日本流通自主管理協会(AACD)とは?ブランド品を扱うなら加盟は必須?

日本流通自主管理協会は、ブランド鑑定士の人が取得しておきたい資格である「協会基準判定士」の認定を行う一般社団法人です。しかし資格の認定は、同協会における活動の一部でしかありません。では具体的にどんな活動を行う団体なのでしょうか。今回はそんな日本流通自主管理協会の概要や協会基準判定士の資格などについて詳しくご紹介していきます。

日本流通自主管理協会(AACD)とは

日本流通自主管理協会(AACD)とは

日本流通自主管理協会は、並行輸入品市場での偽造品や不正商品の流通防止と排除を目的として1998年4月に発足した民間団体です。

並行輸入とは、正規代理店の販売ルートとは別に正規品を仕入れることです。特に海外のブランドは通常、国内の直営店や正規代理店を通して消費者に商品として提供されるのが一般的です。

しかし海外の直営店や免税店などで購入したものは、国内価格よりも安く仕入れられます。その仕組みを活用し海外で買い付けを行い、日本国内の消費者に安く商品を提供するのが並行輸入業者なのです。

そして並行輸入は消費者にとってブランド品などを安く購入できるメリットがありますが、その反面、偽物や不正品などが出回る可能性も高くなります。日本流通自主管理協会はそうした不正商品の流通を防ぎ、消費者が安心して買い物できるよう協会独自の商品取り扱い自主基準を定めているのです。

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日本流通自主管理協会の活動

日本流通自主管理協会の主な活動内容としては、

  • 各ブランド毎の「協会基準マニュアル」の作成
  • 「協会基準判定士」の養成
  • 情報収集のための協会基準に基づく「商品判定」

などがあります。

これはAACDの会員を対象としており、中でも「協会基準判定士」の養成は不正商品の排除に貢献できる人材の育成や研修を行う資格制度。買取専門店などで働くブランド鑑定士が、商品の真贋判定を行う際などに必要な知識を学べます。

また普及活動として、

  • 「AACD消費者Q&Aセンター」による相談対応
  • 各種研修会やホームページでの情報提供

などを実施。

「AACD消費者Q&Aセンター」では、一般消費者が入手した並行輸入ブランド品や中古ブランド品に関する相談や問い合わせを受け付けています。入手した商品が怪しいと感じる場合にも、必要に応じて協会独自の基準をもとに「基準内・基準外」の判定を実施しているのです。

研修会やホームページでの情報提供では、並行輸入品を消費者に正しく理解してもらうための無料研修会などを開催。日本流通自主管理協会のホームページには、「AACD会員を騙る企業一覧」などの怪しいサイトのURLを掲載し注意喚起を促しています。

消費者の相談や質問に対応

「AACD消費者Q&Aセンター」は、日本流通自主管理協会が業界の消費者相談窓口として2005年10月に設置したもの。一般のお客様専用のお問い合わせ窓口となっており、フリーダイヤルによる電話相談が可能です。

参考:日本流通自主管理協会(AACD)「AACD消費者Q&Aセンター」

このサービスは、主にブランド品の真贋に関わる質問などを受け付けています。そのため商品の値段や修理などの相談には対応していません。

一般的な例としては、

  • 「ブランド品を購入したが一向に商品が送られてこない」
  • 「海外から発送された商品の質が粗悪で本物とは思えない、取引後から一切連絡がとれない」

などです。

こうした消費者の悩みに対して、警察や越境消費者センター(CCJ)への相談、経済産業省模倣品対策室への通報などケースに応じて的確なアドバイスを行います。

さらにカード会社などから案内された消費者が購入した、明らかに偽物や模倣品の疑いがある商品を同協会の基準内・外で判定し、結果を紹介元のカード会社などに通知します。

会員企業を騙る悪質サイトへの対応

また同協会の会員企業を騙る悪質なサイトで、トラブルや詐欺などが発生しているのも現状です。具体的には、

  • 「会員企業で購入した商品がいつまで経っても発送されない」
  • 「中国などの海外から商品が送られてきた」
  • 「AACDのロゴや天秤マークを不正に使用したサイトの報告」
  • 「実在する会員企業の名称や屋号、住所や電話番号などを悪用するサイトの報告」

などが挙げられます。

これらの問題に対しても、いくつか対策を講じています。それが先ほどの章でも述べた同協会のホームページに「AACD会員を騙る企業一覧」を掲載し、消費者へ注意喚起を促すことです。

そして被害の拡大を防ぐために、会員企業向けに「対応の手引き」を配布。具体的には、以下のような対応を実施しています。

  • 偽サイトのドメイン登録企業を調べる
  • 偽サイトの問い合わせに「削除要請メール」を送信
  • Googleの検索サイトに「著作権侵害による削除」の申請
  • 経済産業省の「「政府模倣品・海賊版対策総合窓口」へ情報提供
  • 会員サイトで注意喚起文の掲載
  • 所轄の警察署へ被害届や振込先銀行口座の凍結依頼を提出

このように様々な活動や対応を通じて、消費者が安心して並行輸入品を購入できる環境を作り、会員企業への適切な対応を周知しているのです。

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協会が認定する『協会基準判定士』とは

協会が認定する『協会基準判定士』とは

偽ブランド品などの流通を防ぐために日本流通自主管理協会は様々な活動を行なっていますが、その一環とも言えるのが「協会基準判定士」の認定です。

同協会では資格取得に向けた講習を開催しており、並行輸入品に関する知識や正しく判定できるノウハウが学べ、試験でその実力をはかります。そして試験に合格した人に与えられるのが、協会基準判定士という資格です。

同協会は協会基準判定士の資格を取得したブランド鑑定士を増加させることで、ブランド品売買や買取専門店に流れてくる偽造品や不正商品の流通を全国各地にある店舗で抑えることを目的としています。

ただし協会基準判定士はあくまで協会の基準を満たしているか、外れているかを判定するものなので、商品自体が本物か偽物かを判断できるわけではありません。

そして会員企業は同協会独自の基準を満たしている商品しか販売しないよう定められています。万が一、基準に通らない商品を仕入れてしまった場合は、返金や在庫処分などをする必要があるでしょう。

『協会基準判定士』資格取得方法

協会基準判定士の資格を取得するにはいくつか条件があり、まず日本流通自主管理協会の会員企業に属していることがひとつです。

上記でも述べていますが、日本流通自主管理協会の活動内容は主に会員企業に所属している人を対象としています。これは協会基準判定士がブランド品の真贋を判定するための「協会基準マニュアル」を、会員企業にしか取り扱えないようにしているなどの理由があるからです。

会員企業となるのは、

  • ブランド品買取店や質屋などの「小売企業」:77社
  • ブランド物のバッグやアクセサリーなどの専門知識を持つ「卸売企業」:49社
  • 同協会の目的や趣旨に賛同し力添えをする「賛助企業」:4社

が挙げられます。(企業数は2019年12月時点)

協会基準判定士になるには、これらの企業に属している従業員であることが必須なので、非会員企業の社員や一般の方は資格を取得することができません。同協会のホームページにて会員企業を閲覧できるため、これから資格取得しようと思っている方は参考にしてください。

参考:日本流通自主管理協会(AACD)

一般社団法人 日本流通自主管理協会(略称 AACD)は、並行輸入品市場での「偽造品」や「不正商品」の流通防止と排除を目指…

そして協会基準判定士の資格取得にはもう1つ条件があります。それは同協会が開催する講習に参加し、講習終了後に行われる試験に合格することです。

主に講習の内容は、

  • 会員の遵守事項
  • 並行輸入の基礎知識
  • 並行輸入の知的財産
  • 各種法令
  • 協会基準判定士によるカスタマー対応
  • ブランド品の判定

などがあります。

数回にわたって開催されるこれらの講習に、一定数参加することが試験を受けられる条件です。たとえ仕事などで多忙であっても、講習の参加率が低ければ受験することはできません。

講習は学ぶ範囲が広いので覚えることが多く、並行輸入に関する様々な内容をしっかり理解する必要があるため試験の合格率は非常に低いようです。

まとめると、

  • 日本流通自主管理協会の会員企業に属している人
  • 同協会の講習を受けて試験に合格する

という2点を満たすことで「協会基準判定士」の資格を取得できます。

偽物かどうかを明言できるのは商標権者だけ

日本流通自主管理協会は、ブランド鑑定士をするなら知っておきたい「協会基準判定士」の資格を発行するだけでなく、様々な活動を通して並行輸入品を正しく取引できる環境に改善しています。

ただ協会基準判定士や同協会ができるのは、あくまで判定基準をもとに商品が基準内・外を判断すること。そのためはっきりと偽物かどうかを明言できるのは、基本的に商品の販売元である商標権者だけです。

資格の取得自体も難易度が高いので、ブランド買取店や質屋などに従事する人は現時点で無理に協会基準判定士の資格取得をする必要はありません。日々の接客や誠実な取引を行い実績を積み上げることでも、お客様との信頼を築くことは可能です。

そしてこれからブランド品売買での起業や開業を目指している方は、銀座パリスのフランチャイズ事業から始めてみてはいかがでしょうか。

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