革製品を購入した時、くさいと感じたことはありませんか?また、革製品を使っていくうちに臭いが気になると感じたこともあるでしょう。革製品が臭うのはどうしてなのでしょうか。また、臭いがつかないようにする方法、臭いがついたときの対処法をご紹介いたします。
革製品がくさい原因は?
新品の革製品はなぜ臭うの?
革製品を購入して、くさいと感じたことありませんか?革製品の独特な臭いは、革をなめすときに使う「なめし剤」が原因です。
そもそも、革の原点は動物の革です。その革の汚れや毛を落として柔らかくする技術のことをなめしといいます。私たちの祖先は、狩りをして動物の皮をはいで使っていました。動物の皮はそのまま使うとすぐに腐ったり乾いてしまうことがあります。その欠点を補うために、木の樹液やいろいろな薬を使用して柔軟性や腐敗を防止していました。
なめしには、いくつかの種類があります。タンニンなめしは植物に含まれるタンニンを使って革をなめす方法で、ミモザの木が使われています。
もうひとつの方法に、100年程前に開発された「クロム」という化学薬品を使った方法がありますす。これは手間も時間もかからないため、今ではこのクロムなめしを使用することがほとんどです。
革をなめした後、仕上げ剤を使用して仕上げて切断して接着・縫製が行われます。革製品を作る時に、なめし剤や接着剤などの薬剤が使用されるため、新品の革製品は独特な臭いがするのです。この臭いは完成してからあまり時間が経っていないと、くさいと感じます。
革製品がくさくならないようにするためには
水に濡れたらすぐに拭いて乾かす
一般的に革製品は水に弱いため、雨に濡れた場合はすぐに乾いた布で丁寧に叩くように水分を拭き取る必要があります。革製品は水に濡れるとカビが生えたり、変色や変形してしまうことがあります。また、こするように拭くと色落ちや傷の原因になるので気をつけててください。
臭いが発生しないようにするためには、保管方法に注意することが重要です。直射日光が当たらない風通しがよい場所に保管するようにしましょう。
お手入れをするときは乾いた状態で行う
普段のお手入れをするときは濡れた雑巾などを使用せず、乾いた布で表面を拭くようにしましょう。
革製品のカビやタバコのくさい臭いの取り方
新聞紙に臭いを吸わせる
新聞紙やキメの細かい梱包用の紙を革製品の中に入れると、その紙が革製品についたくさい臭いを吸収してくれます。新聞紙を使用するときは、革製品が完全に乾いていることを確認してから行いましょう。濡れたまま新聞紙を使うと、印字が革製品に移ってしまう恐れがあります。
革製品の臭いを取るには、繊維が緩くて柔らかい新聞紙が適しています。まずは新聞紙で革製品を覆って箱の中に入れます。箱の蓋を閉め、2日程おきます。2日程したら革製品の臭いを確認して、まだくさかったらあと数日置きましょう。
革製品は風通しのいい場所で陰干しする
革製品の臭いを取るためには、紫外線の消臭・殺菌効果を使う方法があります。革製品は直射日光を避ける必要があるので、天気がよく少し風がある日に陰干ししましょう。この方法を何度か繰り返すことで、革製品の臭いが少しずつ取れていきます。手間もお金もかからないのがこの方法ですが、時間がかかるのがデメリットです。
革製品は重曹で臭いを取る
革製品の臭いを取るのに、消臭効果がある重曹を使用する方法があります。大きめの袋の中に革製品と重曹を入れるだけなので、簡単にできます。
45Lのゴミ袋を使用するなら、重曹は約300gを入れます。重曹は編み目が細かい布の袋などに入れ、革製品と重曹の袋を一緒にゴミ袋に入れて24時間以上置くとにおいが薄れていきます。1回で臭いが取れない場合は、何回か繰り返しましょう。
革製品は保革クームを使って臭いを取る
革製品に保革クリームを塗ることで消臭効果が期待できます。保革クリームは革の種類によって使用できないものもあるので、自分が持っている革製品に使用できるクリームを使わないと、色落ちや革を痛めることになってしまいます。
革製品は酢を使って臭いを取る
酢を使用して革製品の臭いを取る方法がありますが、使用する前に目立たない箇所で色落ちや変色がないか試してから使用しましょう。
まずホワイトビネガーと水を同量混ぜ合わせたものを、清潔で乾いた布に浸けて革製品を拭きます。拭くときは強くこすらず、叩くように優しく酢を馴染ませていきます。酢は独特な香りがしますが、革の臭いとともに時間が経つと消えていきます。
革製品はクリーナーやオイルを塗る
革製品に使用できるクリーナーを使って臭いを取る方法もあります。おすすめなのはスプレータイプのクリーナーです。これを革製品に吹きかけて乾いた布で拭き取ることで、革製品の薬剤の成分を取り除くことができます。
ここで注意したいのが、クリーナーを吹きかけるときです。スプレーを革製品に近づけすぎるとシミになるので、30cm程離して吹きかけるようにしましょう。
また、オイルを革製品に塗ることで臭いが軽減されることがあります。革専用のオイルを少量革製品につけ、乾いた柔らかい布で優しく伸ばすように拭き取ります。オイルで革製品を拭くことで臭いが軽減されるとともに、革の耐水性が向上して汚れがつきにくくなる効果もあります。
自然ににおいが取れるまで待つ
革製品に染み込んだなめし剤の臭いや、タバコの臭いなどは時間とともに消えていきます。クリームや消臭剤を使用せず、時間をかけて自然に臭いを取るためには、革製品を使用することです。革は使うことで経年変化(エイジング)によって、細孔が開いていって自然に臭いが取れていきます。
普段からできる革製品の臭い対策
革製品は使ったら陰干しする
革製品の臭いをつけないためには、カビが生えないようにして汚れやホコリを取り除くことが重要です。そのため、保管するときには高温多湿の場所を避けて風通しが良い場所に置きましょう。使ったら陰干しして湿気を飛ばすのも大切です。
革製品は水に弱いので濡らさないようにする
基本的に革製品は水に弱い性質があります。水に濡れると色落ちやカビがつきやすくなってしまうので、雨の日は使用を控えるなどの気遣いも必要です。
複数個の革製品を用意してローテーションで使う
革製品は使ったら、水分を飛ばす時間や革を休める時間が必要です。
例えば、革靴を1足しか持っていなかった場合、朝から夜まで毎日その靴を履き続けるため、足の汗や皮脂で靴の中が汚れていきます。汗は革を痛め、靴の中で細菌が繁殖して臭いの原因にもなります。
そのため、靴は3足ほど用意して、毎日ローテーションで履くといいでしょう。履いた靴は風通しが良い場所で陰干しして、中の水分を飛ばして革を休ませてあげます。こうすることで、革が長持ちするとともに臭いの対策にもなるのです。
革製品の臭いがひどい場合の消し方
革専用の洗剤で洗う
革製品の臭いがあまりにも強い場合は、専用の洗剤で洗うことで臭いを和らげることができます。しかし、革によっては洗えないものもあるので注意が必要です。
クリーニングに出す
革製品をクリーニングに出すことができるのかという点ですが、お店によっては受け付けてくれるところもあります。しかし、革製品の臭いを取るという面では必ず取れるという保証はありません。
また、クリーニングを受け付けてくれるとしても、料金が高い場合が多いので、クリーニングに出す前に料金についても事前に調べてから出したほうがいいでしょう。
革製品の臭いをとって快適に使おう
革製品の臭いはなめし剤の臭いですが、なめし剤を使っているということはその革製品が本革だという証にもなります。臭いがきつくて気分が悪くなってしまう場合をのぞいては、自然に消えていくのを待つという選択肢もあります。しかし、きついにおいを我慢して使うよりは、いろいろな方法を試して快適に使ったほうがいいかもしれませんね。