであれば、更新日前には継続するか否かの判断をしなければならないですし、手続きが必要なケースだと事前に書類を揃えたりとバタバタしてしまうからです。

フランチャイズだと更新料が発生することもあり、毎月引かれるロイヤリティばかりに目がいっていると見落としがちになります。

テリトリー制

テリトリー制は、一定の範囲内の地域に他店の開業を制限する制度のことです。例えば距離の近い場所に他の加盟店や直営店があると、お互いの店舗が客を奪い合うことになってしまいます。

双方の売上や利益に大きな影響を与えるので、店舗間の距離や数を制限して、加盟店の商圏を守る意味合いがあるのです。一方で、他の地域に営業活動などができなくなる側面があったりテリトリー制自体がない企業もあるため、事前の確認は必須と言えるでしょう。

ロイヤリティ

フランチャイズでは、事業本部が持つ技術や経営ノウハウを提供してもらう対価としてロイヤリティという支払い料金が発生します。事業によって様々な方式が採用されており、粗利益や売上の○%を支払う方式から定額方式など様々です。

支払う金額や割合も企業によって異なり、あまりにも高額なロイヤリティだと経営に支障が出ることも考えられます。手厚いサポートや充実したサービスなどで高額になっている場合もあるため、全体的な契約内容と照らし合わせて判断した方が良いでしょう。

中途解約

フランチャイズの契約期間は、3年や5年などの長期にわたることが一般的です。経営難などで事業に見切りをつけて早めに解約したくなっても、中途解約の定めがなければ原則として一方的に解約はできません。

通常だと違約金が発生する場合も多いため、最悪の場合を想定して中途解約した際に掛かる金額の計算は必要です。一定の金額が設定されていたり、残りの契約期間で支払う予定だったロイヤリティが上乗せされたりと算出方法も様々なので、中途解約の定めや違約金についても必ず確認しておきましょう。

中小小売商業振興法

中小小売商業振興法

日本では、フランチャイズ事業に関する直接的な法律はありません。しかしフランチャイズという言葉自体が使われることはなくても、法律の中でフランチャイズに該当するであろう内容は存在しています。

その代表的なものが、中小小売商業振興法で定義している「特定連鎖化事業」です。そもそも中小小売商業振興法とは、以下のように述べられています。

商店街の整備、店舗の集団化、共同店舗等の整備等の事業の実施を円滑にし、中小小売商業者の経営の近代化を促進すること等により、中小小売商業の振興を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

要するに「店舗側で様々な工夫を凝らし合理的に発展させ国民に貢献する」ということを目的とした法律です。その発展や近代化を図る手段の1つとして、特定連鎖化事業=フランチャイズのような経営手法が挙げられています。

そしてこの法律の中では、フランチャイズ本部から加盟店に対して「法定開示書面の交付」という情報開示の義務があるのです。

具体的には以下の通りになります。

・加盟に際して徴収する加盟金、保証金その他の金銭に関する事項
・加盟者に対する商品の販売条件に関する事項
・経営の指導に関する事項
・使用させる商標、商号その他の表示に関する事項
・契約の期間並びに契約の更新及び解除に関する事項
・前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

これらの事項が記載された書面の開示を怠ると、事業本部は主務大臣による勧告がなされます。従わなければその事実をさらに公表しなければならないため、フランチャイズを始める方を守るような法律といっても過言ではないでしょう。

ただし開示対象となる業種は小売業と飲食業だけなので、サービス業などでは義務付けられていません。しっかりと開示書面を交付する企業もありますが、この点についても確認しておくべきです。

独占禁止法

独占禁止法

独占禁止法は、いわば市場の独占を禁止したり独占状態から不当に価格を引き上げたりすることを禁止した法律です。そしてこの法律には市場だけでなく企業間の取引に関する事項もあり、フランチャイズに深く関わってきます。

中小小売商業振興法と同じく、事業本部が加盟店を募る時や契約締結時にいくつかの開示すべき事項があります。

・加盟後の商品等の供給条件(仕入先の推奨制度等)
・事業活動上の指導の内容,方法等
・加盟に際して徴収する金銭の性質,金額,その返還の条件等
・加盟者が本部の商号等の使用,経営指導等の対価として定期的に支払う金銭(「ロイヤルティ」等)の額,算定方法等
・決済方法の仕組み・条件等
・事業活動上の損失に対する補償の有無等
・契約の期間,更新,中途解約の条件・手続等
・加盟後,加盟者の店舗の周辺の地域に,同一又はそれに類似した業種の店舗を本部又は他の加盟者が営業することができるか否か等

冒頭でお話しした「フランチャイズ契約時におさえておくべきポイント」がいくつも存在しているのがわかるでしょうか。

さらに事業本部が加盟店を募る際には、売上や利益予測を提示していることも多々あるでしょう。その時に必要となる「根拠となる既存店舗の実績」「合理的な算定方法」などの根拠となる資料も、独占禁止法により事業本部は開示する必要があるのです。

またこれらの情報が開示されていたとしても、事業本部と加盟店の間で「思った以上に徴収される料金が高かった」「提示された売上予測に届かない」などのトラブル事例が数多く報告されています。

こうしたトラブルを防止するため、加盟者側にも一定の理解を示すことが促されているのです。

・フランチャイズ・システムに加盟するには,加盟希望者の側において,相当額の初期投資を必要とすること
・今後,当該事業を継続して行うことを前提に加盟交渉が行われていること
・加盟後の事業活動は,一般的な経済動向,市場環境等に大きく依存するものであること

フランチャイズと労働法

フランチャイズと労働法

本来フランチャイズ契約においては、本部と加盟店は独立した事業同しなので対等な関係にあるものとされています。つまり一般的な企業と労働者のような上下関係は存在しないはずなのです。

通常は事業本部が知識やノウハウを提供し、その対価として加盟店はロイヤリティなどの対価を支払います。しかし加盟店からすると、従業員の給料や残業代など様々な支出がある上にロイヤリティを徴収されるのです。

そのためあまり利益を上げられない業種では事業を継続していくことが難しく、経営が苦しくなり閉店する際の多大なリスクも追うことになります。もし契約期間に満たない場合は、事業本部への違約金が発生すること考えられるでしょう。

特にコンビニなどの24時間営業の店舗では、人員不足などの問題で違法な長時間労働となる場合もあります。それが本部からの業務依頼や強い制約によるものだと、独立した企業同士というよりも企業と労働者の関係に近いということでトラブルが起こるのです。

例えば、2014年には全国のフランチャイズ加盟店のコンビニ店長約200人で組織されている「コンビニ加盟店ユニオン」が、セブンイレブン・ジャパンに不当労働行為救済申し立てを行った例があります。

この件では実質的な契約内容が会社から一方的に定められており、加盟店の独立性は極めて薄いとして「労働者」に結論づけられ、団体交渉の受け入れが認められました。

ただこの事例1つをとっても賛否両論あり、全てのフランチャイズ加盟店に当てはまるわけではありません。事業本部側にはこれまで述べてきた義務があるように、加盟店側にも独立した事業として経営を行う責任や努力義務があるからです。

いずれにしてもフランチャイズ契約を結ぶ際には、本部側と認識の違いやズレが起こらないようしっかりと話し合うことがトラブルやリスクを避ける大切な判断材料になるでしょう。

フランチャイズで起業することのメリットデメリット

フランチャイズで起業することのメリットデメリット

フランチャイズで起業する際には、契約や法律などの複雑なことについて知ることの大切さが多少なりとも理解できたことと思います。

細かい部分で様々な制約があるフランチャイズですが、それでも一から始める人にとって利用する価値は大いにあります。では具体的にどんなメリットやデメリットがあるのか見ていきましょう。

フランチャイズで起業するメリット

フランチャイズで最も思い浮かべやすいメリットが、未経験でも参入できることです。事業本部から専門的な知識や経営ノウハウを数多く学べるので、ゼロから自分で調べるよりも圧倒的に早く事業に馴染めます。

そして研修制度により、自身のスキルアップや雇用する人材の教育がスムーズに行えることも大きなメリット。戦力となる人材の確保にいち早く着手できます。

企業のブランド力も活かせるため、ゼロからの起業でもある程度の信頼性を得られやすいでしょう。事業本部がマス広告やソーシャルメディア広告を行っていれば、その宣伝効果が自身の店舗にも良い影響を与えてくれます。

フランチャイズ本部によっては、店舗の立地を提案してくれたり建物や設備投資にかかる費用を一部負担してくれるケースもあるため、出店する際のコストを抑えることが可能です。

コスト面だと、仕入れルートなどが確立されているので商品確保が容易に行えることや、これまでの加盟店における取り組みから店舗に最適な備品や設備を取り入れられることも挙げられます。

資金調達の面でも過去の加盟店からの実績をもとにした事業計画を立てられるため、金融機関からの信頼を得られやすいでしょう。

このように一から起業する人や開業資金で困っている人などに、有用なメリットが数多く存在しているのがフランチャイズなのです。

フランチャイズで起業するデメリット

数々のメリットがあるフランチャイズですが、それと同様にデメリットも存在します。

特に最近ではTwitterなどのSNSで職場の内情が簡単に流失してしまい、炎上するケースも多く見られます。事業本部のブランドイメージが悪くなると、もちろん加盟店全体にも悪影響を及ぼします。つまり自店舗に落ち度がなくても、客足が遠のいてしまうリスクがあるのです。

また基本的には本部の経営方針に従うことになるため、ある程度定められたルールやマニュアルに沿って店舗を運営していきます。初めて独立開業する右も左もわからない人にとってはありがたいものですが、様々な構想を練っており独自性や差別化を図りたい人は窮屈に感じることも多いでしょう。

そして売上状況に関わらず、ロイヤリティの支払いが発生することもデメリットの1つです。もちろん様々なノウハウを共有しているので、ロイヤリティを対価として支払うのは当然とも言えるでしょう。

しかし売上状況が悪いときつい時もありますし、途中で契約解除しようと思っても数年単位の契約期間分を請求されることも考えられます。1つのフランチャイズ企業だけでなく、様々なところと比較してから選んでください。

契約内容や法律面をきちんと理解し起業のリスクを抑えよう

フランチャイズの契約内容やそれに関わる法律は、とても細かく複雑なので把握するのが難しく感じる人も多いでしょう。しかし独立開業や起業を目指す人にとっては、きちんとリスク管理をするためにも正しく理解する必要があります。

特に未経験の業種へ挑戦するのであれば、自分で経営を学ぶ手間から店舗の開業や人材獲得をするなど多大なコストが掛かるでしょう。

自ら茨の道に飛び込むよりも、できることならスマートに事業を軌道に乗せたいと思っている方も多いはずです。そんな方には、開業の初期費用を抑え経営などの下地をスムーズに取り入れられるフランチャイズで起業することをおすすめします。

銀座パリスの買取フランチャイズではジュエリーや貴金属、ブランド品や時計などの様々な商品を取り扱っていますが、活躍しているほとんどの加盟店オーナー様が買取未経験です。フランチャイズ契約後に「事前準備研修」、物件決定後には「加盟店研修」などの手厚いサポートも実施しており、安心して経営に挑むことができます。

未経験の方でも自信を持って開業できるため、これから起業を目指す人はぜひとも銀座パリスの買取フランチャイズをご検討ください。資料のご請求やお問い合わせも承っております。