ブランドの元祖と呼ばれるハイブランド、グッチ。1921年のイタリアで皮革製品の製造から始まったこのブランドは、さまざまな歴史を経てまもなく創設100年を迎えようとしています。ハイブランドの中でも安価なものは比較的リーズナブル、特に財布はコストパフォーマンスに優れているとも言われるグッチ。だからといって不自然に安価なものを購入するのはNG!今回はその簡単な見分け方についてまとめました。
グッチの偽物財布について知っておきたいこと
世界で初めてデザイナーの名を製品に刻んだこと。それこそが、グッチがブランドの元祖と呼ばれる理由です。品質を保証し自信を持って名乗ることで「この職人にしか作れないもの」を強く打ち出し、長きにわたって製品の価値と職人の誇りを高めていく。だからこそハイブランド製品に粗悪品は存在しませんし、許されません。
この基本的かつ肝心な要素を無視し「ブランドの名前やデザインといった上辺だけを盗用」して本物だとかたり販売する、それが偽物であり、近年では特にスーパーコピー品と呼ばれるものに当たります。グッチだけではなく、ハイブランドには必ずついて回るものと言ってよいでしょう。
なぜスーパーコピー品が出回るの?
そこに(不正な)利益があるためです。ハイブランドにおいては素材や縫製技術は命であり、ブランドのロゴや刻印などはその証明にほかなりません。一方で偽造品は、当然ですが本物と比べ素材を自由に選べます。縫製も特に指定の職人がいるわけではありません。
市場に出回っているコピー品は本物と比べると大幅に安価なのが特徴ですが、それでも購入者が出れば充分に元を取れる、その程度の出来なのです。もちろん、肝心のブランドには一銭も入りません。
オールドグッチとは?
グッチは波乱万丈のお家騒動が起きたブランドでもあります。経営難のすえにブランドを売却し、一族が経営から閉め出され、最終的にはグッチ家は完全にブランドから撤退することとなってしまいました。
1994年にクリエイティブディレクターに就任したトム・フォードは過去にグッチが作り出した製品を現代風にアレンジして発売、再びグッチの人気を取り戻すことに成功します。
しかしグッチオ・グッチが亡くなり一族が無関係となった今でも、「グッチの製品はグッチ一族が手がけたものだけ」という主張があるのも事実です。その最たるものがオールドグッチと呼ばれる分類でしょう。
これはグッチ一族がデザインを手がけていた1980年代までのグッチ製品を指し、コレクターの間では現在のグッチとは明確に分けて扱われているものなのです。
パオロ・グッチとは?
パオロ・グッチというブランドを聞いたことがある方もいるかもしれません。偽物ではありませんが、グッチ自体と関係があるかというとそれもまた難しいところです。
グッチの創設者グッチオ・グッチの孫のひとりであるパオロは、ハイブランドとは全く方向が異なる大量生産・低価格化によって多くの人にグッチを着用してもらおうと強く考えていました。そのこだわりがグッチの経営方針と対立し、結局追い出されてしまいます。
それでもグッチの名を捨てきれずに掲げたブランドが「パオロ・グッチ」。パオロはデザイン能力こそ優れていましたが、その信念によりどうしても低価格帯に見合った品質から抜け出せません。ハイブランドを固持し続けるグッチとはまったく別物のブランドであると考えるべきでしょう。
グッチの偽物財布の見分け方
馬具などの皮革製品から始まったグッチ。その実用性や耐久性を遺憾なく発揮するのはやはり、バッグや財布など頑丈さが求められるアイテムでしょう。特に冒頭に書いたように財布はコストパフォーマンスに優れ、ブランド初心者でも手が届きやすい逸品です。ということは偽造品も手が届きやすく、氾濫しているということ。
今回はその見分け方について簡単にご紹介します。
コントロールカードを探す
グッチの製品には「コントロールカード」と呼ばれるカードが入っています。ギャランティカードなどの保証書の類とは異なり、検品済を証明するためだけの簡単なカードですが、無機質に並んだGUCCIのロゴと数字には意味があります。本物はこの数字部分がランダムに欠けているのです。
最近のコピー品は日々進化しています。偽造品業者がそういったカードの存在を見逃すことのほうが少ないかもしれませんが、新品と言いながらコントロールカードがどこにもない場合は疑ってみるべきでしょう。
刻印やロゴをよく見てみよう
グッチの財布のレザー部分には必ず「GUCCI made in italy」と刻印されています。この刻印はしっかりと鮮明に刻まれており、また「U」は左側が太く右側が細いやや不均等な形で表されています。「C」は右端が上下とも断ち切られたように鋭角です。
これらの条件に当てはまらず、ぼやけていたりかすれていたりするものは、偽物の可能性が高いと言って良いでしょう。
また、グッチ製品の皮革はGとGが向かい合うようなモノグラムで構成されていることがありますが、GGではなくCCであったり、妙に丸かったりすることが偽物にはあります。これについては素人目でも判別がつくため、本物のモノグラムをグッチの公式サイトなどで確認して頭に入れておきましょう。ぼやけていたりするものも要注意です。
なお、オールドグッチに関しては話は別です。かつて刻印はゴールドのプリント式だったため、型押し品にこそ偽物の可能性があるのです。
その他にも筆記体であったり、刻印とは無関係そうな番号(職人さんにあてがわれた番号のようです)が刻んであったり…。留め具やロゴの形も驚くほど多種多様で自由なため、現行モデルとは一転、比較対象がなければ難しいポイントかもしれません。
金具の形や大きさを確認する
ファスナーの動きがなめらかであること、金具の形や大きさに違和感がなくデザイン的にスマートであること。ボタンであれば開閉時にちゃんと手応えがあること。これがハイブランドにおける最低限の確認事項です。
現在のグッチにおいても使われているようですが、オールドグッチではロゴが特に目立つのが日本企業YKKのファスナー。普段見慣れている金具はグッチに認められた日本の技術の粋です。この点においては偽物ではないのでご注意ください。
内装も細かく見る
外装の体裁だけ整えて内装がおろそか、というのはコピー品によくあることです。革素材の内装が安っぽいポリエステルだったり、糸の始末がお粗末な縫製だったり…ということは珍しくありません。カード入れの部分が縫われていて実際には使えないなんてものも。隅々まで細かく確認しましょう。
オールドグッチに関してはひとつ注意点が。中を開いて見ると、べたついたり粉が吹いたりといった明らかな異常が起きていることがあります。これは経年劣化と環境の変化によるもので、本物の証と言っても良い現象。グッチやしかるべき業者に持ち込めば修理した本物を使えるようになります。
型番を調べる
グッチの製品すべてに、型番が割り振られています。しかし、グッチの製品自体には、型番は記載されていません。正規品は購入時のレシートに、中古品は商品情報に型番が記載されているのが一般的です。
型番の法則は公表されていないものの、基本的には「6桁の数字+5桁の英字+4桁の数字」で構成されています。偽物であればこの型番自体もデタラメであることが多いです。インターネットで型番を検索してみて、同じアイテムが見つからない場合は偽物の可能性が高いといえます。
ただし、オールドグッチの場合は、型番を検索しても出てこないこともあるため、偽物だと断定することはできません。
縫製を確認する
キャンバス素材のグッチ製品であれば、縫製を確認することで偽物かどうかを見分けることができます。ルーペや虫眼鏡などを使って縦糸の本数を確認してみましょう。
本物であれば、縦糸が必ず6本になっています。縦糸の本数が5本や4本などであれば、偽物です。
パッと見ただけでは気づかないものの、本物かどうか見分けるのに良い方法といえます。キャンバス素材のアイテムを購入する場合は、確認してみましょう。
偽物を見分けるために!グッチの財布購入時に気をつけたいこと
購入時に気をつけるべきこと、それは偽物を避けることに他なりません。グッチの店舗や公式サイトで購入するのが一番安全な手段なのは確かですが、そこはハイブランド、簡単に手が出せるものではありません。
もう少し値段が下がらないかな…と思いながら探しているうちに、「セール!」「アウトレット」などといった文言が目につくように。果たしてこれはチャンスなのでしょうか。
新品のセールはありえる?
結論から言うと、日本国内におけるハイブランドのセールやアウトレットは通常ありえません。名のある百貨店が得意客に向けた限定販売ならまだしも、何の変哲もない通販サイトで行われることはまずないでしょう。
ハイブランドは価格を下げて多く売る薄利多売とは対極の位置にあり、無意味な安売りはブランドの価値と名を貶めるだけで何の利益も生み出さないのです(グッチの経営とパオロ・グッチが対立した理由ですね)。
ハイブランドの本物をうたっているとしても、大幅に割り引いているのであれば偽造品の可能性は限りなく高いと言えます。甘い言葉にはだまされないようご注意ください。
コピーが出回りやすいグッチアイテムに注意
人気が高いグッチ製品のなかには、コピーが出回りやすいものもあります。そのようなアイテムを購入する際には、特に注意して本物であるかチェックすることが重要です。
コピー品が出回りやすいグッチアイテムは以下のとおりです。
・GGキャンバス・ウエストバッグ
グッチのGGキャンバス素材のウエストバッグは、ほかのアイテムと比べてコピー品がかなり多いと買取業界では知られています。特に、再流行しているアイテムなので、購入の際は注意して選ぶことが大切です。
・PVC素材の商品
汚れに強く、耐久性が高いPVC素材(塩化ビニール素材)の商品も、低価格で製造しやすいことから、コピー品の流通量が多いです。人気シリーズが多いPVC素材のアイテムも購入する際には注意しましょう。
・バンブーバッグ
持ち手部分などにバンブー(竹)を使ったバンブーバッグも要注意アイテムです。竹特有の模様や節が素敵なデザインで現在もファンが多いことから、コピー品も多数作られています。
・ロゴTシャツ
「GUCCI」のロゴが存在感を放つロゴTシャツは、特に若い世代の男女からの人気が高く、コピー品も多く出回っています。見ただけで明らかにコピー品と判断できるアイテムもあれば、完成度の高いものもあるので、本物に見えるものでもよくチェックして購入することが大切です。
これらのアイテムの中古品を購入する際は、生地や金具、タグなどをチェックして怪しいところがないか確認しましょう。
例えば、キャンバス素材の生地であれば、手に取ってみて滑らかな触り心地かどうか確認するのがおすすめです。ナイロンのようなカサカサした触り心地であれば、偽物の可能性があります。
また、素材そのものは本物と変わらなく見えても、金具の刻印やタグの字体をチェックすると、偽物だと判断できることがあります。先述した偽物の見分け方のポイントを踏まえて、刻印がおかしい、タグの字体が異なるなどの違和感がある場合は購入を控えましょう。
購入を控えるべきサイト・アプリ
コピー品が流通している以上、信頼できるサイトや実店舗から購入したいものです。偽物が流通している可能性の高いサイトやアプリからの購入は避けましょう。
・スーパーコピーサイト
本物と見分けがつかないくらい精巧に製造された商品を販売しているのがスーパーコピーサイトです。本来の価格の80%OFFといった低価格で商品を販売しているものの、コピー品なので購入は控えましょう。
・フリマアプリ
手軽に利用できるものの、偽物を購入してしまうリスクが高いのがフリマアプリです。本物が出品されているケースもありますが、極端に安い場合は注意しましょう。
・オークションサイト
フリマアプリと同様、誰でも利用できる手軽さゆえに偽物も出回りやすいです。
直接購入も通販も、お店選びが何より大事
では公式以外で確実に本物を、定価より少しでも安く購入する方法はどこにもないのでしょうか?実は少しだけ工夫する方法ならあります。
- 有名百貨店のクレジットカードを作りポイント還元を狙う
- チェーン店が複数ある身元の確かな業者で、中古品や並行輸入品を購入
- AACD(日本流通自主管理協会)に加盟している店を選ぶ
- 実績のあるファミリーセールのサイトに登録
いずれも大切なのは「実績があり、万が一偽物であった場合も補償が確約されている」点です。うっかり偽物を掴んでしまったものの返品不可能、という事態こそ、もっとも避けるべき事故でしょう。
まとめ
コピー品は買い手の気持ちを傷つけるだけにとどまらず、デザインやロゴを盗みブランドの名や価値を貶める犯罪の成果物です。購入を避けるのはもちろんのことですが、騙されてしまってはどうしようもありません。悲劇が起こることのないよう常日頃から見分け方についての知識をつけておく、その一助になれば幸いです。