久々に革製品のバックや財布を使おうと思ったら、カビが生えていて愕然としたという経験はないでしょうか。高級品ほど、革製が多いためカビの発生はなんとか避けたいものですね。ですが、湿度や温度などによってはカビの発生は免れない場合もあります。カビが発生してしまった時の対処法を覚えておきましょう。
革製品にカビが生える原因
革製品にカビが生える原因は次のような条件です。
湿度 | 70% |
温度 | 25℃~30℃ |
他にも、手の油や皮用のクリームなどが付着している場合もカビの発生を促します。これらは、カビにとって絶好の栄養源となるからです。
革製品にはカビの大好物の栄養が豊富!
革の主成分はタンパク質です。他にも、油分やタンニンなどで構成されているのです。また、革製品の特質から、空気中に浮遊しているカビを付着させやすいと言っても良いでしょう。つまり、革製品はカビの大好物な栄養源がたくさん詰まった宝庫なのです。それに湿度や温度などの条件が重なれば、カビの発生に拍車がかかるというわけですね。
自宅で革製品のカビ取りをする方法
革製品をしまって置く場所と言えばクローゼットや押入れではないでしょうか。こうした場所は、空気の流動性が少なく、もっともカビを発生させやすいのです。ですが、住宅の設計上、こうした収納箇所に革製品をしまうことは珍しくないため、自宅での革製品のカビ取り方法をマスターしておくと、非常に安心です。
また、自宅でのカビ取り作業の際は外で作業を行うようにします。カビを吸い込まないようにマスクを使用しましょう。
天日干し(紫外線で殺菌)
取り急ぎカビを除去させたいときは、殺菌作用の高い太陽光の元で天日干しさせます。ベランダや庭などにバックを置き、しっかりと乾くまで干すようにします。紫外線が多く降り注ぐ午前10時~午後2時までの時間帯に干すのがおすすめです。
紫外線量は季節や時間帯によって変化することを考慮して作業しましょう。
重曹水でカビ取り
「天日干しだけではなんとなく不安…」と物足りなさを感じる場所は、重曹水を使用します。重曹、酢、オリーブオイルそれぞれ少量ずつ混ぜ、布で拭きます。これらは、家庭の調理時に使用さる食用で安全なものばかりなので、小さなお子様がいたり、健康面に不安を感じる方だったりする場合も安心です。
消毒用エタノール
カビが何度も繰り返し発生してしまう場合、消毒用のエタノールを使います。
エタノールのようなアルコール類を使用する場合は色落ちが懸念されるため、目立たない箇所で試してから全体的な作業をするようにします。
皮革用クリーナー
天日干し、重曹、エタノールなど全てを施しても、カビを除去できない場合、皮革用クリーナーを使用します。皮革クリーナーは、汚れの目立つ箇所や、頑固な汚れに対して威力を発揮します。スプレータイプ、クリームタイプ、消しゴムタイプなどがありますが、いずれも皮に対してのダメージがどの程度なのかを確認してから使用してください。
使用しようとしている皮革クリーナーの用途や手順を十分理解した上で使用しなければ大切な革製品を傷めてしまい兼ねません。目立たない箇所でのパッチテストはとても重要ですし、必須となります。
タイプ別のカビ取り方法
タイプによって使用するオイルやクリーナーの種類に違いがあるため、項目別にカビ取り方法を見ていきましょう。
レザーウェア
革ジャンのようにカビが生えやすいレザーウェアは、保管に気を遣うだけでなく、定期的なカビチェックやメンテナンスが大切です。
軽めのカビならば、次のような過程でホームケアが可能です。
- カビ部分を優しく布で拭き取る
- 頑固な汚れには薄めたエタノールで拭くことも良いですが、革によっては色落ちや傷みの原因にもなるため、目立たない箇所で試してから実践しましょう。
- 洗濯表示さえ厳守すれば、洗濯も可能ですが、縫い目間のカビなどはブラシなどで優しく擦ります。
- 最後に、ミンクオイルなどを塗って終了です。
ミンクオイルをつけすぎるとカビが繁殖しやすくなるため、つけすぎには注意が必要です。
また、レザーと通気性の悪いビニール系は相性が悪いため、収納時にビニールやクリアケースなどの容器にしまうことはやめましょう。
バッグ、財布
梅雨時期には、バッグや財布にカビが生えやすくなります。お気に入りのブランド財布などがカビで汚染されてしまったときのショックは隠しきれないでしょう。大切なバックや財布のカビは、以下のようなホームケアを行いましょう。
- 天日干し
紫外線の当たる場所に天日干しをすることで雑菌消毒になります。
(干しすぎは型くずれの原因になるため、長時間の天日干しは避ける) - 重曹水・エタノールで拭き取る
天日干しで不足していると感じたら、薄めた重曹水を布に含ませて拭き取ります。
それでも完全に落とせない頑固なカビには、薄めたエタノールで同じように拭き取りましょう。 - カビ取り専用クリーナーを使用する
ここまでの過程でカビが除去できない場合は、最終手段としてカビ取り専用クリーナーを使って除去していきます。
靴
革靴は泥がついたり、通気性の悪い下駄箱での保存だったりと、悪条件が重なります。そのため、カビが生えやすくなるのです。
次のような手順で革靴のカビを除去しましょう。
- 靴の形が崩れないように、靴のサイズに見合うシューキーパーを用意する
(この時、靴紐は外しておきます) - 除菌スプレーを満遍なく吹きかける
(靴の内側やアウトソール、靴紐などカビ部分を見逃さぬようにする) - 除菌スプレー後は布で優しく拭き取る
細かな部分は、綿棒やブラシを使う - シューキーパーを外し、風通しの良い場所に立てかけるようにして乾かしておく
(約1週間は乾かしておく) - 除菌スプレーを使用した後は、靴のツヤが失われるため、革靴のツヤを出すために、クリームをつけておく
起毛タイプ(スエード、ヌバック等)
スエードやヌバックなどの起毛タイプの素材はデリケートなため扱いがとても難しいと言えます。スエードタイプの靴を参考にカビ取り手順をご紹介します。
- 靴の汚れをスエード用のブラシで落とす
(ゴシゴシと力を入れずにこする) - スエード靴の内側、外側などに満遍なくアルコールスプレーをかける
- 毛並みに沿うように布を使って水拭きする
- 3日ほど陰干しする
(スェードは紫外線に弱いため、天日干しは避ける) - 防水スプレーを満遍なくかけて仕上げる
爬虫類系の革製品
蛇やワニなど爬虫類系の革製品だと、自宅ケアが難しいとされています。最初はクロスで拭き取る程度で良いのですが、年数が経過するごとに細かい箇所に埃が蓄積するなどして、メンテナンスに手間がかかるようになります。特にクロコダイルのような皮は水に弱いため使用できるクリーナーが、限られています。
こうした革製品の場合、迷わずに専門業者にお任せするのが賢明でしょう。
革製品のカビ取りをクリーニング店へお願いするときの注意点
自宅でのカビ取りが上手くいかない場合、カビ取りのプロにお任せするという方法がベストです。普通のクリーニング店でも取り扱っていますが、皮革専門のクリーニング店ならば、なお安心と言えるでしょう。クリーニング店によって、価格に違いがあるため、何店舗かを比較検討してください。
最近は、忙しい方も気軽に利用することのできるインターネットを介したクリーニング店もあります。こうしたクリーニング店にカビ取りを依頼する場合、以下のような点に注意してください。
カビが生えてしまったことを伝える
クリーニング点にカビ取りを依頼するときは、次のような詳細を伝えましょう。
- どのような場所に保管していたのか
(押入れor納戸など) - カビを落とすためにどのようなケアをしたのか
(天日干し、重曹、エタノール、クリーナー etc.)
はっ水加工をお願いする
革製品をクリーニング店に依頼する場合、汚れ防止のために、はっ水加工をもおすすめします。また、カビ発生に伴う悪臭を防止するために、消臭加工もすると良いでしょう。
クリーニング料金やオプションであるはっ水加工や消臭加工の料金例は以下を参考にしてください。
料金例(革バッグ) | |
---|---|
クリーニング料金 | 3,000円~7,000円 |
はっ水加工料金 | プラス500円~2,500円程度 |
消臭加工 | プラス2,000円程度 |
色落ちが心配なら色補修もお願いする
革製品のメンテナンスは、頑固な汚れほど薬剤などの使用度は高くなります。そのため、色落ちの心配も出てくるでしょう。大切な品物ほど色落ちだけは避けたいものです。クリーニング依頼時には色補正をお願いしておくと、色落ちの心配がなくなります。
料金例(革バッグ) | |
---|---|
色補正料金 | 3,500円~5,500円 |
革製品の保管方法
革製品は保管方法がとても大切になります。保管がしっかりしていると、カビ発生リスクが低くなり、メンテナンスにコストをかけたり時間を費やしたりすることがなくなるでしょう。革製品を購入したら、以下のような点に気をつけて保管してください。
除湿剤、乾燥材は必須
皮革製品は風通しが良い箇所に保管することがベストです。ですが、それでも長期間使用しなければ十分なカビの抑制にはなりません。一定期間放置する場合、除湿剤などを利用しましょう。
ちなみに、炭なども除湿効果が高いと言われていますが、お菓子に着いてくる乾燥剤などを利用しても良いでしょう。
ビニールはNG!不織布などに入れて保管を
皮革製品は布製品と同様にビニールに入れて保管したくなるものです。しかし、革製品同士がくっついて表面が剥がれることもあるため、ビニール保管は控えましょう。そのかわりに、不織布などに入れて保管することをおすすめします。
新聞紙で湿気防止
新聞紙で湿気を防止することも可能です。しかも、皮革製品の型崩れも防止できるため、一石二鳥ですね。ですが、新聞紙のインク移りが気になるという方も少なくありません。せっかくのブランド品に新聞紙の文字などが写ってしまっては本末転倒ですね。そのようなことが心配ならば、新聞紙をコピー用紙で包むなどして色移りを防止してください。
風通しの良い場所で保管を
「1回しか使ってないから大丈夫」という安易な考え方は捨てましょう。使用頻度が少なくても、手の脂や外部の汚れは付着しているものです。使用した都度、湿気はつくので日干しすることが大切です。他にもメンテナンスが必要と感じたら、定期的に手をかけてあげましょう。
革も人間と同じように、呼吸しています。生き物や植物を扱うように丁寧に扱うことが大切です。
革製品の保管の前には必ずお手入れを!
高級で滑らかな質感が魅力的な革製品も、カビが生えやすいというデメリットがあります。カビの程度によっては、自宅メンテナンスでクリアできるものもあるでしょう。ですが、皮の種類やカビの程度によっては、皮革クリーニング店などのプロにお任せしたほうが間違いなく良い場合があります。
革製品の保管からメンテナンスを十分に理解した上で、末永く大切に革製品を使用してください。